令和6年6月、我国周辺での中露両軍および北朝鮮の活動と我国/同盟諸国の対応


2024(令和6年)-7-13 松尾芳郎

令和6年6月、我国周辺における中露両軍および北朝鮮の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し各方面から多くの発表があった。今月の注目すべきニュースは次の通り。

(Military threats from Chinese, Russian Forces and North Korean are tensed up in June 2024. Japan and Allies conducted multiple large scale exercises for retaliation. Following are main issues. )

以下に主要項目を説明する。

中国軍無人機の活動2件

中国軍無人機の活動が活発化、6月は2件発生。

  • 6月4日発表

6月4日、中国軍偵察/攻撃無人機、沖縄列島を通り太平洋に出、奄美大島東方まで北上、反転して往路と同じ航路で東シナ海に戻る

6月4日の昼間、中国軍の無人機「TB-001」型機1機が東シナ海から沖縄本島と宮古島間の空域を通過、太平洋に進出、奄美大島東方空域まで飛行、反転し

て往路と同じ航路で東シナ海に戻った。

図1:(統合幕僚監部)6月4日のTB-001偵察・攻撃型無人機の航跡。

図2:(統合幕僚監部)TB-001偵察・攻撃型無人機は長さ10 m、翼幅20 m、離陸重量2.8 ton、ペイロード1 ton、誘導爆弾、ミサイルを搭載可能。航続距離6,000 km、ペイロード1 tonで35時間飛行可能、上昇限度8,000 m。

  • 6月25日発表

6月25日午後、中国軍の偵察型無人機[WZ-7]がシナ大陸から飛来、長崎県五島列島西で旋回飛行を続け、南下して奄美大島の北西まで飛行、その後反転し航路と同じ経路で旋回飛行したのち大陸方面に立ち去った。

図3:(統合幕僚監部)625日のWZ-7偵察型無人機の航跡。326日にも能登半島北西に接近飛来したことがある。

図4:(統合幕僚監部)625日長崎県五島列島西から奄美大島北西の空域に飛来した[WZ-7]偵察型無人機。空自が運用するRQ-4グロ―バル・ホークに似た大型無人機だ。翼幅23 m、全長14 m、離陸重量7.5 ton、航続距離7,000 km

中国海軍艦艇の動向

6月の中国海軍艦艇の動きは極めて活発で、統合幕僚監部の発表は8件に達する。加えて中国海警局は、海軍「ジャンダオ(江島)」級小型フリゲート(1,500 ton)が大量に移管されたのを受け、これを使い常時4隻体制で尖閣諸島海域での領海侵犯、接続水域侵入、を繰り返している。これを常態化することで既成事実化を図っている。

  • 6月7日発表

6月2日、尖閣諸島魚釣島北西80 kmの台湾に近い海域をルーヤンII級ミサイル駆逐艦(151)とジャンカイII級フリゲート(577)が相次いで南に進み、与那国島と台湾の間を抜け太平洋に進出、石垣島・宮古島の南を回り、6月6日に沖縄本島・宮古島間の海峡を北上、シナ大陸方面に戻った。

図5:(統合幕僚監部)ルーヤンII級/旅洋II級/052C型は「蘭州級」、6隻が配備、排水量7,000 ton、6セル回転式VLSを8基装備、合計48発のミサイルを搭載する。写真(151)は「鄭州(Zhengzhou)」、2013年の就役

図6:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」級は「054A」フリゲート、満載排水量4,000 ton、全長134 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収納。対艦ミサイルYJ-83型を中央の4連装発射機2基に搭載。外洋艦隊の護衛が任務だ。同型は40隻が就役済み。(577)は「黄岡(Huanggang)」で2015年の就役。

  • 6月10日発表

6月9日朝、奄美大島東90 kmの海域を太平洋から東シナ海に向けて、ジャンカイII級フリゲート(532)、(531)、フチ級補給艦(890)、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(131)の4隻が西進、奄美大島・横当島間の狭い海峡を通過した。両島の間を通過する中国海軍艦艇はこれで今年5回目。

図7:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」級は「054A」フリゲート、(532)は「荊州(Jingzhou)」で2016年の就役。

