2014年4月15日(JST13:20) Aaron Terruli
ウクライナに近い黒海の公海上で、露軍の対地、対艦攻撃機が連続、12回の異常接近行動を取った事が判った。米国防総省が4月14日の記者会見で明らかにした。米艦はロシア機に無用の衝突回避のため通信設定を試みたが、一切、返答は無かったという。ペンタゴンの当局者は、今回の行動は挑発行為以外の何物でもなく、公海上の国際的取り決めを著しく損なうと非難した。冷戦のピーク時、1988年に、米国のタイコンディロガ級イージス・巡洋艦『ヨークタウン』(9,600㌧)が黒海の国際水域を航行中、旧ソ連のクリバク級フリゲート艦『ベズザベェートヌイ』(3,575㌧)が体当たりしてきた場面があった。ソ連が解体し、新生ロシア誕生後、米露両軍の間でこうした際どい場面に至ったのは初めて。
米国防総省の当日の報道担当官、スティーブ・ウォーレン大佐(陸軍)によると、露軍機の異常接近を受けたのは黒海をパトロール中の、米海軍アーレー・バーク級ミサイル駆逐艦『ドナルド・クック』(満載排水量、8,300㌧)。発生日時は4月12日で地点、発生時間等は伏せられた。
同報道官の説明だと『ドナルド・クックに対し1時間30分の間に12回の異常接近行動にでた』。更に『露軍機は(対地、対艦攻撃能力を持つ)スホーイSu-24″フェンサー”』と指摘。『2機編隊の内1機が異常接近し、別の1機は上空で空中援護の態勢』で米艦に接近する際、『水平線に近い低高度からアプローチ、近距離で高度を数千フィートに上昇』と威嚇が意図された飛行パターンだったという。最接近時の露軍機と『ドナルド・クック』との間隔は約900㍍しか無かった。米側は経験が乏しい若いパイロットではなく、熟練操縦士の行為と見ている。機体にミサイル等の武装は無かった模様だ。
『ドナルド・クック』は、去る1月、欧州の海上防衛力強化の一環でスペインのロタ港に配備される4隻のアーレー・バーク級ミサイル駆逐艦の1隻として入港。ウクライナ東部の情勢緊迫の中で4月10日、急遽、黒海へ出動した。ルーマニア、ブルガリア等のNATO軍事機構新加盟国に強い集団防衛の意向を示す為だ。
米海軍の公表資料だと、『ドナルド・クック』は満載排水量8,300㌧の大型艦でイージス機能を装備。攻撃、防御能力として『スタンダードミサイル』、巡航ミサイル『トマホーク』対艦ミサイル『ハープーン』垂直発射筒2基、『MK46』魚雷、近接防空用のバルカン砲『ファランクスCIWS』を装備している。潜水艦攻撃のヘリ発着艦デ甲板が最後部にある。
[(SUKHOI)対地攻撃機のスホーイSu-24″フェンサー”]
[(US DOD 、US NAVY)米海軍アーレー・バーク級ミサイル駆逐艦”ドナルド・クック”]