ー平均機体使用年齢でライバル、日航より優位。1985年JALジャンボ機事故以降の重大事故ゼロを続けようー
2013-09-19 マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ)、ジョン・ボスニッチ(ベオグラード)、小河正義 共同執筆
サンフランシスコ空港で7月、起きたアシアナ航空のB777型機着陸失敗事故で航空旅客の間で一時、”空の安全”に疑念が過ったが、2013年の世界の空はいつになく安全な年だと言う。”空の安全の番人”『FSF(フライト・セイフティ・ファウンデーション)』等の分析で重大事故発生件数、犠牲者数は平均値を大きく下回っていると指摘された。LCC(格安運賃航空会社)の内外路線での参入が極く当たり前で、コスト重視で『安全性が疎かになるのでは?』との不安も、このところ払拭されつつある。しかし航空旅客の立場からすると、目にしたいのはどの航空会社が安全かという第三者機関の評価だ。こうした要望をかなえるデータが既に公になり、欧米の有力メディアが最近、相次いで発信しだした。我々も取材の範囲を広げた結果、ようやくたどり着いたので核心部分を報じたい。それによると日本の航空界だと安全性、ダントツは全日空。2012年のランキングは独、ルフトハンザ航空に次ぎ12位と健闘している。ライバルの日本航空は47位に留まった。520人が犠牲となった単独機で最悪だったJAL123便、ジャンボ機墜落事故以降、日本の航空界は乗客を巻き込む重大事故は皆無で、日々、安全記録を更新中。更なる記録更新はアジア航空市場の高度成長を考えると官民挙げて是非、頑張ってもらう必要がある。
航空会社の安全性ランキングの策定に取り組んでいるのは独の調査機関、『JACDEC(Jet Airliner Crash Data Evaluation Centre)』=ジェット旅客機事故の原因調査分析センター=。航空会社別の安全性を評価する際の基本データは運行管理、整備、危機管理、保安等8分野から抽出。IATA(国際航空運送協会)の国際法令、安全基準に基ずく900を超す安全監査基準と照らし合わす念の入った分析。加えて過去の重大事故にも目を配りJACDEC独自の安全指数をはじき出した。
航空会社別の安全性ランキングは2012年が最新版だ。それによるとトップ10は 1)フィンエアー(JACDEC安全指数、0.005) 、2)ニュージランド航空(0.007)、3)キャセイパシフィック航空(同)、4)エティハド航空(0.008)、5)エミレーツ航空(同)、6)エバー航空(0.009)、7)TAPポルトガル航空(0.009)、8)海南航空(0.010)、9)バージン・オーストラリア(同)、10)ブリティシュ・エアウェイズ(0.011)。気になる日本の航空会社ではANAが指数、0.012で11位のルフトハンザ航空(0.011)を追い12位と健闘している。目下、日本勢のトップだ。ライバルの日本航空は指数、0.202で47位に留まっている。日本航空が下位、低迷を余儀なくされるのは1985年8月、群馬県で起きた羽田発大阪行き123便の事故が足を引っ張る最大の要因だ。
全日空は厳しい競争下でも使用機材の更新を忘れていない。米国の調査では全日空の機体平均使用年数は日本航空を下回っている。日航の場合、経営破綻後、2重の公的資金投入で懐具合の改善は著しく全日空から公平性に欠けると批判は尽きない。公的支援に応える意味で投資の重点が安全性向上求められるのに、実際は広告宣伝費などに回す”悪しき体質”が目立つのはどうしたことだろう。
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