2014年8月12日(JST.09:30) Aaron Terruli
ボーイングが7月末時点でライバルのエアバスを2014年の受注機数、製造機数で完全に押さえ込んだ事が判った。次世代B777-Xシリーズの貢献が背後にあったという。7月中旬のロンドン郊外、『ファーンボロー・エアショー』で大差をつけられたと報じられたが、その後の精査で”真水”部分が多いボーイングの地力が勝った。後半、エアバスが新規プロジェクト、A330neoシリーズで確定発注機数を獲得できるか、同社の反転攻勢に関心が寄せられる。
ボーイングが7月末時点で、エアバスに2014年の年間受注機数、製造機数で優位に立ったと分析したのは、ボーイング民間航空機マーケティング担当のランディ・ティンセス副社長。同氏が担当するブロッグ『ランディ・ジャーナル』の最新版で公表。これを基に欧米の航空専門記者が相次いで報じた。
それによると、7月末時点の受注機数(確定発注分)がボーイングが823機、エアバスが705機だったという。キャンセル部分を差し引いた、”真水部分”だ。ボイーングの場合、7月1ヶ月で324機の月間、史上最多の機数だったという。押し上げた原動力は同社の2通路設計で最強双発ジェット旅客機B777型ファミリーの次世代シリーズ、B777-X型。
エミレーツ、カタール2社が仮発注を確定発注に切り替え、合計200機の契約が正式決定した。日本No1の全日空も7月下旬同型機20機の確定発注契約に調印した。B787型機も全日空の追加発注が決まり、足踏み状態から離陸体制に入った。その結果、7月末時点で2通路設計の旅客機分野で、ボーイングはB747-8型機1機も含め”真水”受注分は273機の戦果となった。
『2通路型機は単通路設計の機体に比べ、メーカーの利幅が格段に違う』(米国の航空コンサルタント)。
一方、エアバスの確定発注機数は”真水”部分が705機に留まっているとティンセス副社長は指摘した。ファーンボロー・エアショーで新シリーズ、A330neo型機の契約獲得が相次ぎ、ボーングを捩じ伏せたかに見えた。しかし、同型機121機の契約はすべて仮発注段階で、確定発註の”真水”部分は零だという。年末迄、時間的余裕があり、エアバスが巻き返すチャンスが皆無と断言はできない。
エアバスの2通路旅客機分野での苦闘はエミレーツ航空がA350XWB型機の大口キャンセル(70機)が影響している。スカイマークが受領直前の機体を含め6機の発注の放棄に追い込まれた予期せぬ事情もある。単通路旅客機で目下最強のエアバスA320型機のキャンセルが113機で、ライバルのB737型機の53機の倍だった事も無視できない。
ボーイングは年間の引き渡し総数が715~725機と予測されエアバスの同、626機に大差を付けそうだという。2014年もボーイングが民間旅客機の実力盟主として君臨するのは確実となった。
[Boeig(RANDY JOURNAL)マーケティング担当のランディ・ティンセス副社長]