戦略爆撃機、Tu-95『ベア』編隊等、露軍機5機の日本列島接近で、空自機スクランブル


2014年4月18日(JST.05:45)                         小河正義

防衛省統合幕僚監部は4月18日未明、前日、戦略爆撃機、トゥポレフTu-95『ベア』2個編隊等、合計5機の露軍機が日本列島周辺に接近飛行したため空自機が相次いで緊急発進したと発表した。”軍事プレゼンス”で、日露外相会議延期に繰り出したクレムリンの威嚇常套手段だ。

統合幕僚監部によると、4月17日、日本海中部、朝鮮半島東方付近に防空識別圏(ADIZ)を超え、九州へ向け南下する複数の国籍不明機出現を、航空自衛隊西部航空方面隊の防空レーダーが探知した。福岡県・築城基地から待機中の要撃戦闘機2機に緊急発進命令が下った。パイロットからの接近目視確認で、該当機が露空軍・長距離戦略爆撃機トゥポレフTu-95『ベア』の2機編隊と判明した。該当機は対馬列島と福岡県・沖ノ島の間をすり抜け一旦、沖縄本島周辺を飛行。その後、九州南方~北海道東方の本州太平洋側で接近飛行を実施した。オホーツク海経由で沿海州方面へ去った。この間、露軍機追尾で民間航空路の一時ブロック等、航空自衛隊、航空局は対応に追われた。世界の航空界への迷惑等おかまい無しの行為だ。

第1波に続き4月17日、オホーツク海南部付近から北海道北部宗谷岬沖合に接近する国籍不明機複数のレーダー反応の存在に航空自衛隊北部航空方面隊の防空レーダーが気ずいた。対象機は、長距離戦略爆撃機トゥポレフTu-95『ベア』2機編隊だった。露が繰り出した第2波の威力偵察飛行と見られる。両機は北海道~福井県沖の本州日本海側を往復飛行。この間小松基地等から待機中のF-15『イーグル』が緊急発進し、警戒監視に当たった。

露側は第3波も忘れなかった。同日、オホーツク海から国後島付近を通過、根室半島東方で防空識別圏(ADIZ)を超え北海道南部に接近する国籍不明機が見つかった。航空自衛隊千歳基地から、待機中のF-15『イーグル』戦闘機がスクランブル。該当機を露海軍・電子偵察機イリューシンIL-20『クート』と識別した。単独飛行だった。同機は本州の太平洋側を房総半島沖合迄南下後、往路を引き返した。

5機、3波の偵察行動は明らかに日本を標的にした訓練飛行だ。露軍をこうした行為に駆り立てるのはプーチン大統領周辺の意図が介在しない限り不可能。在京軍事筋はクレムリンが対日強圧外交を振りかざし始めたと分析する。2007年8月、プーチン大統領は、冷戦時と同様の戦略爆撃機パトロール再開を突然、命じた。英国周辺では連日のスクランブル騒ぎでマスコミが、ロシア非難の咆口を開き、世論を喚起した。露側はこの先も同一行動を取るのか。オバマ大統領訪日時の日米同盟関係の誇示が改めて試される。

4:17のスクランブル

[(航空自衛隊)いっこうに手を緩めない露軍機の対日偵察飛行]

TU95 No1

[(航空自衛隊)第1波の露空軍・長距離戦略爆撃機トゥポレフTu-95″ベア”]

TU95 No2

[(航空自衛隊)第2波のトゥポレフTu-95″べア”]

IL20 No3

[(航空自衛隊)露海軍・電子偵察機イリューシンIL-20″クート”。第3波だった。]