2024(令和6年)-6-6 松尾芳郎
令和6年5月、我国周辺における中露両軍および北朝鮮の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し各方面から多くの発表があった。今月の注目すべきニュースは次の通り。ただし、台湾新総統就任に反対して行われた大規模軍事演習については5月30日掲載の記事を参照されたい。
(Military threats from Chinese, Russian Forces and North Korean are tensed up in May 2024. Japan and Allies conducted multiple large scale exercises for retaliation. Following were main issues. However, the China’s large scale military drills around Taiwan on May 23 and 24 ware reported as a separate issue on May 30, so please refer it.)
以下に主要項目につき説明する。
5月3日〜12月15日の間、海自は「令和6年度インド太平洋方面派遣 (IPD24)」を実施、ヘリ空母「いずも」、「かが」、ミサイル駆逐艦「はぐろ」、を含む主力艦艇を派遣
「IPD24=Indo-Pacific Deployment 2024」は、「自由で開かれたインド・太平洋」の実現のため、地域の各国海軍と共同訓練をして、戦技の向上、相互理解、信頼関係の強化を図るもの。
派遣部隊は;―
第1水上部隊:輸送艦「くにさき(LST-4003)」、LCAC2隻
第2水上部隊:護衛艦「ありあけ(DD-109)」、ミサイル駆逐艦「はぐろ(DDG-180)」、ヘリ空母「いずも(DDH-183)」、
第3水上部隊:フリゲート「のしろ(FFM-3)」、
第4水上部隊:ヘリ空母「かが(DDH-184)」、
第1航空部隊:P-1哨戒機
第2航空部隊:P-1哨戒機
潜水艦部隊 :潜水艦数隻
訪問予定国は;―
アメリカ、インド、オーストラリア、キリバス、トンガ、バヌアツ、パプアニューギニア、パラオ、フィジー、フランス、フィリピン、マーシャル諸島、ミクロネシア。期間中米海軍主催の共同訓練「RIMPAC」、トンガ国際観艦式、オーストラリア海軍主催の共同訓練「KAKADU 2024」、日米印豪共同訓練「MALABAR 2024」に参加する。
海自は「IPD」を2017年から実施中、今回は8回目で「いずも」「かが」など新鋭大型艦が参加しての最大規模となる。
図1:(TokyoExpress) 「いずも DDH-183」は、長さ248 m、幅38 m、満載排水量26,000 tonの海自最大の艦。F-35B STOVL戦闘機搭載のための第一次改修を終了(2021年6月)。このため甲板には耐熱塗装が施され、白色のヘリ着艦用の標示点線に沿って黄色のトラムラインが描かれた。2024年の第2次改修でF-35B自動着艦援助装置を搭載、艦首を矩形に拡張する。(詳しくは「TokyoExpress 2021-07-21“海自ヘリ空母「いずも」空母化の第1次改修を完了、2024年度の第2時改修で本格空母へ”」を参照)
5月5日〜13日の間、中国海軍艦艇が単艦あるいは数隻ずつで東シナ海から鹿児島・沖縄列島を通過、太平洋に進出、石垣島・与那国島・台湾沖を遊弋、東シナ海に戻る
- 5月5日、ジャンカイII級フリゲート(549)とジャンダオ級小型フリゲート(611)が東シナ海から鹿児島県大隈海峡を通過太平洋に出た。
