2014年3月7日 ジョン・ボスニッチ
[(US NAVY)黒海に出動する米第6艦隊のミサイル駆逐艦”トラックストン”]
[(US NAVY)ギリシャのサウダ湾に停泊中のミサイル駆逐艦”トラックストン]
米海軍は3月6日、アーレイ・バイク級ミサイル駆逐艦『トラックストン』(9,648.4㌧)を黒海へ派遣したと発表した。同感はルーマニア、ブルガリア両海軍との地域安全保障向上での 戦技訓練が目的。緊迫の度を増すクリミア半島情勢とは無関係だという。しかし、露軍のウクライナへの軍事プレッシャーが始まってから、米海軍艦船の初の黒海への進出で露軍の本格的軍事行動を牽制するペンタゴンの戦略の一環と見られる。
米海軍の発表では『トラックストン』には300人が乗り組んでいる。今回の行動は以前から決定済みで、黒海沿岸の同盟関係にある諸国への親善訪問が本来の目的と強調。米露の軍事対立を煽るものではないとしている。
同艦は対ミサイル防衛能力に優れたイージス装置を搭載。ミサイル迎撃ミサイルを発射可能な垂直発射筒(VLS)、360度全周での敵捜索、目標探知、迎撃ミサイル誘導のSPYレーダーを装備している。
『トラックストン』は既にギリシャ海域を離れ、トルコが管轄するボスポラス海峡に向かっているが、トルコ政府は同艦の通過を承認している。
一方、タス通信等の報道では露海軍の艦船2隻が黒海へ向かう為、ボスポラス海峡を通過したとの情報が流れている。今後のクリミア情勢の展開次第では米露の艦船が牽制のため近距離で接近遭遇する可能性は否定できない。