2014年3月12日(JST.16:45) 小河正義
2014-03-13 Revised
防衛省統合幕僚監部は3月12日午後、露海軍の電子情報収集機が日本海側で北海道から、中国地方にかけ接近したのに呼応しスクランブル行動に出たと発表した。
それによると3月12日午前、沿海州付近から北海道北部日本海側の礼文、利尻両島へ向け国籍不明機が接近するのを航空自衛隊北部航空方面隊の防空レーダーが捉えた。千歳基地で待機中のF-15『イーグル』戦闘機に緊急発進を命じた。該当機に接近し確認した結果、露海軍の電子偵察機、イリューシンIL-20『クート』型機と判明した。単独機だった。
同機はその後、日本海側沿いの日本列島を鳥取県北方迄まで飛行。その後大陸方面に去った。偵察活動の狙いは京都府経ヶ岬に建設中の米軍弾道ミサイル探知『Xバンドレーダー』性能探知があったと見られる。クリミア半島情勢が厳しくなる中で、露軍の偵察活動は冷戦時代を彷彿させる様相へ転じそうだ。
[(MDA)弾道ミサイル探知用Xバンドレーダー]
図:(防衛省)3月12日午後、ロシア海軍電子戦情報蒐集機Il-20が日本列島近くに飛来した航跡。
図:(防衛省)3月12日午後、本州日本海側に接近、レーダー情報を収集した露海軍の電子戦情報蒐集機Il-20(NATO CodeではクートAと呼ぶ)のかなり鮮明な写真。冷戦時代の1969~1976年で約20機を製造、アメリカのボーイングRC-135電子戦情報蒐集機に相当する能力を持つと云われている。胴体下部のポッドは横方向探知レーダー、胴体横のポッドは赤外線センサー、胴体上部のアンテナは情報蒐集権衛星通信用。