2014年4月12日(JST.20:40) 小河正義
尖閣など南西諸島周辺での顕著な中国機の行動に素早く対応する為、航空自衛隊は4月20日から那覇基地に早期警戒機、E2C『ホークアイ』の部隊を常駐させる。地上の防空レーダーでは低高度で”ブラインド・スポット”と呼ばれる探知空白空域が生じる。高高度飛行のレーダー監視機能でこうした弱点を補い、防空識別圏(ADIZ)を超えて超低空で日本領空に接近する国籍不明機に対し、緊急発進の即応態勢が整う。防衛省では、導入から30年以上がすぎたE2Cの後継機選定作業に着手。東シナ海一帯の空域で、更なる防空機能強化を図る。
航空自衛隊によると、那覇基地に常駐する早期警戒機部隊はE2C『ホークアイ』、4機で編成。これまで青森県・三沢基地に展開していた同型機の警戒航空隊を分割して、再編成した。那覇に駐屯する部隊は『第603飛行隊』として新規編成。三沢基地の部隊は『飛行警戒監視群』と『第601飛行隊』に衣替えした。浜松基地所属の早期警戒管制機AWACS(ボーイングE767型機)部隊は『第602飛行隊』と改称する。
E2C『ホークアイ』は函館空港で起きた旧ソ連防空軍、ミグ25『フォックスバット』の亡命事件で、低高度域内での防空レーダーの弱点があぶり出され、低空侵入機への対処等の即戦力として導入され、現在13機を運用している。米海軍、空母艦載機として同型機は機動部隊の文字通り”空中のレーダー・サイト”の役割。胴体中央部上に円盤状のレドームを搭載。長距離捜索、逆探知等の機能を有する。ターボプロップ・エンジンの双発機で最大航続距離は2,500キロ以上。最高速度は時速、約600㌔だと言う。離陸後、4時間の哨戒飛行が可能で南西諸島周辺の防空機能向上に著しく資する。
防衛省統合幕僚監部が最近公表した2013年度の『緊急発進実施状況』で、中国機を対象にしたスクランブル件数が、年間415回と全体の半分を超え、南西諸島周辺の防空態勢改善が喫緊の課題である事が浮き彫りになった。
[(航空自衛隊)ノースロップ・グラマンE2C”ホークアイ”]
[(航空自衛隊)那覇基地でのE2C”ホークアイ”部隊常駐に伴う早期警戒機の再編図]
[(Northrop-Grumman)航空自衛隊E2Cの有力後継機、ノースロップ・グラマンE2D]
[(防衛白書1977年版)早期警戒機がカバーする地上配備防空レーダーの弱点]