マッハ6級、極超音速無人スパイ機『SR-72』計画明るみに


ーロッキード・マーチンとDARPA(国防高等研究開発局)が協力ー

2013-11-08      マーク・デブリン(米フロリダ州マイアミ)

米国が無敵の無人偵察機開発に着手したことが判った。国防総省のハイテク研究開発を統括する『DARPA(国防高等研究開発局)』とU-2型機以来、スパイ機開発で定評のあるロッキード・マーチンが協力する。マッハ6級の同機は『SR-72』と命名。マッハ3級の『SR-71(ブラックバード)』の姉妹機のイメージが込められる。2018年、基本技術を盛り込むミサイル飛翔体を実用化、2020年を目処に基礎技術を整える。

ロッキード・マーチン社には㊙研究組織『スカンク・ワークス』がカリフォルニア州ロサンゼルス郊外バーバンクに存在する。U-2型機『ブラック・レディ』、マッハ3級『ブラック・バード』、世界初のステルス戦闘機F-117『ナイトホーク』はすべてこの組織が係わった。。創設者は天才航空機設計家、クラレンス・ジョンソンで途中、ベン・リッチがを経て新しいボスに引き継がれている。

SR-71型機が1999年現役を退役後、革新的スパイ機開発計画は消えたかに見えた。しかし、同社とDARPAは極秘裏にマッハ6級の機体に欠かせぬ次世代推進装置、スクラムジェットを開発。低速時のジェットエンジンと極超音速飛行時のラムジェットを組み合わせたという。エンジン専業のアエロジェット・ロケットダインが加わり、技術上のハードルを着実に突破、マッハ6級を可能にする革新的エンジン開発の道筋を付けつつある。

マッハ6と言えば、時速換算で5,800㌔以上。東京ーハワイ間をわずか1時間で飛行可能。ステルス機全盛の昨今、対抗技術はステルス探知技術の開発といわば”盾と矛”の関係。この関係にピリオドを打つのがマッハ6級の極超音速無人偵察機『SR-72』の誕生だ。これこそが『究極のステルス機』とロッキード関係者。

これだと肉眼で捉えるのは無理。まずは無敵の存在になりそう。これこそが過去、スパイ機開発で他国を寄せ付けぬ米国防技術の真骨頂だ。

計画名はSR-71型機の姉妹機にふさわしく『SR-72』型機と決まった。この種のスクープでライバル・メディアを寄せ付けぬ『エビェーション・ウィーク&スペーステクノロジー』がすっぱ抜きロッキード・マーチン社もいち早くHPでの存在を認める手際の良さ。

完成予想図やスクラムジェット・エンジンも簡単だが構造図が公表された。欧米のみならず、ロシア、中国も飛びついた。なにせ米スパイ機開発計画としてSR-71型機から半世紀近くが経つ。開発費はロッキード・マーチン社は既存技術の活用で10億ドルと見積もる。

米国防総省は、目下、国防費全体の圧縮に大ナタを振るわざるを得ない。次世代長距離有人爆撃機はボーイングが主契約社、極超音速無人スパイ機はロッキード・マーチンに振り分け有力国防産業の生き残り策の一つと皮肉る声も

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[(Lockheed-Martin)2030年に実用化が可能とされるマッハ6級の極超音速機]