図8:(統合幕僚監部)「ルーヤンIII/旅洋III」は「052D / 昆明」級ミサイル駆逐艦で満載排水量7,500 ton、米海軍アーレイ・バーク級を範にしたイージス艦。32セルの対空ミサイル発射装置VLSを前後に配備する。同型艦は25隻が就役済み。(131)は「太原(Taiyuan)」で2018の年就役。

図9:(統合幕僚監部)「フチ/福池」補給艦は「903A」型で満載排水量23,000 ton、同型艦は「903」型を含め9隻。(890)は「巣湖(Chaohu)」。

図10:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」級は「054A」フリゲート、(531)は「湘潭(Xiangtan)で2016年の就役。

図11:(統合幕僚監部)69奄美大島・横当島間の海峡を通過した中国海軍艦艇4隻の航路。

  • 6月17日発表

6月16日昼、東シナ海から沖縄本島と宮古島の海峡を太平洋に向け、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(156)およびフチ級補給艦(904)が航行した。

図12:(統合幕僚監部)「ルーヤンIII/旅洋III」は「052D / 昆明」級ミサイル駆逐艦。(156)は「溜博(Zibo)」。2020年就役の新造艦。

図13:(統合幕僚監部)「フチ/福池」級補給艦は「903A」型、(904)は「高郵湖(Gaoyouhu)」で2016年就役。

  • 6月19日発表

6月19日朝、太平洋から沖縄本島・宮古島間の宮古海峡を北西に東シナ海に向け、ドンデイアオ級情報収集艦(795)が航行した。

図14:(統合幕僚監部)「ドンデアオ/東調」級情報収集艦は「815型」。排水量6,000 ton、全長130 m、速力20 kts、艦尾にヘリ用甲板、中央に弾道ミサイル追跡レーダー、艦橋上部に巡航ミサイル短距離追跡レーダーおよび電子情報傍受アンテナ、などを装備。同級は9隻配備。

  • 6月21日、24日発表

6月21日昼には別のドンデイアオ級情報収集艦(799)が、東シナ海から対馬海峡を抜け日本海に入った。そして6月24日発表によれば同日の夜、津軽海峡を通過、太平洋に向け航行した。

図15:(統合幕僚監部)621日対馬海峡を抜け日本海に入った「ドンデイアオ」級情報収集艦(799)。こちらの写真が綺麗に撮れている。

  • 6月26日発表

6月26日夜半、鹿児島県草垣群島の南西50 km付近を南東に進み、大隅海峡を通過、太平洋に出るルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(124)、およびジャンカイII級フリゲート(538)を発見した。6月28日発表によると、同艦2隻は6月27日午後に太平洋から大隈海峡を西進し再び東シナ海に戻った。

図16:(統合幕僚監部)「ルーヤンIII/旅洋III」は「052D / 昆明」級ミサイル駆逐艦で満載排水量7,500 ton(124)は「開封((Kaifeng))2021年就役。

図17:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」級は「054A」フリゲート、満載排水量4,000 ton、(538) は「煙台(Yantai)」2011年の就役。

  • 6月27日発表

6月27日午前1時、東シナ海から対馬海峡を通り日本海に向かうレンハイ級ミサイル駆逐艦(102)とフチ級補給艦(903)を発見した。

図18:(統合幕僚監部)レンハイ(南昌)級ミサイル駆逐艦は満載排水量13,000 ton、全長180 m、対空・対地ミサイル発射用VLSは64+48セル、合計112セルを装備する。日米のイージス駆逐艦より一回り大きい。「拉薩/ラサ/Lhasa (102)」は同型艦8隻中の2番艦。12隻まで増強する予定。

図19:(統合幕僚監部)「フチ/福池」補給艦は[903A]型で満載排水量23,000 ton、同型艦は「903」型を含め9隻。艦番号[903]は同型9番艦で「可可西里湖(Kekesilihu)」。

ロシア海軍艦艇の動向

6月18日にロシア国防省は「太平洋艦隊が太平洋と日本海およびオホーツク海で大演習を開始し28日まで実施する」と発表した。参加するのは艦艇約40隻、対潜哨戒機Tu 142MZなど航空機約20機、さらに新型地対艦ミサイル「バル」、「パスチオン」の部隊も参加する。既述した日本海/太平洋に進出した中国艦艇もこの演習に参加した。統合幕僚監部が発表した以下のロシア海軍艦艇の動向はいずれもロシア太平洋艦隊の大演習に関連した動きである。ウクライナ侵攻作戦が多少好転したことを受け、我国北海道への圧力を高めようとする狙いが見える。

