2014年4月8日(JST.11:10) Aaron Terruli
ボーングは4月7日、カリフォルニア州ロングビーチ空港の、戦略輸送機C17『グローブマスターⅢ』最終組み立てラインで閉鎖時期を決断した。当初予定を3ヶ月、前倒し2015年半ばとなる。1990年代半ば迄は、DC10、MD11型機等旧ダグラス主力機を製造、シアトルをしのぐ”民間機のメッカ”だった時代もある。今回の決定で同工場の中核事業は姿を消す訳で、ワイド・ボディ(2通路旅客機)対応の 広大な関連施設活用策が地元自治体、ボーイングの課題となる。
ボーイングは米議会のサポートも得て、C17型機の対外輸出攻勢で、最終組み立てラインの延命策を試みた。しかし、英、カナダ、豪州、インド、カタール、クウェート、UAE、NATO合同輸送部隊、合わせて海外の導入先、7ヶ国の空軍から追加発注の動きを引き出す成果を獲得出来なかった。米空軍もC17型機の増機に現行機数(223機)で十分と応じる気配は無かった。ロングビーチ市など関連自治体の存続運動も不発に終わった。
ボーイング・ロングビーチ工場は旧ダグラス航空機全盛時代、日本にも多数の旅客機を輸出。戦後の日本の航空界、再建とジェット機時代転換で重要な役割を果たした。ボーイング等も当時は歯が立たなかった場面もあったという。
ロングビーチ市は”空の玄関”の再活性化策として陳腐化したターミナルビルの全面改装等のプロジェクトを推進している。ボーイングの決定で決定で大型機の製造工場がカリフォルニア州から姿を消す。航空のパイオニアだった同州の新たな航空宇宙部門での再興を期待するのは筆者だけではない。
[(ロングビーチ空港、新ターミナル計画より)ロサンゼルス空港を補完するハブ機能をもてるかもしれない]
[(Boeing)英空軍が導入したC17″グローブマスターⅢ]
[(Boeing)短距離発着で抜群の性能を誇るC17″グローブマスターⅢ”]