中国艦隊、西太平洋演習を終え沖縄本島—宮古島海峡を通過


2014-12-15 松尾芳郎

 

防衛省統合幕僚監部の発表(2014-12-13)によれば、12月12日(金)午後6時頃、海上自衛隊大湊基地第3護衛隊の護衛艦「まきなみ」および那覇基地第5航空群所属の「P-3C」哨戒機が、宮古島南東約120kmを北上する中国艦隊を発見した。艦隊は、ルーヤンII級ミサイル駆逐艦1隻、ソブレメンヌイII級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイII級フリゲート艦2隻、フチ級補給艦1隻、およびドンデイアオ級情報蒐集艦1隻の合計6隻。

まきなみ112

写真:(海上自衛隊)中国艦隊を発見した第3護衛隊所属の護衛艦「まきなみ」。同艦は「たかなみ」型4隻の一つで、満載排水量6,300㌧。「むらさめ」型5隻の改良型で2003-2006年にかけて竣工した汎用型護衛艦。前甲板にはOTTOメララ127mm単装砲、艦中央には90式対艦ミサイル4連装発射筒を2基、それにMk41 VLS (対空/対潜ミサイル32基を収納)を1基備える。

 

その後中国艦隊は、沖縄本島—宮古島間の海峡を通過、北西に向かい立ち去った。統合幕僚監部では、これ等の艦艇が先日行われた西太平洋上での演習に参加していたことを確認している。

中国海軍が行った西太平洋の演習については別記事「中国海軍、西太平洋で今年最大の演習を開始」(2014-12-06)に述べてある。注目すべきは、12月4日に同海峡を通過太平洋に向かった艦隊と、今回12日に太平洋から東シナ海に帰投した艦隊とは、艦番号から判断して別の艦隊、と云う点である。

 

以下は、統幕監部が発表した海上自衛隊撮影の中国艦艇の写真。

ルーヤンII級ミサイル駆逐艦151

「旅洋II型」/Luyang II classミサイル駆逐艦「鄭州」艦番号151。2013年12月就役の新造艦。フェイズド・アレイ・レーダーを艦橋四面に配置した”中国版イージス艦”と呼ばれる防空艦。HHQ-9対空ミサイルを6連装回転式VLSに装備、計8基に搭載している。2004年以降今年末までに6隻が就役済み。満載排水量約7,000㌧、Zhi-9A型ヘリコプター2機を搭載する。

ソブレメンヌイII級ミサイル駆逐艦138

ロシア製ミサイル駆逐艦II型で2隻購入の一つ「泰州」艦番号138、2005年の就役。大型の超音速対艦ミサイルSS-N-22を4連装発射筒に収め、両舷に装備している。Zhi-9ヘリ1機を搭載、満載排水量約8,000㌧。他に旧ソ連が建造を中断していたI型と呼ぶ艦2隻も購入しているので、同型艦は4隻ありいずれも東海艦隊に配属中。

ジャンカイII級フリゲート529

「江凱II」型フリゲートの一隻、「舟山」艦番号529、2008年就役、満載排水量約4,000㌧。現在同型艦は20隻が就役中で北海、東海、南海、の各艦隊に配備されている。対空ミサイル短SAM HHQ-16 は米海軍と似た32セルのVLSに納められている。この他にYJ-83対艦ミサイル4連装発射機2基を備える。

ジャンカイII級フリゲート548

同じく「江凱II」型フリゲートの一隻、「益陽」艦番号548、2010年の就役。

フチ級補給艦886

「福地」型補給艦(Fuchi class Type 903 replenishment ship)のネームシップである「千島湖」艦番号886、2003年就役で東海艦隊に配備中。本型は最新の大型補給艦で満載排水量23,400㌧。近代的な補給能力を備え、これで中国海軍の外洋行動能力は大きく向上し、いわゆる”ブルー・ウオーター・ネイビー“に成長した。同型艦は5隻就役済み。 ドンデイアオ級情報蒐集間851

ドンデイアオ級情報収集艦(Dongdiao class Missile & Satellite Monitoring Ship)の情報は不明。

ルーヤンII級ミサイル駆逐艦151からヘリ発艦

「旅洋II型」/Luyang II classミサイル駆逐艦「鄭州」艦番号151から発艦したZhi-9Aヘリコプター。やや不鮮明だが、海自護衛艦「まきなみ」が遠方から撮影したものと思われる。Zhi-9Aヘリは、ハルビン(Harbin)航空機がフランスのユーロコプターAS365ドルフィンをライセンス生産した機体。これまでに200機以上が作られている。

洋上補給

右側の「福地」型補給艦「千島湖」艦番号886(写真説明には889とあるが誤り?)から補給を受ける左側のソブレメンヌイII級ミサイル駆逐艦「泰州」艦番号138。

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