令和4年10月、我国周辺における中露両軍・北朝鮮の活動と我国/同盟諸国の対応



2022-10-09(令和4年) 松尾芳郎

令和4年10月、我国周辺における中露両軍、北朝鮮の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し、公的部門等から多くの発表があった。注目すべきニュースは次の通り。

  1. 10月4日、6日、9日、12日、14日、28日、北朝鮮は弾道ミサイルおよび巡航ミサイルを発射
  2. 10月4日、空自と米海兵隊航空軍は東シナ海で合同演習を実施
  3. 10月6日、海自、米海軍、韓国海軍が日本海で共同訓練を実施
  4. 10月12日、海自、リチウムイオン電池型潜水艦「じんげい」の命名式・進水式を挙行
  5. 2022年度上半期の緊急発進実施状況
  6. 10月11日、オーストラリア、カナダ、日本、米国4ヶ国海軍は南シナ海で合同演習「ノーブル・ミスト22」を実施
  7. 10月18日、11~18日の間、スールー海で実施したフィリピン、米国、オーストラリア、フランス、日本、各國海軍の合同演習「サマ・サマ・ルンバス2022」が完了
  8. 10月21日発表、令和4年度日米共同統合実動演習(Keen Sword 23)を11月中旬に実施
  9. 10月27日発表、令和4年度国際観艦式を11月6日に実施
  10. その他「SM6 Block 1の日本への売却決定」、「日本政府、トマホーク・ミサイル導入を検討」

(The military threats against Japan by Russo-Chinese Forces and North Korea are active. Following ten were main issues in October.

  1. North Korea launched one medium-range ballistic missile to Pacific Ocean Oct. 4, and six short-range ballistic missiles to Japan Sea but not into Japan’s EEZ Oct. 6, ,9, 12, 14 and. 28.
  2. Japan and US Marine Air Forces together with number of aircraft played military drill over East China Sea on Oct. 4.
  3. Japan, U.S. and Korean navy conducted military exercise in Japan Sea on Oct. 10.
  4. Latest model of a Li-Ion battery powered Submarine launched Oct. 12, named “Jinngei”.
  5. Number of scramble flight against Chinese and Russian aircraft on the first half Fiscal Year 2022 (April 1st thru August 30), reported by Japan’s DOD.
  6. Japan, U.S., Australia, Canada Multinational Naval Exercise (NOBLE MIST 22) conducted at South China Sea on October 4-8.
  7. Combined Philippine-U.S.-Australia-France-Japan and U.K. naval exercise Sama-Sama-Lumbas 2022 conducted Oct. 18 following eight days at the Sulu Sea near Cebu City.
  8. U.S.-Japan bilateral military drill “Keen Sword 23” will conduct on mid-November around Okinawan islands.
  9. International Fleet Week 2022, October 29-November 13, celebrate JMSDF 70th Anniversary simultaneously, is being held at Yokosuka, Kisarazu, and Yokohama.
  10. Other major issues; “ US Government approved to sale to Japan of SM-6 Block 1 missiles” , “Japan’s DoD is looking into buying US-developed Tomahawk cruise missiles”.

以下にそれぞれを紹介する。

  1. 10月4日、6日、9日、28日、北朝鮮は弾道ミサイルおよび巡航ミサイルを発射

A) 中距離弾道ミサイル発射
10月4日7時22分、平壌北の内陸部[慈江道・舞坪里]から中距離弾道ミサイル(火星12改と推定)1発を発射、7時28分ごろに青森県上空を通過、最高高度1,000 kmで4,600 kmを飛翔、日本の東3,200 kmの太平洋上に着弾した。射程4,600 kmの範囲には、我国の南鳥島を含む全域および米太平洋軍の基地グアム島が含まれる。
「火星12」は2017年5月以降4回発射した。これまでの射程は2017年9月の3,700 kmが最長だったが、今回はそれを900 km超えて[慈江道・舞坪里]からグアムまでの距離3,500 kmを大きく上回る。

図1:(防衛省)10月4日発射の北朝鮮(火星12改?)中距離弾道ミサイルの飛翔経路。我国全域とグアム島を射程に収める。

図2:(朝鮮労働新聞)火星12型中距離弾道ミサイルは液体燃料方式。左が10月10日に公開した4日発射の「火星12改」の写真。右は従来の「火星12」。両者とも大きさは同じ、発射車輌も6軸12輪の同型。