図2:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」級は「054A」フリゲート、満載排水量4,000 ton、全長134 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルYJ-83型を中央の4連装発射機2基に搭載。外洋艦隊の護衛が任務。同型は40隻が就役済み。艦番号549は「常州」2011年就役。
図3:(統合幕僚監部)「ジャンダオ級(江島級)」フリゲートは「056型コルベット(056 corvette)」で満載排水量1,500 ton、全長89 m、速力25 kts、一部22隻が海警局に移行されている。対潜能力を向上した「056A」型が主力になっている。艦番号611は「六安」2020年就役。
- 5月9日、ドンデイアオ級情報収集艦(795)が太平洋から沖縄本島・宮古島間の宮古海峡を通過、東シナ海に入った。
図4:(統合幕僚監部)ドンデアオ級/東調級・情報収集艦。排水量6,000ton、全長130 m、速力20 kts、艦尾にヘリ発着甲板、中央に弾道ミサイル追跡レーダー、艦橋上部に巡航ミサイル短距離追跡レーダーおよび電子情報傍受アンテナ、などを装備。815、815A、815A IIなど合計9隻が活動中。
- 5月10日、ジャンカイII級フリゲート(549)とジャンダオ級小型フリゲート(611)、いずれも5月5日に大隈海峡から太平洋に出た艦だが、南下して与那国島と台湾の間を北に向かい東シナ海に戻った。
- 5月13日、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(118)、ジャンカイII級フリゲート(547)およびフチ級補給艦(902)の3隻が太平洋から沖縄本島と宮古島の間、宮古海峡を通り、東シナ海に戻った。いずれも昨年9月14日に東シナ海から宮古海峡を通り太平洋に出た艦艇である。
図5:(統合幕僚監部)「ルーヤンIII級」は052D型昆明級駆逐艦で、中国版イージス艦、満載排水量7,500 ton、全長157 m、速力30 kts、同型艦は25隻。艦番号118は「ウルムチ(烏魯木斉)」、2018年就役の鑑。
図6:(統合幕僚監部)
図7:(統合幕僚監部)
図8:(統合幕僚監部)沖縄列島と東シナ海・太平洋の海域。中国海軍は沖縄列島各所にある海峡通過の常態化を進めている。
5月8日、米第7艦隊ミサイル駆逐艦「ハルゼー」は台湾海峡を通過、また5月10日には南シナ海でも「航行の自由作戦」を実施
アーレイバーク級ミサイル駆逐艦「ハルゼー(USS Halsey/DDG-97)」は、5月8日東シナ海から南シナ海に向けて台湾海峡を通過、「航行の自由作戦(FONOP =freedom of navigation operation)」を実施した。そして5月10日には、南シナ海パラセル諸島(Paracel Islands/西沙諸島)近海で「航行の自由作戦」を実施した。
パラセル諸島(西沙諸島)では中国軍の手で急ピッチで軍事基地化が進められている。ボンバイ礁には大規模情報収集施設が、ウッデイー島・Woody Island(永興島)にはH-6爆撃機、Y-7輸送機など大型機が離発着できる滑走路が整備され、さらに対空ミサイル、対艦ミサイルで基地防御力を構築している。
米軍による「航行の自由作戦」は、我が国を含む同盟諸国と緊密な連携を保ちながら遂行されている。多くは米軍単独で実施されているが、カナダ海軍・オーストラリア海軍艦艇が同行・参加することもある。海自艦艇は南シナ海、東シナ海の公海上での演習には参加するが、中国に忖度して「航行の自由作戦」には参加していない。
図9:(AMTI=Asia Maritime Transparency Initiative) 2022-6-16撮影のウッデイー島。滑走路、戦闘機用格納庫、HQ-9対空ミサイル、YJ-62対艦ミサイルが配備され、J-10およびJ-11戦闘機が繰り返し展開している。さらにH-6K爆撃機が離発着訓練していることも確認されている。
