経済制裁に対抗して露航空分野で反撃。アジア-欧州の大圏ルート『シベリア上空通過飛行』に影響。


2014年8月6日(JST.09:50)                        John Bosnitch ロシアのプーチン大統領が欧米中心の対露経済制裁に反撃するようメドべージェフ首相に命じた。露政府の決断として有力紙『ベドモスチ(Vedomosti)』は8月6日までに報じた。検討中の対欧米航空分野制裁として、シベリア上空通過飛行の禁止を含む同ルートの使用制限が俎上に上がっている。同ルートはアジアと欧州を直結する『大圏コース』として飛行時間の短縮、ジェット燃料節約に欠かせない存在。締め上げられれば反発する”スラブ魂”が着火したのか、バカンス・シーズン真っ盛りで書き入れ時の国際航空会にとって座視できぬ事態に発展しそうだ。 メドベージェフ首相はプーチン大統領の指示で、露運輸相、アエロフロート代表と即刻協議し、既に具体策実施へ動き出したされる。最大の効果を狙い、シベリア上空通過飛行に狙いを定め1)飛行の禁止。2)上空通過利用料の引き上げ。ーなどにタイミングをみて踏み切るらしい。企ろみ通りだとアジアと欧州を結ぶ空の大動脈は多大の影響を受ける。所要時間が相当伸び、運行ダイヤ調整が混乱に陥りかねない。代替ルートの使用は国際線のネットワークを一時代前に戻す事になる。 8~9月半は、北半球で航空需要がピークを迎える多客期。航空界挙げての書き入れ時で、今更、北極圏経由、南回り欧州線復活などでは利用者の反発を買うだけだ。 ロシアが欧米のウクライナ問題関連の新たな経済制裁発動に反発するのはエネルギー資源分野、金融機関への厳しい国際活動制約、プーチン政権中枢部の側近をターゲットにした海外の個人資産凍結など効き目が強烈だったに他ならない。 プーチン大統領が反撃のチャンスを模索する中で、アエロフロート航空の関連会社、『DobrolyotAirlines』のクリミヤ半島就航禁止、リース機材の引き上げが格好の材料だった。ルフトハンザ、エールフランス、英国航空など欧州有力企業は年間、10億㌦の損失をこのままだと露の反撃で受けるという。 更なる制裁合戦がエスカレートするのか否か、プーチン政権がマレーシア航空機撃墜事件の原因究明が一方的と認識している以上、予断を許さない。 ARO Aeroflot 777-300ER Artwork K65276 [(Boeing)アエロフロートは広胴型機でボーイングのお得意様だ]