陸自、島嶼奪回作戦用の水陸両用車にAAV7A1を選定


–長崎県佐世保基地周辺に新たに編成される「水陸機動団」の装備として52輛を購入する予定—

 

2014-12-03 松尾芳郎

 

防衛省は平成26年12月2日発表の「お知らせ」で、平成27年度概算要求に計上している陸上自衛隊の水陸両用車として、米国政府経由でAAV7V1 RAM/RSを選定した、と公表した。

防衛省は先に検証用として4輛のAAV7A1購入、試験していたが陸上自衛隊の要求性能を満足することを確認したことから、今回の決定をおこなった。

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図:(US Marine Corp)水上を航行するAAV7A1水陸両用車。AAV7A1は上陸作戦に使われ、沿岸に接近する揚陸艦から発進、船のように航行し、そのまま上陸し走行できる。長さ約8m、幅3.3m、装甲は45mm、重さ29㌧で乗員3名+最大25名の兵士を運ぶ。カミンズ(Cummins)製400馬力ジーゼル・エンジンを備え、速度は陸上不整地/30km/hr、舗装道路/72km/hr、水上/13km/hrである。

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図:(US Marine Corp)上陸演習をおこなう米海兵隊のAAV7A1水陸両用車

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図:(防衛省)陸上自衛隊で評価試験中のAAV7A1。強化型装甲板(EAAK= Enhanced applique armor)は取付けていない。

防衛省は、数年前から沖縄県南西諸島の尖閣諸島に対する中国からの脅威に対処するため、体制の強化に取組んできた。その一つとして陸自西部方面隊に「水陸機動団」を新設することが決まっている。水陸機動団は、西部方面隊普通科連隊を基に3個連隊を新編、合計2,000-3,000人規模の編成となる。各連隊にはAAV中隊が配属され、そこで水陸両用車AAV7A1を使用する。

これ等部隊用として平成30年度中に30輛、次年度以降を併せ52輛を導入することとなった。

AAV7とはAssault Amphibious Vehicle(強襲水陸両用車)7の頭文字を採った呼び名で、米海兵隊の上陸作戦用に開発された戦闘車両である。United Defense社の手で作られ、1972年から海兵隊に配備が始まり約1,000輛が使われている。

AAV7A1は韓国サムソンでもライセンス生産され、KAAV7A1として韓国海兵隊で使われている。2005年にはメーカーのUnited Defense社はBAE Systemsに吸収された。

海兵隊は、2016年から2023年まで「近代化改修」(Limited reset)を行う計画で、約40%(396輛)の車両に適用する。これでAAVの寿命を2030年まで延伸する予定だ。

AAV7A1には目的別に次ぎの種類がある;–

*  AAVP-7A1 (兵員輸送用/Personal):基本型でM2HB .50口径重機関砲砲塔とMk19 40mm自動擲弾発射装置を備えている。乗員3-4名と武装兵士最大25名を乗せる。

*  AAVC-7A1(指揮車両/Command)砲塔は備えていない。内部スペースには多数の通信機材を搭載している。乗員は2名、それに通信要員5名と指揮要員等5名が搭乗する。

*  AAVR-7A1(破損車両回収車/Recovery)これも砲塔はない。いわゆるレッカー車で、クレーンを装備する。乗員2名と修理要員が搭乗する。

–以上−

 

本稿作成の参考にした記事は次ぎの通り。

防衛省平成26年12月2日「お知らせ」“陸上自衛隊の水陸両用車の車種決定について”

Army Technology com. “AAV7A1 Assault Amphibious Vehicle, USA”

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