黒海の制海権を巡り露海軍がNATOに"敵愾心"あらわに。


NATO ships enter Black Sea

[(NATO)黒海西部で実施中のNATO恒例の軍事演習”SEA BREEZE -2014″に参加した英海軍掃海母艦”]

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[(MOD RF)NATO軍の黒海での軍事演習に”敵愾心”を燃やす露海軍]

2014年7月6日(JST.23:55)                          John Bosnitch

露海軍がロシア周辺の海域でのNATO海軍の動きに”敵愾心”を露骨に示しだした。ウクライナ情勢に関連して、周辺加盟国を安心させたいNATOは、7月4~13日、黒海西部で恒例の軍事演習『SEA  BREEZE- 2014』を予定通り実施。イタリア海軍のフリゲート艦『ITS Averie』を統裁艦にして英、トルコから合計4隻の艦艇が出動。ギリシャ、米からも対潜哨戒機等が加わった。露側は、同国への直接の脅威になるとして、反発し艦船20隻、航空機20機、海兵隊、沿岸砲兵部隊からなる大規模部隊を動員。クリミア半島を中心に同期間の軍事演習に突入した。

NATOの今回の演習は同海軍の対機雷探索掃討作戦が主たる目的。合同部隊の連携や有事の行動確認プラス、ロシアの脅威を懸念するブルガリア、ルーマニアにバックアップの意思を示す狙いも当然込められている。

露側は、NATOの演習が1997年以来、毎年恒例と承知した上で、クリミア半島併合とその後のウクライナ情勢を考慮すると、対露軍事プレッシャーがより鮮明になった映ったようだ。こうした行動は、ロシアの安全保障体制の根幹を揺るがしかねないと、モスクワは大規模軍事演習の対抗を黒海で当ててきた訳だ。6月半ば、バルト海で実施したNATOの軍事演習『BALTOP-2014』以上にプーチン政権を刺激したとモスクワの専門家が指摘する。

演習の初日、露軍は、『モスキート』、『マラヒト』両巡航ミサイルの発射で対NATOへの”敵愾心”を改めて示したという。ウクライナ東部のロシア系住民の本拠地でウクライナ軍が攻勢を強め、立場逆転しそうで、露側の同地域での影響力低下が目立ちだした。軍事演習がそのまま露軍の軍事介入に繋がる恐れも否定できない。黒海での露vs.NATOの対立が熱を帯び、情勢が緊迫化するかもしれない。黒海が欧州の”火薬庫”にならないことを祈る。