2016年6月14日(JST.09:10) John Bosnitch
[(Eurocontrol)欧州の高高度を管制するユーロコントロールの空域]
欧州中央部上空で、地上管制レーダーが追尾中の旅客機等の機影が最大25分間、消失する奇怪な現象が2度も発生した。レーダー管制を一時代前の音声交信での管制作業に切り替え、かろうじて”空の危機”を脱出した。事態を重視した、欧州航空安全庁(EASA)、ユーロコントールが原因解明と再発防止策に乗り出した。
空の異常事態が発生したのは6月5日、6月10日の両日。オーストリア、チェコ、独の一部(カールスルーエ、ミュンヘン)上空。欧州上空は地上管制機関がレーダーを使用し、安全間隔の設定、発着コントロールを遂行している。
それが、突然、レーダーの追尾機能が失われ、最大13機の民間機のレーダー反応が消失。機体の現在位置、高度、識別番号が不明となった。問題の空域を担当する、管制官は、異常接近を未然に防ぎ、航空交通流れを円滑に維持するため、音声交信に頼る一昔前の手動管制に切り替えた。作業が複雑化するため待機中の管制官を総動員し、事態を乗り切ったという。
レーダー反応が失われたのは2回とも時間にして 25分間。発生原因は全く不明で、過去経験のない奇怪な現象。レーダー機能はその後、正常になったという。
オーストリアの管制当局は飛行機が発信するトランスポンダー(二次レーダー機上応答器)と地上が一時的に”電波干渉”した障害ではないかと推測している。しかし、こうした事態が、ハッカーによる管制機関への妨害行為などのサボタージュと繫がっていた事にになれば、航空界は厄介な問題を抱えたことになる。