戦略爆撃機2機編隊等、露軍機4機の日本周辺接近で空自機多数が緊急発進


2014年4月15日(JST.08:20)                              小河正義

戦略爆撃機2機編隊等、露軍機4機が4月14日、日本列島周辺で相次いで接近飛行した為、空自機多数が緊急発進を余儀なくされた。同日深夜、防衛省統合幕僚監部が発表した。露軍機に対する緊急発進は3月26日以降、公表したケースだけでも異常な増加だ。背景にはウクライナ情勢に絡み、米軍の太平洋戦力への揺さぶりがあるかもしれない。

それによると、4月14日、朝鮮半島東方沿いに日本海西部で防空識別圏(ADIZ)を超え、九州方面へ南下接近する複数の国籍不明機を航空自衛隊西部航空方面隊の防空レーダーが発見した。福岡県築城基地から待機中の要撃戦闘機2機が直ちに発進した。接近確認の結果該当機は露空軍の戦略爆撃機、トゥポレフTU-95『ベア』と突き止めた。2機の編隊飛行だった。同編隊はその後、対馬列島南方をすり抜け東シナ海を経由、南西諸島周辺を飛行。九州南方~北海道の太平洋側でも日本列島への露骨な威嚇偵察飛行を繰り広げた。冷戦時代旧ソ連空軍が繰り出した飛行パターンの一つ、『日本列島一周』に酷似している。このため、空自機多数がスクランブルで飛び立った。飛行ルートは民間航空機の飛行が頻繁な空路と交錯、露軍の行動は”空の安全”を脅かす行為と言われても仕方が無い。

之に先立ち別途2件の露海軍・電子偵察機の本州~北海道の太平洋側、日本海側でそれぞれ発生した。この種の露軍機偵察飛行は3月26日以降、異常に頻発している。安倍政権はこうした露側の動きに対しより厳格な警告を発すべきだろう。

4:15スクランブル

 

[(航空自衛隊)航空自衛隊がスクランブル対応に追われた露軍機の偵察飛行の航跡]

イリューシンil20その1

[(航空自衛隊)東日本・太平洋側に接近した露海軍・電子偵察機イリューシンIL20″クート”]

イリューシンil20その2

[(航空自衛隊)本州~北海道の日本海側で接近飛行した露海軍・電子偵察機イリューシンIL20″クート”]

戦略爆撃機

[(航空自衛隊)日本列島をなめるように接近飛行した露空軍・戦略爆撃機トゥポレフTu-95″ベア”]

日本上空の航空路網

[(国土交通省)日本列島上空に張り巡らされた国内、国際線空路]

☆2014年4月15日(JST.19:00)           小河正義

露軍機の日本列島周辺での偵察活動がここへきて頻発している事について、小野寺五典防衛相は4月15日午前、防衛省内での定例記者会見で概要、次のように語った。ここ数日、連続して露軍機が日本海、太平洋側の方迄かなり頻繁に飛行している事は承知している。我が国への近接飛行や、演習・訓練が活発化しているのが、最近のロシアの傾向だと思っている。領空侵犯はしていないが、我が方としてしっかりとした対応で、警戒監視を引き続き実施している。最近、(露軍機の)飛行、訓練が活発化しているのは一義的には露軍の事情があるのかなと思っている。米韓軍事演習、北朝鮮の様々な行動、日本だけでなく東アジア全体としてロシアが様々な動向に注視している傾向があると認識している。