エアバスA350-900、EASAの型式証明を取得


2014-10-04 松尾芳郎

 A350 編隊飛行

図:(Airbus)型式証明取得の試験飛行に参加したA350-900型機5機のフォーメイション飛行。3機目にはカタール航空向け塗装のMSN6が写っている。

ヨーロッパ航空安全庁(EASA=European Aviation Safety Agency)は、2014年9月30日エアバスA350-900に対し型式証明を交付した。同機はロールスロイス(RR) Trent XWBエンジンを2基装備している。米国FAAからの型式証明は間もなく交付される予定。

A350-900の型式証明は、EASA長官パトリック・ケイ(Patrick Ky)氏が署名し、エアバス技術担当副社長兼A350 XWB主席技師長ゴードン・マコーネル(Gordon McConnel)氏に直接手渡された。

エアバス社長兼会長ブレゲー(Fabric Bregier)氏は「A350-900型式証明の交付は、同機の開発に携わったエアバスと関連企業の全ての人々にとり偉大な功績である」さらに「A350XWBは乗客に新鮮な喜びをもたらし、エアラインに利益を生む革新的な新型機」と述べ、関係者の労をねぎらった。

マコーネル氏によると、米FAAの型式証明は間もなく発行される。 ”ETOPS (Extended Twin Operations=双発機による長距離進出運航)180”の試験は順調に完了し、認可を申請中だが、これはさらに数週間後になりそうだ。最初の”ETOPS”は180分ルールで発行されるがその後の実績で延長される見込み。

初号機MSN6は、今年末までにカタール航空(Qatar Airways)に引渡される。

エアバスは、ボーイング787のバッテリー火災のあとA350にリチウム・イオン電池(Li-ion)の搭載を取り止めたが、その後の対策状況から再び採用を決め、2016年引渡しのA350 XWBから搭載する。

今回証明を取得したA350-900は、客室乗員数最少8名で最大旅客数440名として認定された。

最大離陸重量は、基本型では268㌧だがEASAからは275㌧として認定を受けた。これは初期のA350-900は予定より3㌧ほど重くなっているため、と説明されている。また、認定された最大運航高度43,100㌳である。

EASAはA350-900をA330 /A340の系列機と位置づけ、パイロット資格はA330とA350共通の型式資格(type rating)である、と認定した。

型式証明取得のための試験には、5機が充てられ15ヶ月間で合計2,600時間の試験飛行が行われた。試験飛行はこれまでで最も順調に行われ、全ての耐空性に関わる要件に合致し、また設計の制限値を余裕を持ってクリアできた。

これには、事前に地上で実施したシステム試験、シュミレーション、さらにはシステムに装備品を組込んだ試験、等が大いに貢献した。

2014年9月末でA350 XWBは39社から750機の確定発注を得ている。内訳はA350-900 / 547機、A350-1000 / 169機、A350-800 / 34機、となっているが、この内A350-800は開発中止の見込みで-900または-1000に変更される模様。

–以上−

 

本稿作成の参考にした記事は次ぎの通り。

Aviation Week eBulletin Sept 30, 2014 “EASA Certified Airbus A350-900” by Jens Flottau

Airbus Home 30 Sept 2014 “Airbus A350-900 receive EASA Type Certification”

Flight Global 30, Sept. 2014 “EASA certifies A350-900” by David Kaminski -Morrow