2014年4月16日(JST.21:00) 小河正義
露軍機の日本列島周辺での偵察活動が頻発する中で、4月16日も本州~北海道の太平洋、日本海側で電子偵察機が防空識別圏(ADIZ)を超えて接近し、航空自衛隊の要撃戦闘機が緊急発進した。 3月26日以降、ほぼ連日に近い頻度で露軍機の目に余る偵察飛行が続いている。防衛省統合幕僚監部が同日、発表して判った。クレムリンの隠された意図はともかく、クレムリンに対し、いたずらに緊張を煽る”瀬戸際飛行”を止める様、要求すべきタイミングだ。
統合幕僚監部によると4月16日、オホーツク海から根室東方へ防空識別圏(ADIZ)を超えて近ずく国籍不明機に航空自衛隊北部航空方面隊の防空レーダーが気ずいた。千歳基地から待機中のF-15『イーグル』要撃戦闘機が緊急発進した。接近の上、該当機を観察した結果、機種は露海軍・電子偵察機イリューシンIL-20『クート』と判明した。同機は北海道~本州房総半島沖の太平洋側で偵察飛行を実施。その後、反転して往路をたどってサハリン方面に去った。途中、米軍三沢基地沖合に接近する構えも見せたという。
之に続き4月16日、日本海中部から中国地方へ南下、接近する国籍不明機が、航空自衛隊中部、西部各航空方面隊の防空レーダーに捉えられた。小松基地等で待機中のF-15『イーグル』要撃戦闘機にスクランブルが下令された。対象機に接近し、パイロットが確認したところ、機種は露海軍・電子偵察機イリューシンIL-20『クート』と識別された。露軍機は対馬列島にちかずいた後、機首を反転し本州の山口県北方から北海道の日本海側を北上。沿海州方面に去った。最近、目立つ偵察飛行ルートだ。両機とも領空侵犯には至らなかったという。
露軍機の日本列島周辺での偵察飛行は冷戦ピーク時にも匹敵する頻度。外務省は領土交渉とは別に露側のこうした威嚇偵察飛行継続に厳しい抗議をすべきだ。安倍総理も集団安全保障体制が時代の要請というなら、目前の”空の緊張”状態を座視してはならない。
[(航空自衛隊)日本列島周辺で活動が際立つ露海軍・電子偵察機の航跡図]
[(航空自衛隊)本州の太平洋側に近ずいた露海軍・電子偵察機イリューシンIL-20″クート”]
[(航空自衛隊)日本海側に接近した露海軍・電子偵察機イリューシンIL-20″クート”]