  • 6月14日発表

6月13日から14日にかけてバルザム級情報収集艦(80)が日本海から北海道北端の宗谷海峡を通過、オホーツク海に入った。

図20:(統合幕僚監部)バルザム(Balzam)級情報収集艦は1826型偵察艦で、満載排水量4,900 ton、長さ105 m、2つのレドームと2本の通信マストが特徴。4隻ありうち2隻が太平洋艦隊所属、我国レーダーサイト情報、艦載対空レーダー情報の収集にあたっている。

  • 6月19日発表

6月18日午前、ウダロイI級駆逐艦(548)、ロプチャーI級戦車揚陸艦(066)、ロプチャーII級戦車揚陸艦(077)の3隻が日本海から北海道・本州間の津軽海峡を通過、太平洋に向かった。

図21:(統合幕僚監部)1155型大型対潜艦・ウダロイ級駆逐艦、満載排水量8,500 ton、全長163 m、速度30 kts、強力なソナー、長射程の対潜ミサイル、ヘリコプター2機、SA-N-9型個艦防空ミサイルを装備。1980-1991年建造で8隻が就役中で太平洋艦隊には4隻が配備。

図22:(統合幕僚監部)775計画大型揚陸艦・ロプチャー級戦車揚陸艦(Ropucha) [066]は「オスリャービヤ」1981年就役、満載排水量4,000 ton、長さ112 m、兵員、車両約450 tonを搭載・揚陸できる。艦首と艦尾にランプドアがありここから揚陸する。ポーランドのグダニクス造船所で28隻建造されたが大半が退役・沈没、現役は12隻が残っている。太平洋艦隊にはうち3隻が配備中。

図23:(統合幕僚監部)775計画大型揚陸艦は同じだが、対空兵装が異なる。I級はAK-257 57 mm連装機関砲を2基装備するが、II級ではAK-176 76 mm単装機関砲1門とAK-630 39 mm多連装機関砲2基を装備する。[077]は「ペレスベート」で1991年就役。

  • 6月20日発表

6月15日〜19日の間、ステレグシチー級フリゲート(335)および(343)とタランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇(921)および(946)が、北海道宗谷海峡の日本海側海域とオホーツク海側海域で、遊弋行動を繰り返した後オホーツク海に移動。さらに

6月26日発表によると、別のステレグシチー級フリゲート(333)がオホーツク海から宗谷海峡を抜け、日本海に入った。

図24:(統合幕僚監部)ステレグシチー級(Steregushchiy class)フリゲートは「20380/20381型警備艦」と呼ばれ、沿海用汎用警備艦で防空能力が強化されている。満載排水量2,200 ton、速力27 kts、兵装はA-190 100 mm単装砲1門、30 mm CIWS 2基、3K96リドウート対空ミサイル(射程40 km)発射用VLS 12セルを装備。同型艦は8隻、うち太平洋艦隊には5隻が配備。写真「335」「グロムキー」は2018年の就役。

図25:(統合幕僚監部)[343]は「レーズキー」で2023年秋就役の新造艦。

図26:(統合幕僚監部)[333]は「ソベルシェンヌイ」で2017年就役。

図27:(統合幕僚監部)北海道宗谷海峡でのロシア海軍の行動

626 北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に向け発射

図28:(朝鮮中央通信)北朝鮮・朝鮮中央通信は627日に、前日に弾頭の分離・誘導実験を行い成功したと報じた。

防衛省発表によると、北朝鮮は6月25日早朝、内陸部から弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは高度100 kmまで上昇、200 km以上飛行して日本海の我が国EEZ外に落下した。

北朝鮮は「複数の弾頭を搭載した多弾頭ミサイルで、弾頭の分離・誘導実験に成功した」と発表した。27日の労働新聞は「固体燃料エンジン付きミサイルで発射され、170 km-200 kmに設置した3つの目標に弾頭が正確に着弾した」と報じた。

ソウル聯合ニュースは韓国軍合同参謀本部の28日発表として「26日の北鮮固体燃料弾道ミサイルは、上昇段階から異常回転をし不安定な飛行を続け空中で爆発した」と報じている。韓国軍は前線に配備する赤外線監視システムで発射前から監視、発射後上昇して爆発するまで連続撮影をしている。同参謀本部は「北朝鮮の成功報道は失敗を隠すために行われた」と見ている。

