2014年5月24日(JST.17:40) Aaron Terruli
昨年1月、ボストン空港で日航のB787型機が駐機中、リチューム・イオンバッテリーが発火した事故で、原因究明に当たっている米国のNTSB(国家運輸安全委員会)が該当バッテリーの安全性審査にFAA(米連邦航空局)最初から手落ちがあったとの厳しい勧告を突きつけていることが明らかになった。シアトルタイムズ等が5月23日迄に相次いで報じた。 今後の対応として、航空機メーカー、FAA無関係なエネルギー省の専門家にリチューム・イオンバッテリーの安全性審査を委ねるべきと指摘。同バッテリーの自然発火の原因は未解明だとした。 FAAは勧告を受け最終報告書作成迄に如何なる対応をとるか明らかでない。ボーイングは運航停止後のリチューム・イオンバッテリーの安全対策と再発防止はNTSBの考えに沿い、FAAの認可を受けたもの。今後とも安全向上策を進めるとし、次の一手の必要性には言及しないという。 NTSBが取りまとえた報告は全文で20ページ。リチューム・イオンバッテリーの安全性審査にそもそも手落ちがあったとの厳しい内容。具体的には、2007年、FAAが型式証明を交付する前の安全性審査が甘かったとしている。リッチューム・イオンバッテリーに精通した外部の第三者の評価を得ず、ボーイングの考えを事実上鵜呑み。本来、この時点でリチューム・イオンバッテリーの厳格な安全性審査に臨むべきで、ボーイング、FAA、GSYuasaga安全性審査おざなりにしたという。 該当バッテリーに絡む過熱事故は、機体の運行再開後も2件発生。NTSBの実験では1)バッテリーを如何に備え付けるか。2)バッテリー周辺での温度変化。ーで環境条件が影響を与えることが判ったという。 ラップトップコンピューター、自動車、スマートフォンに使用しているリチューム・イオンバッテリーでの発火事故で原因は未開のまま。回路の短絡との因果関係解明に至っていない。 B787型機にリチューム・イオンバッテリーの搭載を審査する上でレプリカの使用等でテストすべき。航空機で未経験のシステムを使用する安全性審査はFAAが当然おこなうべきで、それも無関係のエネルギー省など特化した専門機関に任せるべきだとしている。 とはいえ、リチューム・イオンバッテリーの使用中止等、すでに140機の同型機が運行中で、891機の受注残がある。安全性再審査で航空界が大混乱に陥る。競合機のエアバスA350XWBとの売り込み商戦激化を考えるとボ社には受け入れがたい。NTSBの事故調査官がまとめたFAAの勧告原案は波紋を呼ぶのは必至だ。
[(Boeing)800機以上の受注残をさばくため、増産体制を加速中のエバレット工場、B787組み立てライン]