図3:(朝鮮労働新聞)左が10月4日発射の「火星12改」、右が従来の「火星12」。「火星12」にはメイン・ロケットの周囲に姿勢制御用小型ロケット・スラスターが4基装着されていた。今回の「火星12改」にはない。バーニア形式の推力偏向ノズルにしたようが詳細は不明。

B) 短距離弾道ミサイルおよび巡航ミサイルの発射
10月6日朝にKN-23とKN-25、9日夜にKN-25を2発、12日夜に巡航ミサイル、14日夜にKN-23 ?、28日昼にはKN-23 or KN-24 ?、を、北朝鮮東岸付近から日本海に向けて発射した。いずれも高度100 km程度で230~350 kmほど飛翔し、我国EEZ外の日本海に着弾した。

図4:(防衛省)10月に5回に分けて発射された短距離弾道ミサイルおよび巡航ミサイルの飛翔経路。

28日昼に発射の弾道ミサイルについて“テレ朝ニュース”および”Yahoo News/JSF軍事・生き物ライター“が報じたので紹介する。
「韓国軍によると北鮮東部の江原道・通川から短距離弾道ミサイルKN-23 or KN-24が2発発射され、水平距離230 km、最大高度24 km、速度マッハ5で飛翔し、通川の北東の無人射爆場・卵島に着弾した模様。
北朝鮮は9月25日以降異例のペースでミサイル発射を繰り返しており、10月10日の労働党創立記念日に“一連の発射は戦術核運用部隊の訓練”と発表した。これは韓国軍が17日〜28日に実施した大規模演習[2022護国訓練]、および31日から行われる米韓空軍の大規模演習への対抗措置とみられる。」

2. 10月4日、空自と米海兵隊航空群は東シナ海で合同演習を実施

10月4日、九州西方・東シナ海の空域で、西部航空方面隊隷下の第5航空団(新田原基地)F-15戦闘機4機、および第8航空団(築城基地)F-2戦闘機4機は、米第12海兵航空群(岩国基地)F-35B戦闘機4機、と各種戦術訓練を実施した。目的は、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「火星12改?」発射など我国周辺の軍事緊張の高まりに対し、即応体制を強化するため。

図5:(統合幕僚監部)10月4日東シナ海上空で編隊飛行する日米機。先頭の3機は第5航空団F-15戦闘機、手前4機は第8航空団F-2戦闘機、奥の4機は米第12海兵航空群F-35B STOVL戦闘機。

3. 10月6日、海自、米海軍、韓国海軍が日本海で共同訓練を実施

10月6日、日本海で、海自ミサイル駆逐艦(こんごう級イージス艦)「ちょうかい(DDG-176)」は、米海軍第7艦隊所属ミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル(USS Chancellorsville (CG 62)、および韓国海軍ミサイル駆逐艦「セジョン・デワン/世宗大王 (Sejong the Great /DDG991)」と共同で対ミサイル防衛を含む戦術訓練を行なった。前項「日米空軍の共同演習」と同じく、北鮮のミサイル発射に対処した訓練である。
米第7艦隊は本件に関し次のように報じている;―
「ロナルド・レーガン(Ronald Reagan /CVN 76)」空母打撃群は、日本および韓国海軍と10月8までの数日間、日本海で共同訓練を実施した。米海軍から、空母「ロナルド・レーガン(CVN 76)」、第5空母航空団(CVW=Carrier Air Wing 5)、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル/USS Chancellorsville (CG 62)」、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦「ベンフォールド(USS Benfold (DDG 65))。海自からミサイル駆逐艦「ちょうかい(DDG-176)」、「あしがら(DDG-178)」、韓国海軍からミサイル駆逐艦「世宗大王(DDG-991)」、が参加した。

図6:(US Navy Photo by Mas Communication Specialist 3rd Class Gray Gibson) 10月5日撮影の日米韓3ヶ国海軍のミサイル迎撃演習。手前から順に、米海軍ミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル(CG62)」、韓国海軍ミサイル駆逐艦「セジョン・デワン(DDG 991)」、海自ミサイル駆逐艦「ちょうかい(DDG 176)」。

図7:(US Navy Photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Michael B. Jarmiolowski) 10月6日、日本海で空母「ロナルド・レーガン(CVN-76)」から発艦する米海軍攻撃戦闘中隊/VFA-195所属のF/A-18Eスーパー・ホーネット。