我国・同盟諸国の対応

ここまで2024年6月での中国、ロシア、および北朝鮮の我国周辺での行動を述べてきた。ここからは我国と同盟諸国の対応・訓練について述べる。

  • 6月5日 Air & Space Force Magazine報道

6月5日、米空軍B-1爆撃機が韓国空軍と共同でで実弾爆撃演習を実施

B-1ランサー(Lancer)爆撃機による韓国での実弾爆撃演習は7年ぶりである。

B-1爆撃機は、サウス・ダコタ州エルスウオース空軍基地(Ellsworth Air Force Base, South Dakota)、第28爆撃機連隊 (28th Bomb Wing) 麾下の第37遠征爆撃航空隊 (37th Expeditionary Bomb Squadron) 所属の機体である。

韓国空軍F-15戦闘機2機と共に500ポンド(230 kg) GBU-38統合直接攻撃爆弾 (JDAM = Joint Direct Attack Munitions)を複数目標に投下、全弾命中させた。

韓国国防省は、「今回の演習は6月2日にシンガポールで行われた米韓日3カ国国防相会議でインド・太平洋地域の安全保証の強化をコミットした結果」と評価した。北朝鮮の頻繁なミサイル発射試験を牽制する意味がある。

[JDAM]とは、無誘導の自由落下爆弾に精密誘導装置を取り付け、精密誘導爆弾にしたものを言う。ウクライナ、イスラエルにも供与され効果を挙げている。

図29:(Air & Space Force Magazine) 米空軍第37遠征爆撃航空隊所属のB-1B爆撃機を中心に、韓国空軍F-15戦闘機、米海兵隊F-35B戦闘機、の編隊飛行。

図30:(US Air Force photo by Master Sgt. Nicholas Priest) 34遠征爆撃飛行隊(34th Expeditionary Bomb Squadron) 所属のB-1B ランサー爆撃機が太平洋上の給油訓練時に撮影(2022620日)。B-1Bは、可変後退翼付き超音速爆撃機、爆弾やミサイル34 tonを搭載可能。ノースアメリカン・ロックウエルで製造されたが現在はボーイングがサポートしている。約100機が全地球打撃軍 (Global Strike Command) の指揮下にある。

図31:(US Air Force)米空軍のMQ-9リーパー無人偵察・攻撃機にGBU-38 JDAMを装備した写真。無誘導・自由落下爆弾をJDAMにするには尾部に改造キット(Boeing)を取り付ける。この中には、慣性航法装置(INS)と測位システム(GPS)が内蔵され、これで尾翼を操作し目標に誘導する。GPSが機能していれば目標の5 m以内に着弾する。目標は、離陸前に機体側の電子兵装に入力しておく必要がある。2,000ポンドMk 841000ポンドMk 83500ポンドMk 38用の3種類がある。

バリアント・シールド(Valiant Shield 2024)訓練

  • 6月9日 第7艦隊発表

「バリアント・シールド(Valiant Shield/強固な盾)」は2年毎に行われる多国間「実働演習 (FTX=Field Training Exercise)」で、今回は10回目。海・空・陸・サイバー空間で仮想敵と対峙し、索敵・位置把握、交戦、に関わる技量を向上するのが目的である。

第7艦隊空母「ロナルド・レーガン(USS Ronald Reagan/CVN76)」・空母打撃群 (CGS-5=Carrier Strike Group 5)等の米軍部隊は海自艦隊・空自等と共同演習「バリアント・シールド」を6月7日〜18日の間、ハワイを含む太平洋、東シナ海、南シナ海の海空域で実施した。

参加部隊は;―

米第7艦隊:空母「ロナルド・レーガン/CVN 76」、第7艦隊旗艦で揚陸指揮艦「ブルー・リッジ/USS Blue Ridge (LCC-19)」排水量20,000 ton、「第5空母航空団 (CVW-5 =Carrier Air Wing)」、ミサイル駆逐艦「ヒギンズ (USS Higgins / DDG-76)」、同「ラファエル・ペラルタ (USS Rafael Peralta / DDG-115)」。

海軍の他に、空軍、陸軍、海兵隊、沿岸警備隊、宇宙軍、が参加している。

海自艦隊:ヘリ空母「いずも/DDH-183」排水量26,000 ton、ミサイル駆逐艦「はぐろ/DDG-180」排水量10,000 ton、潜水艦「じんげい/SS-515」排水量3,000 ton。

