2014年7月17日(JST.10:40) John Bosnitch ロシアが海外で最大の電波傍受基地 の活動を再開するのが確実となった。冷戦時代、米国の軍事通信を捉える㊙基地として存在が知られた、キューバ・ハバナ近郊のシギント(SIGIT)基地が 、活動停止から14年をへて動き出すという。ロシアの有力経済紙『コメルサント』の報道が転載され、地元のメディア、欧州の有力紙が飛びついた。米国メキシコ湾岸から250㌔南の地理的条件を生かし、巨大パラボラアンテナで米国等西半球で交わされる、各種通信に”聞き耳”をたてる機能を持つ。クレムリンの決断は米国が対露警戒感を露にしそうで、背景にはウクライナ危機以降の米露関係の緊張が関与している。ロシアに一時亡命中の元、米情報機関コンピューター専門家、スノーデン氏からの情報分析も影響を及ぼした可能性がある。 ロシアが活動を再開する対米中心の電波傍受基地は『キューバの首都、ハバナからさほど遠くないトーレンズ付近にある』(露有力メディア、RT)。欧米の情報機関の間ではラウルデス(LOURDES)スパイ基地と知られている。 核戦争の瀬戸際に追い込まれた1964年キューバ危機以降、稼働を開始、ソ連崩壊迄、米軍の軍事通信を根こそぎ傍受する海外最大の基地として警戒されていた。しかし、露経済の崩壊や、3.11塀多発同時テロ発生後の国際情勢の新展開で基地機能は2001年をもって凍結状態だった。 ピーク時、技術者、整備関連要員、軍人等、数千人がつめていたが、現在は空っぽ同然。 しかし、ブラジルでの新興経済国サミット出席の途中、キューバを訪問した露プーチン大統領は、旧ソ連時代も含む対キューバ借款の9割相当、320億㌦カットする、大胆な政策を打ち出した。ラウロ・カストロ大統領との首脳会談をへて両国は7月11日、ラウルデス電波傍受基地再開で基本合意したという。 キューバに取って借款の棒引きに加え、基地使用料の外貨収入源の確保がある。ロシアも疎かだった地球規模での本格電波傍受活動再開で同基地が要の一つとなる。エレクトロニクスの進歩で要員はかってほど大規模にはならないとも言われる。しかし、米国の裏庭のカリブ海で、ロシアが電波傍受基地を再開させるのは心穏やかではない。米露関係の一層の冷え込みが予想される。 [(PRESIDENT OF RUSSIA)カストロ首相とキューバ軍儀じょう隊の閲兵に臨むプーチン大統領]