4. 10月12日、海自、リチウムイオン電池型潜水艦「じんげい」の命名式・進水式を挙行

10月12日三菱重工神戸造船所で、「たいげい」型潜水艦3番艦の命名式・進水式が行われ、「じんげい」と命名された。本艦は長さ84 m、基準排水量3,000 ton、乗員70名、主機はデイーゼル電気推進(川崎12V25/25SB型)とリチウム・イオン電池の組合せ。推進は1軸で、炭素繊維複合材スクリューで水中速力20 kts以上。これから艤装を行い各種試験の後2024年3月に就航する。
外観形状は前形の「そうりゅう」型とあまり変わらないが、「たいげい」型は静粛性能、探知能力が格段に向上している。
すなわち、光ファイバー使用の高性能ソナー・システム、船殻から艦内構造を浮かせる「浮甲板構造」で外部へ漏れる騒音を低減し且つ外部からの衝撃を緩和する構造、リチウム・イオン電池の採用でシュノーケルによる充電時間を短縮している。さらに敵潜水艦から発射された魚雷から回避するため、囮を発射する「魚雷防御システム(TCM)」を装備する。
攻撃兵装は、艦首上部に533 mm 魚雷発射管6門装備する。ここには最新の「18式魚雷」を装填する。また米国製巡航ミサイル「UGM-84Lハープン Block 2」・射程250 kmも搭載可能。これに関連して米政府は「UGM-84Lハープン Block 2」48基と付属支援機器などを2億ドルで日本に売却することを承認している。

図8:(Yahoo News /高橋浩祐氏撮影)10月12日三菱重工神戸造船所で行われた「たいげい」級潜水艦の3番艦「じんげい」の命名・進水式。

図9:(防衛装備庁)「18式」長魚雷は、前身の89式魚雷の後継で、深海域と浅海域の両方で使用可能、敵潜水艦から発射される囮などの魚雷欺瞞装置を判別する「メイン・センサー」を装備。また「起爆装置」の性能向上と、信号処理能力の向上・命中制御性能の向上も図られている。動力装置は89式を改良、高速・長射程化が図られている。有線誘導で射程は50 km以上と推定される。

5. 2022年度上半期の緊急発進実施状況

2022年度上半期(4月〜9月)の中国・ロシア機に対する緊急発進回数は446回、前年同期に比べ60回ほどの増加となった。
緊急発進の対象機は中国軍機が76 %、ロシア軍機が21 %で、中国軍機が圧倒的に多い。中国軍機に対する緊急発進回数は340回で前年同期より60回の増加となった。ロシア軍機への回数は95回で、2013年度以降で最も低い。(ウクライナ侵攻で苦戦している現れか?)
中国は習近平主席の3期目続投が決まり、今後の方針の中で「台湾統合」を明示、これにより「台湾有事」がいよいよ切迫してきた。次図に示す“赤字”飛行航跡はこれから更に増えると想像される。
航空方面隊別では、中国機に対応する南西航空方面隊(那覇)が309回、ロシア機に対応する北部航空方面隊(三沢)が70回、次いで西部航空方面隊(春日)が58回、北陸や中部地方、首都圏を守る中部航空方面隊(入間)は9回。

図10:(統合幕僚監部)2022年度上半期(4月〜9月)の緊急発進対象となった中国軍機、ロシア軍機の飛行パターン。

図11:(防衛省/航空幕僚監部)日本の防空識別圏(ADIZ)と航空自衛隊・航空方面隊別の担当空域。

6. 10月11日、オーストラリア、カナダ、日本、米国4ヶ国海軍は南シナ海で合同演習「ノーブル・ミスト22」を実施

10月4日〜8日、南シナ海で、米海軍、同沿岸警備隊、オーストラリア海軍、カナダ海軍と海自インド太平洋方面派遣 (IPD22)部隊は共同訓練「ノーブル・ミスト22 /Noble Mist 22」を実施した。訓練は対潜水艦戦を含む。
参加した艦艇は;―
 海自:むらさめ級護衛艦の4番艦「きりさめ (DD-104)」排水量6,100 ton、
 米海軍:アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の19番艦「ミリウス (USS Milius DDG-69)」排水量8,400 ton、および同26番艦「ヒギンズ (USS Higgins DDG-76)」排水量8,800 ton、
 オーストラリア海軍:ホバート級ミサイル駆逐艦3隻中の1番艦「ホバート (HNAS Hobart DDG 39)排水量7,000 ton、アンザック級フリゲート8隻中の2番艦「アルンタ (HMAS Arunta FFH 151)」排水量3,600 ton、サプライ級補給艦の2番艦「ストールワート(Stalwart A304)」排水量20,000 ton。(これら3隻は潜水艦「ファーンコム (Farncomb S-72)」と共に11月6日挙行の2022国際観艦式に参加するため横須賀に到着済み)
 カナダ海軍;ハリファックス級フリゲートの9番艦「ウイニペグ (HMCS Winnipeg FHH 338)」排水量5,000 ton、
 米沿岸警備隊:巡視船/ハミルトン級長距離カッターの4番艦「ミジェット (USCGC Midgett WHEC-726)」排水量3,000 ton、(76 mm単装速射砲1門、Mk.15 20 mm CIWS対空機関砲などを装備する)