この他にフランス海軍フリゲート「ブルターニュ(FS Bretqgne / D655)」、フィリピン海軍等から参加した。

今回の「バリアント・シールド」演習では、オースチン(Austin)級ドック型揚陸艦(排水量7,700 ton)で退役した「クリーブランド( ex-USS Cleveland / LPD-7)」を標的にした水上艦および潜水艦からの実弾射撃、陸上基地からのミサイル攻撃で撃沈演習 (SINKEX)を実施したのが特徴。これは太平洋・南洋諸島海域で陸地から70 km以上離れた海域で実施された。

米本土の基地から空軍のF-16戦闘機3機が空自八戸基地に、また2機が松島基地に飛来、演習に参加し、北海道から九州、硫黄島の基地を使って空自との共同演習が実施された。

米陸軍は、太平洋上のミクロネシア諸島の一つ「パラオ(Palau)」島の米軍基地から新型の精密攻撃ミサイル「PrSM= Precision Strike Missile」の実弾射撃演習を行った。この演習は洋上を航行する無人標的を攻撃するもので正確に着弾した。「PrSM」は2023年12月から陸軍に配備が始まった最新型、これまでの戦術ミサイルの更新となる。第3多領域機動軍(3rd Multidomain Task Force)とテネシー州ナショナル・ガード第1-181砲兵連隊から2発が発射された。

ミサイル発射機は「自動多領域ランチャー (AML= Autonomous Multi-Domain Launcher)」でMLRSおよびPrSMの両種ミサイルの発射が可能。これで欧州・アジア地域で高まるロシア・中国の脅威を400 km以上離れた地点の敵の攻撃圏外からスタンドオフ攻撃が可能となる。

MLRS (Multiple Launch Rocket System/多連装ロケット・システム)は直径227 mmロケット弾で射程は45 km、HIMARS (High Mobility Artillery Rocket System)として12連装ロケット・システムを構成している。ウクライナには40両ほどが供与されている。

PrSM (Precision Strike Missile/精密攻撃ミサイル)は、従来使われてきた「ATACMS (Army Tactical Missile System/陸軍戦術ミサイル・システム)」射程150 km、の後継で、GPS誘導で口径430 mm、長さ4 m、射程60〜500 kmのミサイルで、2024年から配備が始まった。

図32:(7th Fleet Photo)中央に潜水艦「じんげい」を先頭に、揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」、ヘリ空母「いずも」、空母「ロナルド・レーガン」が直列に並び、その両側にミサイル駆逐艦群が並走する。

図33:(7th Fleet) 揚陸指揮艦「ブルー・リッジ/LCC-19

図34:(US Army Photo) 太平洋上のパラオ(Palau)島の米軍基地から最新の「PrSM=Precision Strike Missile (精密攻撃ミサイル)」を発射、海上を移動する目標に正確に着弾した。「PrMS」はロッキード・マーチン製。

  • 6月10日 海上自衛隊発表

6月9日、海自護衛艦とオランダ海軍フリゲートは九州西方の東シナ海で「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため共同演習を実施した。

参加したのは、

海自護衛艦「あけぼの・DD-108」満載排水量6,100 tonは「むらさめ」型9隻の8番艦で2002年就役。

オランダ海軍フリゲート「トロンプ(HNLMS Tromp F-803) 」満載排水量6,200 ton、2003年の就役で「デ・ゼーベン・プロビシェン」級の2番艦で同型艦は4隻ある。

図35:(zakzak) 610日長崎に入港するオランダ海軍フリゲート「トロンプ /F-803」。高い対空戦闘能力を持つマルチ戦闘艦。マスト4面にフェーズド・アレイ・レーダー」、艦橋後部には箱型早期警戒レーダー「SMART-L」を装備する。対艦兵装としてハープーン・ミサイル4連装発射装置2基、対空兵装には30 mm CIWASゴールキーパー2基、Mk.41 VLS (40セル)MS2ミサイルなどを搭載する。

