『核攻撃任務を司る米・戦略軍の最高幹部、カジノ不祥事で捜査対象に』 ーNo2の海軍提督、地位剥奪。核関連部隊で目立つ規律の乱れ?ー 2013-09-29 マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ) 核攻撃任務を司る米・戦略軍(USSTRATCOM)の最高幹部がカジノ関連の不祥事に巻き込まれ捜査対象になっている事が明らかになった。米国の有力メディアが先週末、一斉に報じた。問題の軍高官はNo2の地位にあったが、不祥事発覚後、地位を剥奪されたという。軍当局は捜査中だとして事実の公表を控えている。米軍のトップグループに属する制服組が捜査対象となるのは極めて異例。米軍の核関連部隊では最近規律の乱れが相次いで報じられており、今回の軍高官のスキャンダル表面化も合わせ気がかりだ。
ABCニュース等、米有力メディアによるとカジノ関連の不祥事で捜査対象になっているのは米戦略軍(USSTRATCOM)司令部副司令官、ティム・ジアルディーナ海軍提督。同軍のNo2の要職にある。米戦略軍は空軍、海軍の核攻撃部隊の戦力を統合すべく1992年に発足。2000年代に入ってミサイル早期警戒任務を有する宇宙軍やサイバー軍も組み込み、米軍の”核報復戦力”のシンボルとなっている。核兵器を搭載する有人戦略爆撃機、ICBM(大陸間弾道弾)、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射の”引き金”を司る事を考えると司令部最高幹部は人類の運命をも左右しかねないと言えよう。
同提督が関与しとされるカジノ関連不祥事はアイオワ州ブラッフ郡のホースシュー・カジノで現地の司法当局が摘発したという。全米のメディア報道を総合すると『偽造のチップが使用された』と見られる。金額等詳細は捜査中で明らかになっていない。米戦略軍はジアルディーナ提督が捜査の対象になっているとの情報を6月頃入手。海軍犯罪捜査部の裏付け捜査も合わせ司令官のケーラー大将がヘーゲル国防長官に提督の副司令官更迭を上申したという。9月3日からジアルディーナ提督は米戦略軍副司令官の任務を解かれ、機密情報へのアクセス権も停止された。捜査結果を待って最終処分が決まる。
ジアルディーナ提督は原子力潜水艦艦長を勤め、米大平洋海軍参謀長を経て2011年12月、米戦略軍副司令官に抜擢された。軍関係者もエリート軍人がこうした不祥事に巻き込まれたのに驚きを隠せない。