図12:(海上幕僚監部)ノーブル・ミスト22 (Noble Mist 22)演習を終わり、米ミサイル駆逐艦「ミリウスDDG 69」に別れを告げる海自駆逐艦「きりさめDD-104」。

7. 10月18日、11日-18日の8日間、スールー海で実施したフィリピン、米国、オーストラリア、フランス、日本、各國海軍の合同演習「サマ・サマ・ルンバス2022」が完了

10月11日〜18日の間スールー海で、米海軍、オーストラリア海軍、フィリピン海軍、フランス軍、イギリス海軍、と海自インド太平洋方面派遣 (IPD22)部隊は、米豪比主催共同訓練「サマ・サマ・ルンバス2022 (Exercise SAMA SAMA /Lumbas 2022)」に参加した。
参加部隊は;―
 海自:むらさめ級護衛艦の4番艦「きりさめ (DD-104)」排水量6,100 ton、および[US-2]救難飛行艇、
 米第7艦隊:アーレイバーク級ミサイル駆逐艦「ミリウス/Milius (DDG-69)」
 オーストラリア海軍:ミサイル駆逐艦の1番艦「ホバート (HNAS Hobart DDG 39)排水量7,000 ton、サプライ級補給艦の2番艦「ストールワート(Stalwart A304)」排水量20,000 ton、
 フィリピン海軍:フリゲート「ホセ・リサール (BRP Jose Rizal FF-150)」排水量2,600 ton (韓国・現代重工製)、
 フランス領ポリネシア駐留フランス軍哨戒機「ファルコン200 (Dassault Falcon 200)」
 イギリス海軍:哨戒艦「スペイ/Spey (P-234)」、
訓練項目は捜索救難訓練、洋上補給を含む広範囲な訓練。

図13(Google)演習が行われたスールー海とセブ市の位置。

図14:(Dassault Aviation) フランス海軍は哨戒機ファルコン200を5機保有、北朝鮮船籍の違法な瀬取り監視用に使っている。初期型ファルコン20のエンジンをGE700-2CからGarett ATF3-6A-4C推力2.4tonのターボファン2基に換装した性能向上型で、航続距離は4,500 km以上。さらに高性能のファルコン2000アルバトロス(Albatros)を12機発注、2025年から受領する。

図15:(7th Fleet Photo)マニラで、海自救難飛行艇「US-2」を背景に乗員一同。「US-2」は、全長/翼幅共に約33 m、最大離陸重量47.7 ton、最大離着水重量43 ton、最大速度580 km/hr、航続距離4,700 km、乗員11名、エンジンはロールス・ロイスAE2100Jターボプロップ出力4,600 hpを4基装備する。現在の保有機数は7機で第71飛行隊・岩国航空基地に配属。

8. 10月21日発表、令和4年度日米共同統合実動演習(Keen Sword 23)を11月中旬に実施

統合幕僚監部は、11月中旬の約一週間、全国各地にある自衛隊施設、在日米軍施設、長崎県五島市の津多羅島、及び鹿児島県南方の奄美大島、徳之島などにおいて、自衛隊、米太平洋軍を主とし、オーストラリア、カナダ、イギリス軍が参加する大規模演習[Keen Sword 23]を実施する、と発表した(10月21日)。
主な訓練項目は、水陸両用作戦、陸上作戦、海上作戦、航空作戦、統合広報補給、特殊作戦、宇宙・サイバーおよび電磁波に関する領域と従来の領域との連携、である。いずれも中国軍による不測の島嶼侵攻作戦を想定した対処訓練である。
参加部隊は;―
自衛隊:統合幕僚監部、陸・海・空・各幕僚監部、情報本部、およびサイバー防衛隊。
米軍 :インド太平洋軍、太平洋陸軍、太平洋艦隊、太平洋空軍、太平洋海兵隊、その他。
参加規模は:―
自衛隊:人員26,000名、艦艇20隻、航空機250機
米軍 :人員10,000名、艦艇10隻、航空機120機、
オーストラリア軍:艦艇1隻、航空機1機、
カナダ軍:艦艇2隻、航空機1機、
イギリス軍:艦艇1隻、
この他にフランス、インド、フィリピン、韓国、NATOなどからオブザーバーを招聘予定。