「トロンプ/F-803」は長崎入港に先立ち、南シナ海から台湾海峡を通過、東シナ海経由で長崎に到着した。

「トロンプ(/F803)」は、5月7日に東シナ海で北朝鮮不審船の監視のため航行中、上海沖で中国軍戦闘機2機に接近され、上空を旋回飛行・威嚇された。警備飛行中の艦載ヘリコプターも同様の嫌がらせを受けた。オランダ政府は「中国側が危険な状況を作り出した」と非難した。中国側は11日に反論「オランダ側のヘリが領空侵犯した」と抗議した。

その後5月22日、米海軍「インデペンデント」級の沿海域戦闘艦「モーバイル(USS Mobile/LCS-26)」、「ルイス・アンド・クラーク」級の固形貨物補給艦「ワリー・シーラ(USNS Wally Schirra/T-AKE-8)」と共同で台湾海峡を通過、「航行の自由作戦」を実施した。

中国は「台湾海峡の主権と管轄権を保有する」との立場で、国際法に基ずく航行の自由を認めていない。台湾海峡よりはるかに狭い我が国の津軽海峡・対馬海峡・大隈海峡・宮古海峡などの通航を頻繁に繰り返し、当然としている態度こそが許せない。

図36:(オランダ国防省)東シナ海で、フリゲート「トロンプ」上空を威嚇飛行する中国軍戦闘機。

  • 6月21日 陸上自衛隊発表

7月18日〜26日の間、陸上自衛隊と米陸軍部隊は、抑止力、対処能力向上のため、共同実働訓練「オリエント・シールド24 (Orient Shield 24)」を実施

図37:(U.S. Army)米陸軍が発表した「Orient Shield 24/ 東洋の盾」ロゴ。

場所は、北海道饗庭野演習場、矢臼別演習場、伊丹駐屯地などで行う。

参加部隊は;―

陸上自衛隊:

中後方面総監部、陸上自衛隊:第14旅団、中部方面特科連隊、第2地対艦ミサイル連隊、第8高射特科群、第9施設群、中部方面航空隊、北部方面システム通信群、西武方面システム通信群、サイバー防護隊、等

米陸軍:

在日米陸軍司令部、第1マルチ・ドメイン・タスクフォース( MDTF=1st Multi-Domain Task Force)、第11空挺師団、第2戦闘航空旅団、第10支援群、第3海兵師団、等

特徴は、電子戦、ヘリボーン降下作戦等を含み、各職種が協同して行う日米共同訓練で、陸自FH-70 155 mm榴弾砲、米陸軍HIMARS、米海兵隊HIMARS等が参加する共同実弾射撃訓練である。

陸自第14旅団は、香川県善通寺駐屯の機動旅団、配下に第15即応機動連隊、第50普通科連隊を持つ。

陸自第2地対艦ミサイル連隊は、北海道美唄駐屯地の第1特科団隷下の地対艦ミサイル連隊で88式ミサイルを装備する。近く12式(改)に更新される予定。

米陸軍「1st MDTF」とは中露両軍の脅威に対抗する新組織で2017年にルイス・マコード基地(Joint Base Lewis-McChord, Washington)に創設された。戦場における敵の”接近拒否/侵入拒否 (A2/AD=Anti-Access/ Area Denial)“を実行する部隊。今後は逐次増強され、インド太平洋に2個、ヨーロッパに1個、北極圏に1個、米本国に1個、合計5個軍になる。[2nd MDTF]は2021年4月にドイツ・ワイズバーデン(Clay Kaserne, Wiesbaden, Germany)で発足した。

図38:(U.S. Army photo by Staff Sgt. Ryan Gay) 昨年9月の矢臼別演習場で行われた米陸軍第181野戦砲兵連隊 (181st Field Artillery Regiment/181 FAR, Tennessee National Guard)、アルファ中隊(Alpha Battery) が発射した[HIMARS =High Mobility Artillery Missile System(装輪式自走多連装ロケット砲)]の様子。

図39:(Wikipedia) [M142 HIMARS]は、C-130ハーキュリーズ輸送機で運べる長距離火力支援システム。5 tonトラック後部に227 mm M26ロケット弾(射程40 km)なら6発、MGM 140 ATACMS対地ミサイル(射程300 km)なら1発をポッドに搭載する。ポッドは、キャタピラー式M270 多連装ロケット・システム (M270 MLRS)用の12連装システムに換装も可能。

