2014年4月10日(JST.21:10) 小河正義
防衛省統合幕僚監部は4月10日、露海軍電子偵察機が2回、本州~北海道の日本海側で接近飛行したのに対応し空自機に緊急発進を命じたと発表した。
日本海側の我が国防空識別圏(ADIZ)周辺で、露海軍偵察機が繰り広げるスクランブルを余儀なくさせる不穏な行動は3月26日以降、これで10回目だ。
統合幕僚監部の発表だと4月10日、北海道・礼文島北西付近で防空識別圏(ADIZ)を超えて北海道に接近する国籍不明機の存在に、航空自衛隊・北部航空方面隊の防空レーダーが発見した。直ちに千歳基地から待機中のF15『イーグル』戦闘機2機が緊急発進した。該当機に接近し、機種を判定した結果、露海軍の電子偵察機、イリューシンIL20『クート』と判った。単独機行動だった。同機とは別に今度は、日本海中部付近で防空識別圏(ADIZ)を超え、中国地方に接近してくる国籍不明機を中部、西部各航空方面隊の防空レーダーが気ずいた。直ちに待機中の要撃戦闘機にスクランブル命令が下った。接近飛行の結果、該当機は露海軍・電子偵察機イリューシンIL20『クート』と識別された。尾翼下部の機体シリアル・ナンバーが同一か否か公表写真でははっきりしない。
統合幕僚監部によると最初の機体の飛行ルートは礼文島北西付近から接近し北海道~本州の日本海側を南下。山口県北方で反転し、隠岐、竹島の中間を通過後、沿海州方面に去った。一方、別の機体は日本海中部付近から中国地方へ向け南下、最初の機体と逆方向に本州~北海道の日本海側沿いを北上。礼文島西方で沿海州方面へ変針した。2機とも領空侵犯は無かった。
露海軍機の日本海側での偵察活動は4月10日のケースで3月26日以降10回という異常さだ。背景には米韓合同軍事演習、北朝鮮の弾道ミサイル発射、核実験実施の動き等との関連性が取りざたされるが真意は謎。スクランブルに要する航空自衛隊のジェット燃料費も馬鹿にならない。
[(航空自衛隊)露海軍電子偵察機の本州~北海道、日本海側での接近ルート]
[(航空自衛隊)緊急発進で捉えた露海軍電子偵察機、イリューシンIL20″クート”]
[(航空自衛隊)後続の露海軍・電子偵察機、イリューシンIL20″クート”]