図10:(防衛白書)西沙諸島(Paracel Island)ウッデイー島(Woody Island)の位置を示す図。「紫色枠」で囲った4箇所には中国軍の手で3000 m級滑走路が設置済み。小さな「赤四角」印はレーダー基地、ミサイル基地など軍事施設を示す。
図11:(US Navy Photo) 「ハルゼー(USS Halsey / DDG-97)」はアーレイバーク級ミサイル駆逐艦のFlight IIA型。インガルス造船所(Ingalls Shipbuilding, Mississippi)で建造、2005年就役、2013年からパールハーバー・ヒッカム統合基地を母港としている。満載排水量9,700 ton、全長155.3 m、Mk 41 VLS 96セルに各種対空ミサイル、艦中央にはトマホーク巡航ミサイル8基を装備。艦首には5 inch 62口径Mk 45 Mod 4軽量砲が見える。後甲板にはMH-60R Seahawkヘリコプター2機を搭載できる。
5月10日、海自補給艦「はまな」は東シナ海で、オーストラリア海軍との共同訓練「トライデント24」に参加
5月10日、海自補給艦「はまな」は東シナ海でオーストラリア海軍ミサイル駆逐艦「ホバート(HMAS Hobart / DDG 39)」と共同訓練「トライデント24 (Trident 24)」を行なった。
補給艦「はまな /AOE-424」は、日立造船舞鶴工場で建造、満載排水量12,000 ton、全長167m、1990年就役、佐世保に配備されている。
ミサイル駆逐艦「ホバート(HMAS Hobart / DDG 39)」は、Forgacs GroupとBAE systems Australiaが建造、2017年9月就役の新造艦。対空用ミサイル駆逐艦で排水量7,000 ton、全長147 m、Mk 41 VLS 48セルにSM 2を含む対空ミサイル、艦中部にはハープン対艦ミサイル8基、後甲板にはMH-60R艦載ヘリ1機を搭載する。
図12:(Royal Australian Navy)5月10日東シナ海で海自補給艦「はまな(AOE-424)」(手前)とオーストラリア海軍ミサイル駆逐艦「ホバート(DDG-39)」が共同訓練「トライデント24」(給油訓練)を実施した。
5月13日、米太平洋空軍F-22戦闘機4機が韓国群山の米空軍基地に展開
米国防総省は「インド太平洋区域」の安全を守るためF-22ラプター戦闘機を韓国全羅北道 群山航空基地に派遣したと発表した。群山基地は首都ソウルの南180 kmにあり米空軍が駐留している。F-22は4機で米第7空軍所属、域内の同盟国軍との相互運用性を向上させ、朝鮮半島で”Fight Tonight /今夜直ぐ戦える“状態を維持するため、としている。
図13:(US DoD)5月12日パールハーバー・ヒッカム統合基地から韓国の群山空軍基地に進出したF-22ラプター戦闘機
5月12日、嘉手納基地に米海軍無人偵察機MQ-4Cトライトン2機を配備
米海軍は5月20日から10月までの5ヵ間、洋上監視・無人偵察機MQ-4Cトライトン(Triton)2機を嘉手納基地に派遣、中国軍の東シナ海および南シナ海での動きを監視・牽制する任務に就くことになった。
ノースロップ・グラマン製「MQ-4Cトライトン」は高高度で長時間の海上情報、監視、偵察(ISR)任務をする米海軍用の無人偵察機。「広域洋上偵察機 (BAMS= Broad Area Maritime Surveillance)」と呼ばれる。空軍/空自が採用しているRQ-4グローバル・ホークを海軍向けに改良し2018年から配備開始。米海軍は30機を入手済み、合計68機の調達を予定。現在VUP-19 : フロリダ州ジャクソンビル海軍基地とVX-20 : メリーランド州パチュージェント・リバー海軍基地に配備中。このうちVUP-19部隊から2機(3機?)が2024年4月からグアム島アンダーセン空軍基地に移駐、これが今回嘉手納基地に進出した。MQ-4Cは、地上基地操縦室で4名が操作、長さ14.5 m、翼幅39.9 m、離陸重量14.6 ton、エンジンはRR製AE3007ターボファン推力約8,000 lbs、速度550 km/hr、航続時間30時間、飛行高度17,000 m。
