露空軍・戦略爆撃機の編隊が三波で、日本列島に接近のため空自機がスクランブル


2014年4月16日(JST.06:55)                       小河正義

露空軍の戦略爆撃機2機編隊が日本列島の太平洋、日本海側で合計、三波の接近威力偵察飛行を5月15日、実施した。露側の行動が先月下旬以降、明らかにエスカレートしだした。米韓合同演習への牽制、北朝鮮の弾道ミサイル発射の動きへの警戒ーなどと異なるクレムリンの対日軍事戦略転換が始まったのかも知れない。

防衛省統合幕僚監部は5月15日深夜、同日露空軍・戦略爆撃機2機編隊が日本列島周辺で波状的に接近飛行を実施したことを明らかにした。要撃戦闘機、多数が緊急発進を命じられた。前日は戦略爆撃機と電子偵察機の組み合わせだったが、今回は戦略爆撃機部隊だけを動員した。

統合幕僚監部によると、5月15日、日本海西部、韓国東方で防空識別圏(ADIZ)を超え、九州方面に南下接近する複数の国籍不明機の存在を航空自衛隊西部航空方面隊の防空レーダーが探知した。福岡県・築城基地から待機中のF2型2機編隊が緊急発進した。該当機の機種は露空軍・長距離戦略爆撃機トゥポレフTu-95『ベア』と識別した。第一波は対馬列島南部と福岡県・沖ノ島の中間をすり抜け東シナ海経由で南西諸島周辺を飛行。その後九州~北海道東部で太平側に接近飛行した。最終的にはオホーツ海を通過、沿海州に去ったという。

更に、北海道根室半島南東方の太平洋上から接近する複数の国籍不明機が防空識別圏(ADIZ)超えるのに北部航空方面隊の防空レーダーが気ずいた。千歳で待機中のF-15『イーグル』戦闘機に発進命令が下った。該当機に接近したところ、機体は露空軍・長距離戦略爆撃トゥポレフTu-95『ベア』。2機編隊だった。両機は北海道宗谷岬沖を回り込み~山口県北方沖合にかけ日本海側で威力偵察を実施。対馬列島東方で反転し往路にほぼ沿う形で帰還したという。2波だった。今度は、国後島付近に複数の国籍不明機のレーダー反応が出現した。スクランブル機が確認したところ露空軍・長距離戦略爆撃トゥポレフTu-95『ベア』の編隊だった。2機は宗谷岬沖合から南下、北海道~佐渡島沖の日本海側で威力偵察飛行を実施、復路もほぼ同ルートでサハリン方面に去った。第3波だった。

露空軍戦略爆撃部隊の日本列島接近に航空自衛隊の要撃機は息つく暇も無く、緊急発進の連続で対応に追われた。安倍政権がプーチン大統領との個人的友情をなんとか維持すべく懸命の外交を努力を積み重ねているのに、露空軍機の威嚇に近い行動は、日本の”弱腰”をあざ笑っているようだ。露軍の狙いは何か。クレムリンの真の意図を原点から探る必要がある。日本外交の能力は?5:15スクランブル航跡図

 

[(航空自衛隊)三波に渡った露空軍・戦略爆撃機の日本列島周辺の威力偵察飛行の航跡]

TU95 No1

[(航空自衛隊)第一波の長距離戦略爆撃機、トゥポレフTu-95″ベア”]

TU-95 No2

[(航空自衛隊)第2波のトゥポレフTu-95″ベア”]

TU-95 No3

[(航空自衛隊)第3波のトゥポレフTu-95″ベア”]