9. 10月27日発表、令和4年度国際観艦式を11月6日に実施

令和4年11月6日、岸田総理、浜口防衛大臣が臨席し相模湾において海自観艦式が行われる。今年は海上自衛隊創立70周年の記念すべき年にあたり、併せて20年ぶりとなる「国際観艦式・フリートウイーク(International Fleet Week 2022)」が開催される。
参加部隊は;―
 海上自衛隊:艦艇20隻、航空機6機、(ヘリ空母「いずも」、「ひゅうが」、護衛艦「もがみ」、「あたご」、「くまの」、「あさひ」、「しらぬい」、潜水艦「たいげい」、「輸送艦「くにさき」などを含む)
 陸上自衛隊:航空機5機(「オスプレイ」2機を含む)、輸送艦の搭載する車両、
 航空自衛隊:16機(ブルーインパルスを含む)
 海上保安庁:巡視船1隻
 外国海軍艦艇/航空機:12ヶ国から18隻 / 航空機・米海兵隊から5機とフランス海軍機1機、事前公表のなかった米原子力空母「ドナルド・レーガン」も参加。オーストラリア、ブルネイ、カナダ、インド、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、パキスタン、韓国、シンガポール、タイ、フランス、アメリカ、
「国際観艦式フリートウイーク (International Fleet Week 2022)」は;―
10月29日から11月5日まで、東京国際クルーズ・ターミナル、横須賀、木更津、横浜、横浜大桟橋、山下埠頭、船橋、の各所で艦艇の一般公開が実施された。

図16:(11月3日11時撮影)横浜大桟橋で公開されたヘリ空母「いずも」。飛行甲板から艦橋を見た写真。「いずも・DDH 83」は、2015年就役、満載排水量26,000 ton、飛行甲板全長は248 mで海自最大。SH-60Kヘリなど14機を搭載する。現在F-35B・STOVL戦闘機搭載のための改修を行っている。写真の艦橋各面にはOPS-50レーダー・アンテナ、艦橋前部には対空戦闘用「Sea RAM」ミサイル11連装発射機が見える。

10. その他「SM6 Block 1の日本への売却決定」、「トマホーク・ミサイル導入を検討」

SM6の日本への売却
米Naval today.comによると、米国政府は日本政府に対し「スタンダード・ミサイル6 (SM-6 Block I)と関連装備を売却することを決めた。
内容は「SM-6 Block I」ミサイル32発と関連装備を合計で4億5000万ドル、「FMS= Foreign Military Sale(対外軍事品売却規定)」に基ずいて売却するというもの。
我国の弾道ミサイル防衛体制(BMD=Ballistic Missile Defennse) は;―
 海自イージス艦8隻に装備する「スタンダード・ミサイル(SM-3)Block 1A/BまたはBlock IIA」、
 空自高射群28個高射隊に装備する「ペトリオット (Patriot) PAC-3 MSE」ミサイル、およびBMD対応警戒管制レーダー「FPS-3改」7基、「FPS-5」4基、「FPS-7」6基、で構成される。
今回我国が購入する「SM-6 Block I」は、2021年度就役の最新型イージス艦「まや」、「はぐろ」の弾道ミサイル防衛システム(BMD)の「SM-3 Block IIA」を補完する形で同じVLSに搭載するミサイル。
「SM-6」は、イージス艦が搭載する「SM-2 Block IV」ミサイルを基本に巡航ミサイル迎撃機能を付与したミサイル。具体的には、中距離空対空ミサイルAMRAAM用アクテイブ・レーダー/シーカーを装備し、対空、対艦は勿論のこと、対巡航ミサイル迎撃、大気圏内に入った弾道ミサイルの迎撃能力が追加された。

図17:(Missile Defense Agency) MDA SM-6 Photoに加筆した図。黒字はスタンダード・ミサイルSM-2(胴体径13.5 inch)と共通の部分。Mk-72ブースター径は21 inch。緑色はSM-6独自の部分を示す。スタンダード・ミサイル(SM)系列は全てレイセオン(Raytheon Missile & Defense)が開発製造している。

トマホーク・巡航ミサイルの導入検討 (後日掲載予定)

―以上―