2014年2月28日 ジョン・ボスニッチ(ベオグラード) ウクライナの前大統領で新政権が大量殺人容疑で国際指名手配したビクトル・ヤヌコビッチ(63)がロシア南部に極秘入国済みである事が判った。露国営、ノーボスチ通信が2月28日午前、報じた。前大統領搭乗機(機種不明)は露空軍機の護衛を受け露南西部のロストフ・ナ・ドヌの空港に2月28日午後5時(現地時間)到着したという。
ヤヌコビッチ前大統領の到着をいち早く伝えたのは地元メディア『ドンインフォルムビューロ』。着陸時空港周辺ではジェット戦闘機特有の金属音が30分近く続いたらしい。現地での宿泊先は人目につき易い政府高官関連施設でなく、個人住宅との未確認情報が流れている。治安当局が厳重な警備陣を周辺に配置したという。ロシアの有力報道機関がヤヌコビッチ前大統領のロシア入りを報じたのはこれが初めて。
ウクライナの政変とヤヌコビッチ前大統領への刑事責任追求についてクレムリンは一種のクーデーターだと強く反発。呼応するかの様に前大統領は2月27日、自身が憲法にもとずく正当な大統領で、過激派勢力から生命の安全を脅かされているとしてロシアに助けを求めた。
新政権はEU、NATO(北大西洋条約機構)の有力加盟国へ経済再建への支援を含め、急ピッチでモスクワと一段と距離を置きだした。露系住民が多数派を占める南西部クリミヤ半島では露海軍基地、セバストポリの運命も絡み、アンチ新政権で武装蜂起の動きを見せ始めた。
ヤヌコビッチ前大統領の露亡命が事実だとすれば、露ーウクライナの関係は一気にに緊迫化する。米国はクレムリンにウクライナ情勢への干渉を再三警告している。しかし地政学的に軍事行動はロシアに有利で、万一、露軍が国境を越えてウクライナへ”侵攻”すれば、米露は真正面から対決する事態に発展しかねない。
[ウクライナ新政権が国際指名手配中のビクトル・ヤヌコビッチ前大統領]