  • 6月21日 陸上自衛隊、6月24日III Marine Expeditionary Forces 発表

7月28日〜8月7日の間、陸上自衛隊は米海兵隊と実働訓練「レゾリュート・ドラゴン24 (Exercise Resolute Dragon 24)」を実施

今回で4回目となるこの年次訓練は、インド太平洋全域の危機に対応する日米両軍の能力を実証するものである。

日米同盟の抑止力・対処能力を一層強化するため陸自西部方面各部隊は、米第3海兵遠征軍(III Marine Expeditionary Force)と我国西部方面各地で、実働訓練を行う。

訓練箇所は:

山口県岩国海兵隊基地、熊本県・健軍駐屯地/高遊原分屯地/大矢野原演習場、大分県・日出生台演習場、佐賀県・目達原駐屯地、沖縄県・自衛隊施設/米軍基地、である。

参加部隊は;―

陸自:西部方面総監部、第4師団、第8師団、第15旅団、西部方面情報隊、第2特科団、第2高射特科団、西部方面航空隊、西部方面システム通信群、第1ヘリコプター団、その他。海自および空自からの参加も予定。

米海兵隊:第3海兵機動展開部隊司令部、第3海兵遠征軍情報部、第3海兵師団(第12海兵沿岸連隊等)の海兵隊員約3,000名、第1海兵航空団等、米陸軍、海軍、空軍の一部も参加。

特徴は;―

島嶼防衛作戦を想定、陸自の領域横断作戦(CDO)と海兵隊の機動展開前進基地作戦(EABO)との整合性、具体化を図る。

陸自西部方面隊と第3海兵遠征軍とが行う最大規模の訓練である。

今年3月に新編した第2特科団・第7地対艦ミサイル連隊が初参加する。

昨年に引き続き、陸自V-22オスプレイ輸送機が参加する。

第2特科団は大分県湯布院駐屯地2団本部がある野戦特科部隊、配下に155 mm榴弾砲FH70、19式装輪式自走榴弾砲、12式地対艦ミサイル、MLRS多連装ロケット・システム等を装備する連隊を持つ。

その一つが第7地対艦ミサイル連隊、12式地対艦ミサイルを装備、沖縄県うるま市勝連分屯地に連隊本部を置く。配下に4個ミサイル中隊があり、奄美大島の瀬戸内・宮古島・石垣島・沖縄本島うるま市の勝連、の各地に配備している。

図40:(www. marforpac.marines.mil) 第3海兵遠征軍発表の2024年度「レゾリュート・ドラゴン(Resolute Dragon)(“断固として守る竜”の意)演習のロゴ。中心は太平洋の荒波を背景に日本刀と盾を持つ竜が描かれ、周りには「resolute dragon」、「III MEF (第3海兵遠征軍)」、「Western Army(陸自西部方面隊)」の文字がある。このロゴから第3海兵遠征軍の並々ならぬ決意が読み取れる。

  • 6月27日 統合幕僚監部・U.S. Navy 7th fleet News発表

6月27日〜29日の間、日米韓3カ国による初の共同訓練「フリーダム・エッジ/FREEDOM EDGE」を実施

この演習は去る6月2日シンガポールで行われた日米韓3カ国国防相会議で発表された「朝鮮半島を含むインド太平洋区域の平和・安全」を具体化するための一つとして実施された。演習は太平洋、3カ国沿岸海域を含む広大な海空域で実施された。

参加部隊は;―

海自:  ヘリ空母「いせ (DDH-182)」19,000 ton、ミサイル駆逐艦「あたご (DDG-177)」10,000 ton、哨戒機「P-1」

韓国軍: ミサイル駆逐艦「ソエ・ユ・ソンニョン (DDG-993)」10,300 ton、駆逐艦「カン・ガムチャン(DDH-979)」5,500 ton、哨戒機「P-3」、リンクス対潜ヘリコプター、戦闘機「KF-16」、

米軍:  空母「セオドア・ルーズベルト/Theodore Roosevelt (CVN-71)」104,600 ton、ミサイル駆逐艦「ダニエル・イノウエ/Daniel Inoue (DDG-118) 9,700 ton」、哨戒機「P-8」、戦闘攻撃機「F/A-18」、早期警戒機「E-2D」、特殊作戦ヘリコプター「MH-60」

共同訓練は、弾道ミサイル防衛、対空防衛、対潜訓練、探索・救援、海域侵入阻止(Maritime Interdiction)、サイバー攻撃排除訓練、に主眼を置いて行われた。

―以上―