国土交通省航空局、日航の羽田発着枠配分見直し要請を却下。経営破綻後の再生で競争相手と大きな"体力差"発生と改めて指摘


2013-11-05       航空評論家、小河正義

羽田空港での国際線増便枠の割り振りで、日航が不平等配分を受けたと国土交通省航空局に配分やり直し要求が11月5日、却下された。同局は決定で多額の公的資金投入で、競合相手と『大きな体力差が発生。競争環境に不適切な歪みが生じた』と日航の行政への反発に自重を促した。日航が同時に求めた、羽田発着枠配分での関連行政資料開示も認めない方向で、後日正式に伝える。

羽田空港では、国際線の発着枠について来春から1日、20発着の増加が決まっている。このうち国内航空会社に対し16発着枠を配分する事で航空局が公平性、利便性等第三者委員会の意見を踏まえ検討。10月2日、全日空に対し11発着、日航は5発着で決定した。

しかし日航はこの決定が不公平だとして直ちに配分の見直し、決定に係る行政資料開示を要求する反撃に出た。

航空局は11月5日、日航の要求を”門前払い”し、逆に『経営破綻から再生の過程で多大な公的支援の結果、他の航空会社との競争環境で大きな体力差が生じた』と改めて指摘、『競争環境に不適当な歪みが生じた』と断じた。金融関係者によると2010年、経営破綻からの復活で日航が得た公的支援は1)金融機関からの債権放棄5,215億円 2)7,000億円近い公的資金支援  3)100%減資で2,500億円の日航株が紙くずーなど。加えて繰り越し欠損金の損金算入が認められ、再建後9年間法人税免除。1兆2,600億円の利益に繋がると至れりつくせりの待遇へ自民党を中心に批判が燻っている。担税能力から法人税減免の適用除外の声も法人企業から強い。

再上場で127億円の第三者割り当てでも、不透明さが国会で指摘された。

日本航空は航空局の正式回答について『発着枠配分の是正がなされないのは極めて遺憾。内容を精査の上今後の対応を慎重に検討したいと』とコメントした。

羽田空港の発着枠は航空会社にとって割当数が経営の前途を左右する。争奪戦は熾烈を極めたが、民主党政権の強力な支援者として稲森和夫名誉会長の存在が安倍内閣の不興を招いた事は間違いない。航空局と一戦を構えた日航は 、今後当局との関係修復で苦闘しそうだ。