2016-04-21(平成28年) 松尾芳郎
防衛省統合幕僚監部によると(28.4.20)、中国軍の「Y-8」早期警戒機1機が沖縄本島と宮古島間の我国防空識別圏を、東シナ海と太平洋を往復する形で飛行した。我が航空自衛隊は、直ちに那覇基地から戦闘機を発進させ対応した。
折から4月14日夜から始まった熊本地震から1週間になるが、我国の混乱に乗じて、この間中国海警の船が頻繁に石垣市尖閣諸島の領海を侵犯しているのはご承知の通り。さらに今度は海軍の早期警戒機による防空識別圏への侵入だ。
2011年3月の東日本大震災の時にも、中国海軍は艦艇を尖閣諸島に送り付け、我が海自艦に艦載ヘリを異常接近させた。当時香港の中国系紙は「この機会に尖閣諸島を奪取すべし」と書いたと言われる。
我々は、震災につけ込む隣国のこのような動きに対し警戒を緩めてはならない。
図1:(統合幕僚監部)4月20日、東シナ海から宮古海峡を通過、太平洋に出て再び同航路を反転、中国本土に向かった[Y-8]早期警戒機の航跡。
図2:(統合幕僚監部)早期警戒管制機Y-8。現ウクライナのアントノフ設計局が作ったAn-12型輸送機を中国がライセンス生産したのがY-8輸送機。1981年から陜西飛機工業で75+機が生産された。Y-8は輸送機型が基本だが、多くが多様な電子偵察用に改造。写真はその1つ「Y−8洋上偵察機 (Y-8ASA)」である。
機首にある大きなレドームにはイギリス・タレス社から入手した高性能「スカイマスター(Skymaster)」空中捜索レーダーが入っている。中国海軍は4機を保有、東海艦隊の作戦支援任務についている。捜索範囲は1万 mに上昇した場合は320 km x640 kmに広がる。
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