[(AIRBUS)4月上旬、初飛行したスカイマーク納入予定のエアバスA380型巨人機]
2014年7月29日(JST.15:50) John Bosnitch & 小河正義
日本No3の航空会社、スカイマーク(西久保慎一社長)が合計6機確定発注済みの巨人機A380型機の契約取り消しで、エアバスと交渉中である事が判った。ブルムバーグ、ロイター有力通信社の報道を受け、西久保社長が7月29日、急遽出したこの問題での声明で明らかになった。交渉は困難を極める中で進行中で、最終的決着に至っていないという。
西久保社長によるとエアバスA380型機導入計画の全面的見直しは、円安による経費急増と、ライバル企業との激烈な集客競争に陥ったため。経営環境の予期せぬ悪化でA380型機導入決定時の計画を見直さざるを得ないという。
最初の機体は4月初め仏ツールーズで初飛行に成功、機体の外板の塗装作業に入るところだった。現状については詳細が明らかにされていない。
こうした中で、スカイマークは4月頃から、エアバスと全機キャンセル等を含む契約変更の交渉に着手。エアバス側は大手航空会社(相手は不明)の傘下入りを条件での交渉継続を求め、条件を呑まない場合、『法外な違約金支払いを求めた』(西久保社長)という。
スカイマークによると同社は無借金経営で独立経営が理念。最近就航を始めたエアバスA330型機の『グリーンシート』が乗客に好評で、先行きの見通しもでていた。このため、エアバスの契約解約条件は簡単には呑めないとして、目下交渉継続中がA380型機導入報道の真相だと説明。乗客株主へ、状況をいち早く知らせるべきと社長声明を出したとしている。
航空機を購入する際『契約時点で前金を支払い、製造進行の中間時点で相当額を振り込む。最後に、引き取り前に残金を支払うのが慣習』(航空機メーカー代理店、有力商社)。いったん製造開始後で航空会社が購入をキャンセルすれば、支払済の金額も簡単に返済されず、更に追加支払いとのケースも十分あり得る。すべては契約時の条項次第。
エアバスの日本国内の代理店は現在、三井物産だ。交渉の行方は、最終的に全機キャンセルとの見方が有力だが、違約金次第ではスカイマークの決算に重大な影響も懸念される。大手航空会社の傘下にはいるとなれば、国内の勢力図が根底から覆るかもしれず、今後の交渉の行くへから眼が離せない。