それでも露軍機の日本周辺偵察行動はやめない


2014年4月26日(JST.13:50)                              小河正義

露軍機の日本列島周辺での執拗な偵察飛行がバラック・オバマ米大統領訪日、直前からピタリと止まった(但し、防衛省統合幕僚監部公表分が前提)。航空自衛隊の要撃戦闘機部隊も一息つける。このまま、穏やかな状況が続けばいいが、露軍はそんなに甘くない。ロシア政府の意向を代弁するノーボスチ通信は『スクランブルをしいた対英周辺での爆撃機偵察飛行は”キャッツ&マウス”の追いかけっこ、でなんら脅威にあたらない』との英空軍退役将校の発言を引用。いずれ再開する姿勢をのぞかせた。

防衛省統合幕僚監部は4月19日のスクランブルを最後に日本周辺での露軍機接近の公表をしていない。小野寺五典・防衛相の対露警告が功をそうしたのか。あるいはオバマ訪日中、米露関係の悪化を懸念して自粛したのかは即断できない。露軍にはスパイ衛星も含め対日偵察活動で苦労している様に見えない。

念のため、ノーボスチ通信が伝えた(4月24日)一節を引用させて頂く。英空軍退役将校名はスチュワード・クロフォード氏。現在は軍事アナリストだという。『露軍機の対英偵察活動は防空システムに関する”クィック・レコネイサンス”。直接の脅威に当たらない———–』。つまり『がた々騒ぐ代物ではないと』日本のマスコミ報道を揶揄しているようだ。露軍偵察機は、国際法  に則り、認められた航路を飛行している。いつでも日本列島周辺での、飛行再開を匂わすようにもとれる。

安倍晋三首相は日米同盟の再構築をまず確固たるものにし、ついで外交政策の照準をモスクワに向けつつある。日露平和条約の締結、北方領土問題解決への道筋をつけること。(北方4島返還実現)戦後政治の決着をつけようとした父、安倍晋太郎元外相の悲願達成を目指しているに違いない。

クリミヤ半島制圧、ウクライナ東部をめぐる軋轢で、プーチン大統領も国境の東西正面で緊張を煽ってもても国家利益につながらい。いずれ石油などに頼る露経済が、米国の”石油価格戦争”発動という最終的制裁で壁にぶつかるのはロシア人、自身が一番 判っている。中国の覇権主義を考えると極東、シベリア東部の開発、経済インフラかさ上げで日本のパワーは欠かせないはずだ。エリツィン時代の対日融和政策にクレムリンが舵を切る日は来るのか。安倍総理周辺は息を潜めて見守っている。

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[(UAC、Beriev)露海軍長距離電子偵察機、トゥポレフTu-142MS]