ー独史上最大の単独発注。省エネ機材の一括投資でコスト削減、競争力強化を狙うー
2013-09-19 ジョン・ボスニッチ(ベオグラード)、マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ)
欧州屈指の航空会社、ルフトハンザ航空が次世代大型機の59機の大量発注を決定した。ボーイング社が開発着手を決めた先進改良型、B777-9X型、35機とエアバスA350-900型、24機。何れの機種も30機の仮発注契約が付随している。公表機体価格換算で契約総額は190億ドルに達し、独史上、単一の契約として最大だ。中東の新興、航空勢力の台頭で経営環境が厳しさを増す中での決断は次世代大型機への機種転換加速で省エネ、人員合理化2正面での生き残りに挑戦する。
[ルフトハンザ航空のロゴマークを付けたエアバスA350-900型機、写真提供:エアバス]
今回の機材契約は、スイスの製薬メーカー、ロッシュへ転出が決まったルフトハンザ航空、クリストフ・フランツCEOの最後の大仕事として決断された。エアバス、ボーイング両社が激しい売り込み競争をくり広げてきた。次世代大型機の将来の帰趨をルフトハンザの決定が左右すると航空界が見ていたからである。
ルフトハンザ航空の発表だとボーイングはB777-9X型機、34機の確定発注を受領した。エアバスはA350-900型機、25機の契約を得た。2機種とも確定発注に加え、それぞれ30機の仮発注契約がプラスされる。引き渡しはA350-900敵が2016年からスタート。B777-9Xは2020年からを予定している。ルフトハンザ航空が国際線で運航中の4発大型機、B747-400型機、エアバスA340型機の後継機種だ。
A350-900型機を先行入手するのは、同機がB777型在来型のライバル機として開発製造が進行中のため。一方、B777-9Xは人気機種のB777型在来型に最新テクノロジーを注入し革新機材に生まれ替わらせる計画。空力特性向上のため、主翼が世界最長となる。このため、両主翼に折り畳み設計を導入する奇抜なアイデアも採用された。
両機種とも省エネ、1座席あたりの運航経費の改善で航空各社の合理化に資すると懸命な売り込みを展開している。300~400人乗りの将来の新鋭機市場でボーイング、エアバス何れがイニシャティブを握るのか、ルフトハンザの導入機種が決定打の一つと見なされてきた。
ボーイング、エアバスとも分割発注で契約を分け合い内心はホッとしているようだ。ルフトハンザ航空も特定メーカーの1機種だと価格など契約交渉で不利はまぬかれない。またB787型機のバッテリー連続発火事故で経験した新鋭機の運航停止という思わざるリスクを最小限で食い止められる。これから次世代主力機選定では2機種並列が時代の流れになる可能性を示唆している。
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