露爆撃機編隊、日本列島接近でスクランブル
2013-12-05 航空評論家 小河正義
防衛省統合幕僚監部は12月5日、露爆撃機編隊が日本列島北部を中心に接近したのに呼応してF-15要撃戦闘機等をスクランブルさせたと発表した。
図(防衛省):ロシア空軍「Tu-95」2機が我国日本海領空に接近飛行した経路。米軍の可搬型Xバンドレーダー[AN/TPY-2]は、航空自衛隊の青森県車力分屯地と京都府経ヶ崎分屯地にそれぞれ配備されている。「Tu-95」は正にその周辺で旋回飛行を繰り返し、同レーダーの性能を探ったことに疑いの余地はない。
可搬型Xバンドレーダー[AN/TPY-2]は送受信素子25,344個で構成され、探知距離は1000km以上、飛来する敵ミサイルの探知・追跡と[THAAD]ミサイルの中間誘導を行なうのが本来の役目。[THAAD]が配備されていない日本では、その情報は「リンク16」通信システムで日米両軍のイージス艦などにリアルタイムで伝えられ [BMD](弾道ミサイル防衛)の一助をする。
図(防衛省):当日空自F-15戦闘機が撮影した露空軍戦略爆撃機[Tu-95] 2機のうちの1機。1956年から配備中の4発ターボプロップ戦略爆撃機で1994年の製造停止までに500機以上が作られた。露空軍では2040年まで使用する予定。系列機には民間旅客機のTu-114、海軍用爆撃機Tu-142などがある。
全長46.2m、翼幅50.1m、最大離陸重量188㌧の大型機。エンジンはクズネツオフNK-12M 出力14,800軸馬力を4基。最大時速920km/hr、航続距離15,000km。
防衛省統合幕僚監部は12月5日、露爆撃機編隊が日本列島北部を中心に接近したのに呼応してF-15要撃戦闘機等をスクランブルさせたと発表した。
それによると12月5日、根室半島東方から防空識別圏に接近する複数の国籍不明機の反応を航空自衛隊北部方面隊の防空レーダーがキャッチした。千歳基地からF-15要撃戦闘機が発進し識別の結果、露空軍の戦略爆撃機トゥポレフTu-95『ベア』の2機編隊と判明した。露軍機は宗谷岬沖から北海道の日本海沿いに回り込みその後列島沿いに南下。鳥取県沖で進路を変え沿海州方面に向かった。
この間、青森県津軽半島、京都府経ヶ崎沖合で旋回飛行を試みている。いずれも弾道ミサイル探知のX-バンドレーダー基地が付近に存在、露側がレーダーの探知能力等を探った可能性が強い。
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付記:サイト運用をフロリダから東京に移すのに時間が掛かり、投稿が遅れたことをお詫びする。