中国艦隊、北海道宗谷岬を通過し日本海に入る


2014-12-27 松尾芳郎

 

防衛省統合幕僚監部の発表(2014-12-25)によれば、12月24日(水)午後9時頃、海上自衛隊第3護衛隊(大湊基地)所属の護衛艦「すずなみ」が、宗谷岬の東北東約130kmの海域を西に向かって進む中国艦隊を発見した。艦隊はルフ級駆逐艦1隻、ジャンカイII級フリゲート艦2隻およびフチ級補給艦1隻の合計4隻。P-3C哨戒機の監視で、その後これ等艦艇は宗谷海峡を通過し日本海に入ったことを確認している。

また、これら4隻の艦艇は12月4日(木)に鹿児島県南端の大隅海峡を東シナ海から太平洋に航行したものと同じで、青島基地を本拠とする北海艦隊に所属している。西太平洋で演習を行ったのち北上し、オホーツク海経由で北海道北端を通り日本海に抜けたものである。つまり我国の周囲を回り、外洋艦隊としての能力を誇示したものと、受け止められている。

12月4日の中国艦隊の行動については「中国海軍、西太平洋で今年最大の演習を開始」2014-12-06に記載してあるので参照されたい。各艦艇が同一であることが確認できる。

110すずなみ

図:(海上自衛隊)護衛艦「すずなみ」艦番号114は、写真の「たかなみ」(110)級4隻のうちの一隻で、2006年に就役した。基準排水量4,600㌧、満載排水量6,300㌧、127mm 54口径単装砲1門、90式対艦誘導弾4連装発射機を2基、対空や対潜ミサイルを装備するMk41 VLS 32セル型を1基、などを備える。

ルフ級駆逐艦112

図:(統合幕僚監部)「Lufu」型駆逐艦”ハルビン”艦番号112は北海艦隊の旗艦。満載排水量約4,700㌧、個艦防空用にクロタルHQ-7短SAM8連装発射機1基と対艦ミサイルYJ-834連装発射機4基を搭載。北海艦隊は青島基地に司令部を置き、旅順、煙台、威海の各基地を運用する。同型艦は2隻でいずれも北海艦隊に所属。

ジャンカイII級フリゲート538

図:(統合幕僚監部)度々紹介している「江凱II」型フリゲートの一隻、”煙台”艦番号538、満載排水量約4,000㌧。現在同型艦は20隻が就役中で北海、東海、南海、の各艦隊に配属されている。対空ミサイル短SAM HHQ-16 は米海軍と似た32セルのVLSに納められている。この他にYJ-83対艦ミサイル4連装発射機2基を備える。

ジャンカイII級フリゲート546

図:(統合幕僚監部)同じく「江凱II」型フリゲートの一隻、”塩城”艦番号546。12月5日撮影の写真より鮮明。

フチ級補給艦889

図:(統合幕僚監部)補給艦「福地」型の1隻“大湖”艦番号889。「福地」型は最新の大型補給艦で満載排水量23,400㌧。近代的な補給能力を備え、これで中国海軍の外洋行動能力は大きく向上した。同型艦は5隻就役済みで、本艦は2013年12月に完成したばかり。北海艦隊に所属。

補給艦889と駆逐艦112

図:(統合幕僚監部)23,400㌧の大型補給艦”大湖”艦番号889(右)から補給を受ける駆逐艦”ハルビン”艦番号112(左)。海自護衛艦「すずなみ」が撮影した写真と思われる。

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