『ブラック・ボックス』は親露派反政府組織の掌中。ICAOに直接渡すと自治政府首相言明(No8.MH17便撃墜事件)


2014年7月21日(JST.08:40)                               John Bosnitch

地対空ミサイルでウクライナ東部で撃墜されたマレーシア航空、B777-200型機の『ブラック・ボックス』の所在箇所が明らかになった。墜落現場一帯を実効支配する親露派反政府組織が既に回収済みで、州都、ドネツクに保管されているという。非合法自治政府のアレクサンドル・ボロディ首相自らが7月20日、言明した。露有力メディア、ノーボスチ通信、RTが現地からの情報として報じた。『ICAO(国際民間航空機関)に直接渡すが、ウクライナ政府の手に触れさせない』と強調した。『ブラック・ボックス』の所在箇所が公式に確認されたのは、撃墜事件発生後これが初めて。

マレーシア航空、MH17便が搭載していた『ブラック・ボックス』の発見、回収の事実は未確認情報が飛び交い、はっきりしなかった。しかし、7月20日、ドネツク州自治政府のアレクサンドル・ボロディ首相が記者団に口を開き、『”ブラック・ボックス”は回収した。現物はドネツクに移送済みで、首相の支配下にある』と初めて、公式に存在箇所に言及した。更に同自治政府首相は『キエフには渡さない。相手は国連の下部機関ICAO(国際民間航空機関)』と指定した。

航空関係者によると、『ブラック・ボックス』は米国の有力航空電子機器メーカー、ハネウェル社製。墜落直前の30分迄遡れる、操縦室のパイロットの会話、警報など各種音声が記録している『CVR(音声記録計)』と、速度、方位、高度、加速度変化を記録した『FDR(飛行記録計)』の2種類で構成される。

回収の模様を報じたビデオ映像では、草原を3人の捜索救難隊員が運ぶ朱色の箱がはっきりと写っている。外観は特段損傷を受けた様子は無い。

自治政府最高幹部の一人は『”ブラック・ボックス”無事だ。当方には解読能力が無く中立公正な国際機関に委ねる、キエフが関与すればデータ改ざんの恐れがある』とウクライナ政府への”敵意”を剥き出しにした。

『ブラック・ボックス』の回収を含め、撃墜事件の真相解明で国際調査団の現地入り、現場の保存を欧米を戦闘に国際世論が求め、背後のプーチン政権に対しても圧力をかけてきた。ようやく、ICAOへの引き渡し姿勢を明言する事で、譲歩する態度に戦術転換したのかもしれない。情報関係筋は『地対空ミサイル”ブーク”の発射に使った車両等証拠隠滅が終えたためだろう』と今回の自治政府の決断を皮肉って見せた。

ロシアが絡む地域での航空事故原因究明では、これまでも公明正大さに疑問を差し挟む例が少なくない。

1983年9月1日の大韓航空、007便、B747型機撃墜事件(乗客乗員269人全員が犠牲)が想起される。最近では、2010年4月10日、ポーランド大統領の専用機、トゥポレフTu154型機が露西部スモレンスク空港手前で墜落、レフ・カシンスキー大統領夫妻をはじめ多数の政府高官が犠牲になった事故で原因究明過程でポーランド政府、国民は不信感を露にした経緯がある。

事故現場で犠牲者のクレジットカード、高額の携帯品を公然と盗む行為が発覚し、不信感に輪をかけた。今回も、事故現場で、クレジットカードが違法に持ち去られ使用との情報が伝わっている。

プーチン大統領は『原因究明で客観性重視』を主張した。冷戦時代への逆戻りを避けるため、ロシア政府の賢明な判断と自制ある行動が求められる。

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[(Honeywell)ハネウエル製のブラックボックス]