図14:(Northrop Grumman)MQ-9C トライトンは、高度15,000 m以上を飛行し24時間継続して約400万平方海里を捜索、洋上ターゲットを探知・識別・追跡できる。
5月14日、海自護衛艦「あきづき」は東シナ海で日米共同訓練「ノーブル・レイブン」実施
5月11日-13日の間、海自は米海軍、ニュージランド空軍と東シナ海で共同訓練「ノーブル・レイブン24(Noble Raven 24)」を実施した。「自由で開かれたインド太平洋」実現に向け連携を強化し、戦技の向上、連携強化を目的に実施された。
参加は、海自護衛艦「あきづき(DD-115)」、米海軍ルイス・B・プーラー級遠征海上基地艦「ミゲル・キース(Miguel Keith / ESB-5)」、ニュージーランド空軍哨戒機「P-8」。LINKEX、対水上戦など戦術訓練を実施した。
「あきづき(DD-115)」は2012年就役で満載排水量6,800 ton、全長151 m、主機ガスタービン4基2軸・64,000 PS、速力30 kts。兵装は62口径5 inch砲1門、Mk 41 mod.29 VLS 32セルに各種対空ミサイル、SH-60K哨戒ヘリコプター1機を搭載する。新開発のOYQ-11戦術情報処理装置を中心としFCS-3射撃指揮システムを使うシステム艦で、ミサイル防衛を担当するイージス艦(DDG)の防空を主任務とする。同型艦は4隻と小改造型の「あさひ」級2隻がある。
遠征海上基地艦(Expeditionary Mobile Base)「ミゲル・キース(Miguel Keith / ESB-5)」は、2021年5月就役の新造艦で同型艦3隻が就役済み、2隻が建造中。前進基地機能として指揮通信施設、CH-53大型ヘリコプター2機の格納庫、居住施設、を備える。基準排水量81,000 ton、全長239 m、速力15 kts、の大型艦。
図15:(海上自衛隊)護衛艦「あきづき(DD-115)」(左)と米海軍遠征海上基地艦「ミゲル・キース(ESB-5)」(右)。6,800 tonと81,000 tonの差がわかる。
5月16日、米空母「ロナルド・レーガン」は9年間の横須賀配備を終了・帰国のため出発、空母「ジョージ・ワシントン」と交代
5月16日、空母「ロナルド・レーガン(USS Ronald Reagan /CVN 76)」は横須賀基地を出港、最後の任務であるインド・太平洋でのパトロールを行いながら、帰国の途についた。これに先立ち5月10日に駐日大使「ラウム・エマニエル(Rahm Emanuel)」氏は、日本政府代表、日米海軍の司令官等と共に同艦上に集い、6,000名の乗員たちに9年に達する横須賀での任務遂行に感謝の意を表する席を持った。
「ロナルド・レーガン(CVN 76)」/ 「第5空母打撃群(CSG 5=Carrier Strike Group 5)」に随行するのは、ミサイル巡洋艦「ロバート・スモール(USS Robert Smalls / CG-62)」およびミサイル駆逐艦「ハワード(USS Howard / DDG-83)」である。
「ロナルド・レーガン(CVN76)」の任務を引継ぐのは「ジョージ・ワシントン(USS George Washington / CVN-73)」。「ロナルド・レーガン」は今年末に太平洋岸のブレマートン基地(Bremerton, Washington)で新任務に就く。
艦長のダリール・カードン(Daryle Cardone)大佐は離日に際し「横須賀市を含む日本は我々を大変厚遇してくれた。深く感謝している。横須賀は我々の第2の故郷であることを忘れない。」と述べた。
