2014年7月8日(JST.01:20) Aaron Terruli
鉄道輸送中のB737型機の胴体3機分が、米北西部モンタナ州の山岳地帯で河川の堤防に落下した事が判った。NBCなど米有力メディアがビデオ映像や、静止画像で希有の鉄道事故として報じた。機体の回収方法、損傷の程度をボーイング、担当の鉄道会社BNSF Railway Co.で調査中だ。最大限の生産体制で人気機種、B737NGの需要を捌いてきたボーイングに取って影響拡大が懸念される。
鉄道事故が発生したのは7月3日(現地時間)。モンタナ州スペリオール東、30㌔の山間部。90両編成の長大貨物列車。うち19両が脱線した。この事故で脱線した車両の3両に積載していたB737型機の胴体3機分が、線路沿いのクラーク・フォーク河の堤防斜面に落下した。
放映された現場のビデオ映像では3機分のB737型機の胴体がほぼ3列で斜面に放り出され、一部が、同河川の水流に洗われている。
この貨物列車にはB737型機の6機分の胴体に加え、B777、B747両機種の関連大型構造部品も輸送中だった。これらも脱線事故で影響を受けたか否かは目下、調査結果待ちだという。
サウスカロライナ州チャールストンのボーイング傘下の、スピリッツ・アエロシステムズ社で製造され米本土を横断してワシントン州レントン、エバレットのボーイング最終組み立てラインへ搬送中の事故だった。
BNSFの関係者は事故原因について速度超過ではなく、線路が川沿いで、曲線軌道が多数の結果ではないかと推定している。
ボーイングは、ライバルのエアバスとの厳しい競争で狭胴機分野で能力いっぱいの大増産体制。しかし、『ジャスト・イン・タイム』のトヨタ方式に学び、部品供給チェーンが複雑化、地球規模で広がっている。コスト削減効果の背後で安定部品供給維持にリスクが残り、一時的に最終組み立て生産ラインストップ追い込まれるケースも起きている。
2014年の通年ベースで業績への影響を証券アナリストは懸念している。世界No1の民間機の王座をエアバスから奪還、この先しばらくボーイング優勢と見られていた。
[(BNSF HP)長大編成の貨物列車を牽引する3重連のディーゼル機関車]