露初のステルス戦闘機、テスト飛行時にエンジン火災


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[(Sukhoi JSC)露初のステルス戦闘機、T-50]

2014年6月11日(JST.09:40)     John Bosnitch

ロシア初のステルス戦闘機がテスト飛行中、エンジン火災を起こした。開発設計に当たっている『スホーイ JSC』が6月10日、公式声明で対外公表した。ノーボスチ通信も報じた。秘匿性の高い戦闘機開発実用化過程で、事故の発生を明らかにするのは、これまで例がない。

『スホーイ JSC』の声明によるとT-50ステルス戦闘機でエンジン火災が発生したのは6月10日。モスクワ郊外のジューコフスキー飛行センターでテスト飛行を終え、着陸中の機体。『右側、第2エンジンの空気取入れ口付近で発煙。直後に同エンジンで火の手が上がった』。火災は殆ど間をおかず鎮火に成功。搭乗のテストパイロットや地上の関係者に負傷者はいない。

損傷の程度は調査中だが、今後飛行再開に修理が必要だという。同社は社内に事故原因究明の調査委員会を立ち上げたが、T-50実用化のスケジュールには全く影響がないと強調した。

T-50ステルス戦闘機は2010年1月、長い沈黙を破って処女飛行。欧米の軍関係者に”衝撃波”となった。2011年には『MAKS(モスクワ航空ショー)』で一般公開。2013年には3機編隊のテスト飛行が紹介される等、開発実用化は着々進行中だ。

T-50ステルス戦闘機は推進力の方向を制御可能な『スラスト・ベクター』エンジンを装備。急加速の旋回が得意技。巡航時も超音速フライトが継続できる。『エンジン排気口の前に”アフター・バーナー”がない』。このため空対空ミサイルを回避でき、熱戦追跡の地対空ミサイルにも生存性が優れる。

ロシア空軍は実戦配備は2016年以降と見ている。