図16:(US NAVY photo by Mass Communication Specialist 2nd class Charlotte Dudenhoffer) 5月16日の離日を前に、5月10日東京湾出口で「ロナルド・レーガン」乗務の水兵達が正装して甲板に人文字「ではまた」(see you again)を表示、日本での9年間の任務に別れを告げた。
5月16日~6月9日の間、陸自第5旅団・第13旅団は北海道訓練センターで実動対抗演習を実施
陸自は緊張の高まる安全保障環境(中国、ロシアを念頭)で、不測の事態に対応するため、令和6年度北海道訓練センターで実働対抗演習を実施する。
期間は5月16日~6月9日、参加部隊は第5旅団および第13旅団、演習場は北海道矢臼別演習場、参加主要装備は:第5旅団から99式自走155 mm榴弾砲、16式機動戦闘車、AH-1SおよびUH-1Jヘリコプター、第13旅団から155 mm榴弾砲FH70、16式機動戦闘車、UH-1Jヘリコプター。
今回の特色は、演習地までの往復機動展開訓練を含み、実戦に近い形での訓練をする点である。
第5旅団;―
北部方面隊直轄の旅団で帯広駐屯地にある。1個即応機動連隊、2個普通科連隊で構成する機動旅団で、兵員約3,600名。
第13旅団;―
中部方面対直轄の即応近代化旅団で広島県海田市駐屯地にある。3個普通科連隊で構成する機動旅団で、兵員約3,700 名。
図17:(防衛省)第5旅団の16式機動戦闘車の実弾射撃。
図18:(防衛日報)2022年2月28日、あいば演習場で行われた第13旅団FH-70 155 mm榴弾砲の実弾射撃。
5月18日ロシア情報収集機「IL-20」が北海道・本州の日本海側を飛行
5月18日ロシアの情報収集機「IL-20」が北海道・本州日本海側を南方に進み佐渡島沖で変針シベリア方面に立ち去った。
図19:(統合幕僚監部)5月18日ロシア情報収集機IL-20の航跡。
図20:(統合幕僚監部)先月(4月)にも伝えたが、「IL-20M情報収集(ISR)機」はイリューシン「IL-18」輸送機を電子情報支援機に改造した機体。長さ37.4 m、翼幅35.9 m、エンジンはAI-20Mターボプロップ4,350 hp X 4基、最大離陸重量64 ton、巡航速度675 km/hr、航続距離は約4,000 km。
5月21日、海自フリゲート「やはぎ」の引渡式を挙行
5月21日、三菱重工長崎造船所で建造された海自フリゲート「やはぎ/FFM-5」の引渡式と自衛艦旗授与式が長崎造船所で行われた。「やはぎ」は京都府舞鶴市の第14護衛隊に配備される。
「やはぎ/FFM-5」は「もがみ」型フリゲートの5番艦で、満載排水量5,500 ton、全長133m、最大速力30 kts、乗員90名、SH-60Kヘリコプター1機搭載の対潜・対空・対水上・対機雷戦に対応する多機能型フリゲートである。同型艦は12隻建造予定で、その後は改良型の新フリゲート 12隻に引き継がれる。
「もがみ」型と「新フリゲート」の主な違いはミサイル発射装置Mk.41 VLSが前者は16セルであるのに対し、後者は32セルになる点。
図21:(海上自衛隊)長崎で引渡式、自衛艦旗授与式が終了して舞鶴に入港する「やはぎ/FFM-5」。艦首に62口径5 inch砲、艦橋構造には「OPY-2多機能レーダー」、その上には「OAX-3固定型センサー」、「NORA-50複合空中線」(ユニコーン・マスト)が装備されている。艦橋後部には「SeaRAM近接防空ミサイル/11連装」が見える。
5月22日、米第7艦隊は南シナ海で沿海戦闘艦および輸送艦とオランダ海軍フリゲートと航行の自由作戦を実施
