ーライバル、エアバスA350XWB型機引き離しの切り札?ルフトハンザ航空等への売り込み競争激化ー 2013-09-17 マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ) 2013-09-19 Revised 図:(Boeing)初飛行に向け工場内で最終点検を受けているボーイング787-9初号機、垂直尾翼のロゴが新鮮。 ボーイングが”ドリムライナー”初の派生型B787-9型機の処女飛行に成功した。9月17日、連続5時間のテスト飛行はトラブルも無く無事終了、同型機が技術的に進化を遂げたことが証明された。既に商業運航を開始中の初期型のB787-8型機に比べ胴体を6メートル延長したことで客席数は40席多い290人乗り。航続距離も550キロのび投入路線の選択が拡大する。最大のセールス・ポイント省エネ性能は20%の燃料節約を保証、後方に迫ってきたライバル、エアバスA350XWB型機をここで一気に差をつけたいところ。バッテリー連続発火事故でつまずいたB787シリーズだが、月産10機の量産体制が今年末迄に整うこともあってボーイングは守りから次世代旅客機のセールスで攻勢に出る。 B787-9型機の処女飛行はボーイング社の広胴型機の生産拠点、シアトル郊外のエバレット工場に隣接するペイン・フィールド飛行場をべースに実施した。B787型機の開発に携わるマイク・ブライアン、ランディ・ネビィル両機長が操縦桿を握り9月17日、午前11時過ぎ(現地時間)離陸。連続5時間以上のフライト後、同日午後4時20分前、無事着陸した。途中、高度6,200メートルまで上昇する等、すべては計画通りのテスト・フライトをこなした。飛行中のパラメータは地上で同時解析され満足すべき結果だったと言う。 ペイン・フィールド飛行場にはボーイング社従業員、報道陣、数千人が集まったが、ボーイング民間航空機部門CEO兼社長、レイモンド・コナーは『ニュージランド航空にB787-9型1号機を予定の来年半ばに引き渡したい』と語り開発に問題が無いとの見通しを示した。FAA(米連邦航空局)の型式証明取得を急ぎ、ニュージランド航空が見込む来年6月の商業運航を実現する。 ボーイング社によると、B787-9型機は全日空、日航を含む世界の25航空会社から388機の確定発注契約がある。”ドリームライナー”全体の受注で4割を占める。ボ社は胴体を更に延長し、旅客収容力を増やすB787-10型機開発にも取り組んでいる。 B787プロジェクトは開発に手間取り引き渡しが当初計画から3年ずれ込んだ。さらに商業運航開始後もリチュウム・イオン・バッテリー連続発火事故で足元をすくわれ、一時欧米のマスコミから『ナイトメアー・ライナー(悪夢の旅客機)』の厳しい評価も出た。ここへきて生産能力は月産10機の量産体制が年末迄に実現。ボーイング本来の技術力が成果をあげだした。一方、ライバル、エアバスA350XWB型機が間隙を縫って着々、マーケット・シェアーを拡大。これまで防戦気味のボーイングにとってB787-9型機の処女飛行成功の意義は大だ。 -以上−