左翼路線に収斂‼ 立憲民主党に染まる野党共同会派


2019年10月13日(令和元年)

元 文部科学大臣秘書官  鳥居徹夫

  立憲民主、国民民主、社民の三党と衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」は9月30日、衆参両院で会派を合流し、新会派を届け出た。

新会派は衆院120人、参院61人。衆院は2012年末の第二次安倍政権発足以降、野党会派として最大勢力となった。

今回の統一会派結成は、先の参院選での立憲民主党と国民民主党とのシコリを払拭しようというもの。また共産党などとの「選挙共闘」も組みやすくなるという思惑もみえる。

つまり先の参院選で、一人区において野党統一候補が10人当選しており、それを衆院の全小選挙区に広げようというのである。

7月の参議院選挙で、野党は一人区での候補者を一本化したが、複数区では候補者調整どころか野党間の不協和音が目立ち、れいわ新選組の参戦もあって、立憲民主党は思うような票数、議席が取れなかった。

そこで立憲民主党は、国民民主党会派に院内会派「立憲民主党・無所属フォーラム」に加わることを8月5日に呼びかけた。

これを受け国民民主党は8月25日、両院議員総会を党本部で開き、立憲民主党と衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」(社保)の3党派代表は会派合流で合意し、さらに社民党も共同会派に加わり、10月の臨時国会に対応するとした。

この共同会派は、政策や運動は立憲民主党に収斂させ、国民民主党を解体するものになろう。

8月5日に、立憲民主党が国民民主党に呼びかけた内容は、「市民連合の要望書に記された13項目(平和安保法制に反対など)にわたる政策要望を踏まえ」「立憲民主党の政策、すなわち、立憲主義の回復など憲法に関する考え方、いわゆる原発ゼロ法案等のエネルギー関連政策、選択的夫婦別氏制度などにご理解ご協力いただき」と記載されていた。その上に立って、国民民主党が、院内会派「立憲民主党・無所属フォーラム」に加わることを求めていた。

この呼びかけに対し両党は8月20日に、衆参両院で会派をともにするため党内等の了解を得ることで合意した。

その合意文書では、「国民民主党は、8月5日の立憲民主党による申し入れを受け入れ、衆議院において立憲民主党と会派をともにする」となっており、これは国民民主党が立憲民主会派へ吸収されたことに等しい。

 

議員は新党に合流、党財政は合流せず

国民民主党の財布は、小沢グループにとっても魅力的

小沢一郎は、9月23日に都内で講演し「国民にわかりやすくベストの体制は、単一の政党になること」と合流による巨大野党結成の必要性を力説した。

今回の統一会派は、野党再結集への第一歩とし、次期衆院選までに単一政党になること、つまり野党合併に期待を示したのである。

小沢一郎のシナリオ通り進めば、立憲民主党と国民民主党は解党し、旧民進党系の無所属議員も含めた新たな政党を立ち上げることになろう。

つまりかつての民主党の亡霊のような新党である。

新たな政党の結成となれば、小沢一郎グループが所属する国民民主党が解党すると、その資産は合流後の政党に受け継ぐとは限らない。国会議員は、新党(民主党の亡霊?)へ移行しても、党財政は合流するとは限らない。

参議院選挙直前にも、旧民進系の諸政党の一本化や、参議院比例の統一名簿の話などがあったが、立憲民主党の枝野代表は拒否し続けるどころか、国民民主党の現職議員を引き抜くなど独自路線を貫いていた。

そこで小沢一郎は、国民民主党に自由党を合流させることを提起した。

国民民主党は4月26日未明の両院議員総会で、自由党との合流を了承し、国民民主党の玉木雄一郎代表と自由党の小沢一郎代表は合意文書に署名した。つまり小沢一郎らの自由党が、国民民主党になだれこんだのであった

合流後の党名は、国民民主党で代表は引き続き玉木雄一郎が務めることとし、基本理念、政策、規約なども、すべて国民民主党のものを踏襲することとし、自由党は解党した。

国民民主党には、民主党~民進党の流れから蓄えた100億円とも言われる党資金がある。

さらに今年2019年に国庫から支払われる政党交付金は、国民民主党が約54億円、自由党が3億円弱であり、国民民主党の財布は、小沢グループにとっても魅力的と言える。

 

党資金の私物化をはかった小沢グループ 

小沢一郎は、両党が合流した4月26日の記者会見で「私は大した能力がありませんので、玉木代表のもとで命じられたことを一生懸命やりたい」と述べたという。

この小沢発言は16年前2003年の「民主・自由合併」を想い出させる。

菅直人が代表であった民主党は、小沢一郎が率いる(旧)自由党と合併した。その時も党名は民主党のままで自由党を吸収する形だった。そして小沢一郎は自ら「一兵卒」宣言し、無役として民主党に加わった。

それ以前にも、小沢一郎は、自ら作った新生党が新進党に合流した際も、また(旧)自由党と民主党が合流した際も、解散時の党財政を小沢一郎自らの政治団体に寄付(横流し)するという錬金術で、党資金を自分たちのグループに回してきた。

4月に解散した自由党の党資金の行方は、やはり小沢グループに流れた。国民民主党に自由党の議員は合流したが、党財政は合流しなかった。

自由党の財政は、合流した国民民主党に行かなかったのである。

毎日新聞(2019.09.27)によると、今年4月に解党した自由党が受け取った政党交付金などの資金のうち約9億6000万円が、国民民主党に行かず、小沢グループの政治団体「国民生活会議」に寄付されていたことが、9月27日に公開された政党交付金使途等報告書で判明した。

言うまでなく、政党交付金は国民の税金を原資としている。

自由党の解党に伴って総務省に提出された使途等報告書によると、前年からの繰り越しを含めた約10億円のうち、2回で約9億6000万円が国民生活会議に流れて(寄付されて)いた。

政党助成法ができて以降、政党の解散により残金を国庫に返還したのは、渡辺善美の「みんなの党」だけである。

まさしく「出て殖やし 入っては貯める 小沢流」と言える。

銭ゲバ小沢一郎の高笑いが聞こえてくるようだ。(敬称略)