5月22日、米海軍「インデペンデント」級の沿海域戦闘艦「モーバイル(USS Mobile/LCS-26)」、「ルイス・アンド・クラーク」級の固形貨物補給艦「ワリー・シーラ(USNS Wally Schirra/T-AKE-8)」は、オランダ海軍の「デ・ゼベン・プロビンシエン」級フリゲート「トロンプ(HNLMS Tromp/F803)」と共同で南シナ海で「航行の自由作戦」を実施した。
第7駆逐艦隊(Destroyer Squadron 7 or DESTRON 7)司令シーン・ルイス(Sean Lewis)大佐は「オランダは18世紀以来の友好国で海上防衛のための同盟国の一つでもある」と述べ、協力を歓迎した。
第7艦隊は、今回の航行の自由作戦が行われた南シナ海の特定箇所は明らかにしていない。
図22:(7th Fleet)5月22日、南シナ海で航行の自由作戦を実施する米第7艦隊の沿海域戦闘艦「モーバイル」と固形貨物補給艦「ワリー・シーラ」、後続するのはオランダ海軍フリゲート「トロンプ」。「トロンプ」はこの後インドネシア訪問に向かった。
図23:(Wikipedia)「デ・ゼベン・プロビンシエン(7つの海)」級フリゲート(写真)は4隻あり「トロンプ/F-803」は2番艦。満載排水量6,200 ton、全長144 m、速力30 kts、2003年就役、Mk.41 VLS 40セルに対空ミサイルなどを装備する。
5月27日、中国軍「WL-10」偵察/攻撃型無人機が東シナ海で沖縄本島・奄美大島に接近飛行、空自戦闘機が緊急発進
5月27日午前、中国軍の「WL-10」偵察/攻撃型無人機が東シナ海で沖縄本島・奄美大島西の空域を往復飛行したのち反転して中国本土に向かった。[WL-10]が飛来したのは初めてである。
図24:(統合幕僚監部)5月27日、東シナ海を飛行した中国軍「WL-10」偵察/攻撃型無人機の航跡。
図25:(統合幕僚監部)5月27日、東シナ海上空に飛来した中国軍「WL-10」偵察・攻撃型無人機、緊急発進したた空自F-15戦闘機が撮影した。
図26:(Wikipedia)2017年ドバイ航空ショーで「雲影」として展示された高高度無人偵察・攻撃機「翼龍10」。中国軍は「無偵-10」英語で「WZ -10」、統幕監部は「WL-10」と呼ぶ。偵察(ISR)用と攻撃用の2種類がある。攻撃用は翼下面に8個のハードポイントがあり、各種誘導爆弾、ミサイルを携行可能。エンジンはWP-11CまたはAEF50Eを2基、全長9 m、翼幅20 m、離陸重量3,200 kg、速度620 km/hr、滞空時間6~8時間、上昇限度15,000 m。
5月30日、北朝鮮、18発の短距離弾道ミサイルを日本海に向け同時発射
5月30日午前、北朝鮮は弾道ミサイルを多数内陸部から北東、日本海に向けて発車したと発表した。いずれも朝鮮半島北東部の目標島嶼に着弾し、我が国EEZには落下していない。
韓国軍参謀本部、北朝鮮軍/朝鮮中央テレビ、我国防衛省の発表を総合すると、ミサイルはいずれも北朝鮮の首都平壌の北部、順安付近から発射された短距離弾道ミサイルで、発射数は18発、最高高度は100 km、365 km以上を飛行し目標の島嶼に着弾した。
北朝鮮による弾道ミサイル発射は今年5回目、それに韓国軍参謀本部のみが発表した2回を加えると7回になる。
1月14日:弾道ミサイル1発
3月18日:弾道ミサイル3発
4月2日 :弾道ミサイル1発
4月22日:弾道ミサイル1発
5月17日:短距離弾道ミサイル数発
5月27日:偵察衛星打ち上げ失敗
5月30日:短距離弾道ミサイル18発
北朝鮮は5月31日朝鮮中央テレビを通じて、5月30日行われた短距離弾道ミサイル発射の様子を公開した。
図27:(朝鮮中央テレビ)いずれも4連装発射筒装備車載ランチャーを使用。
図28:(朝鮮中央テレビ)同時に上昇を開始した18発の弾道ミサイル。
図29:(朝鮮中央テレビ)発射の様子を様々な角度から写している。
図30:(朝鮮中央テレビ)発射地点から365 km地点にある目標の無人島嶼に着弾したとされる映像。
―以上―