露・戦略爆撃機トゥポレフTu95『ベアH』編隊が日本列島接近。警戒監視で空自機スクランブル。


2014年8月22日(JST.05:10)    小河正義

2014-08-22  02:03 pm   改訂

08-21 Tu-95

図:(統幕監部)8月21日午前から夕刻に掛けて日本列島に2回接近したロシア戦略爆撃機Tu-95の2機のうちの1機。

8-21 Tu 95航跡

図:(統幕監部)Tu-95 2機編隊が8月21日午前、対馬付近に接近飛行した際の航跡。

08-21航跡2

図:(統幕監部)21日午後、Tu-95は一旦日本を離れたが、再び接近、沖縄列島を通過、太平洋上に出て日本列島の太平洋岸を飛行、北方領土付近からシベリア基地に戻った。

露・戦略爆撃機トゥポレフTu95『ベアH』の編隊が8月21日、日本列島に接近し、警戒監視のため航空自衛隊の複数の戦闘機が緊急発進した。同日夜、防衛省統合幕僚監部が発表した。露軍機の接近に伴う、空自機の緊急発進の公表は、5月21日以来。実際は、もっと多いと在京、国際軍事情報筋は見ている。露国防省は前日、日本の潜水艦『おやしお』型の露極東領海付近での偵察活動の阻止行動に出たと露有力紙『コメルサント』を通じ情報をリーク。マレーシア航空機撃墜事件に対する、日本側への牽制に加え、今秋のプーチン大統領訪日が事実上、困難との意思表示に繋がりそう。

防衛省統合幕僚監部の発表だと、日本列島に接近したのはパイロットの目視確認で露空軍の戦略爆撃機トゥポレフTu95『ベアH』、2機と識別された。露・爆撃機編隊が接近したのは8月21日の午前~夕刻にかけて。最初は、日本海西部から九州北部の対馬海峡付近を飛行。いったん、日本列島から離れたがその後、沖縄本島-宮古島を通過して、日本列島東方沿いの太平洋を北上したという。

航空自衛隊は、24時間待機の迎撃戦闘機を警戒監視のため緊急発進させ対応した。露側の領空侵犯は発生しなかった。露軍機に対する緊急発進は平成26年度第1四半期集計で235回と前年同期比の8倍近くに急増、南西諸島方面での中国軍機に対する警戒監視と並び、航空自衛隊の防空能力強化が急がれるところだ。

一方、露メディアが報じた海上自衛隊の潜水艦『おやしお』クラス(2,750㌧)の宗谷海峡付近での偵察活動について海上自衛隊は問題は無いとの見解を示した。露側は北極圏での米潜水艦の行動についても先般、バレンツ海露領海への接近阻止をマスメディアに流す等、対外積極情報戦略を明確にしだした事が随所に窺われる。

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[(海上自衛隊、ギャラリー)”おやしお”級潜水艦]

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