マレーシア航空、B777型機行方不明(第13報)=SOSUSが稼働していれば、墜落地点は探知?=


2014年3月17日(17:30)     John Bosnitch & Aaron Terruli

マレーシア航空、B777型機の操縦室で異常な事態が発生した事が、マレーシア政府の空対地通信装置(複数)の人為的遮断の可能性指摘と、最後の交信から7時間の飛行続行の想定で確実になってきた。異常事態についてはハイジャック犯の侵入、乗員のサボタージュ、機長、副操縦士何れかの自殺フライトーなど『事実は小説より奇なり』の様相を呈してきた。予想外の情報がマレーシア側から時間とともに流れ出し、真実が逆に見えにくくなってもいる。インド洋南部方面、カザフスタン方向を目指したと見なされる衛星情報の開示で、機体の一刻も早い探知以外、捜索の混乱から脱出する方法は無い。

こうした中で、米海軍が冷戦時代、旧ソ連潜水艦隊の探知、追尾で際立った働きをした『SOSUS』の機能に関心を寄せる軍、情報関係者は多い。米海軍史上、最悪のスパイ事件と言われるウォーカー一家の裏切り行為で同装置の機密を握られ、現在、『SOSUS』はごく一部を除き放棄され、科学実験データ収集だけに民間で使用されているという。万一、稼働していれば、マレーシア航空機が南インド洋方面で遭難したとしても海上への激突時の低周波音が確実に記録され地点割り出しの決定打に繋がるという。

実例がある。1968年6月、南大西洋アゾレス諸島付近で突然消息を絶った、米海軍最新鋭の攻撃型原潜『スコーピオン』(3,075㌧)のケース。水中音響学の学者も動員、海底に配備した『SOSUS』の記録調べると『スコーピオン』で第一波の爆発音が轟き、しばらくして船体が深海へ沈没する過程で連続した圧壊音も鮮明に拾っていた。『SOSUS』は高性能水中マイクを多数連ねた海底の盗聴装置だ。特に低周波音は音源から遠距離でも見逃さぬ性能。

カナリー、ニューファンドランド、バミューダ海底の『SOUSUS』の記録で予想通りの音紋がみつかった。しかも3ヶ所が離れた地点で測量学の原理で音源の方向が交わる箇所が『スコーピオン』の沈没地点とされ、深海潜水艇のカメラが海底に横たわる船体を見事に発見した。発生から半年近い時間が経ったが原因究明に欠かせぬ船体発見を成し遂げた。

マレーシア航空、B777型機は発生から10日が迫ろうというのに行方知れずで”五里霧中”に近い状況。只、マレーシア政府が3月15日になって同機の飛行ルート特定に繋がる㊙情報に初めて言及した。空対地通信、途絶後も7時間に及ぶ飛行継続が、インマルサット通信衛星経由の通信記録の存在が浮上。これを基に、同機はインドネシア上空から南インド洋方面、タイ北部経由カザフスタン方向へ飛行の2ルートが推定される事態となった。航空関係者も耳を疑う情報開示だった。

このうちカザフスタンに至るルートは途中、陸上飛行空域が大半で関係国の軍用レーダーの監視から逃れるのは難しい。南インド洋方面だと世界で3番目の広大な、海域でレーダーの捜索範囲外の『ブラインド・スポット』が大半だ。25カ国の大捜索隊でも手に負えない対象であろう。しかし米海軍がかっての『SOSUS』のようなシステムを今なお稼働させていれば、海上へ200㌧を越える機体が激突した際の衝撃音を見逃しはしない。

インド洋は世界最大の産油地帯と繋がる戦略上の要所で米海軍が潜水艦の活動をチェックするシステムを構築しない訳が無い。マレーシア航空遭難原因の決め手はを握るのは米海軍だろう。

AFG-060310-004

[(US AIR FORCE) 地上の異変を見逃さない米国の偵察衛星、DSP]