―「我が国・同盟諸国の対応」―
2025年10月8日(令和7年) 松尾芳郎
我国・同盟諸国の対応
- 8月29日 防衛省発表、2026年防衛予算概算要求を発表
2026年度防衛予算概算要求を発表した。塔最大の8超8454億円となった。主な内容
は;―
・スタンドオフ ミサイルの整備 1兆246億円
・統合防空ミサイルの防衛能力強化 5,173億円
・無人機アセット防衛能力の強化 3128億円
・領域横断作戦能力(車両・艦船・航空機等)の強化 1兆13億円
・持続性・強靭性の確保(弾薬備蓄、装備品維持、施設) 3兆円以上
重点ポイントとして挙げている項目は;―
・自衛隊人的基盤の強化 約7,700億円
・Xバンド防衛通信衛星の整備 903億円
・次期戦闘機開発 2066億円
「無人機」については「SHIELD」と呼ぶ無人機による防衛体制を構築する。陸自は偵察用、近距離攻撃用無人機を導入する。空自および海自は空中発射型・海上発射型の対艦・対地攻撃型無人機を導入する。また海自は対艦攻撃用の無人水上艇・無人潜水艇を整備する。
敵艦の接近や敵の上陸を阻止するため、敵の攻撃圏外から攻撃できるスタンド・オフ・ミサイルとして「12式地対艦ミサイル」、「超音速滑空ミサイル」等の導入整備を急ぐ。
宇宙領域、サイバー領域での体制を整備するため「航空自衛隊」を「航空宇宙自衛隊」に改編し「航空宇宙作戦集団」を新設する。
自衛隊の指揮・通信に使うXバンド防衛通信衛星「きらめき1号」の後継衛星の開発・製造を開始するため903億円を計上する。またサイバー専門部隊規模を2024年度2410名から2027年度4000名規模に拡充する。
隊員の処遇改善に7658億円を計上、また宿舎や庁舎の整備に7000億円以上を当る。

図1(防衛省)12式地対艦ミサイル能力向上型の発射試験、防衛省は2024年12月6日に5回の発射試験全てに成功、2025年度末に地発型配備開始、2026年度末に艦発型を配備、2027年度に空発型を配備すると発表した。射程は1,000 km以上。

図2:(防衛省)「イージス・システム搭載艦」は、配備中止になった陸上配備型「イージス・アショア」の代替となる艦。米本土に配備されている「長距離識別レーダー(LRDR)」をベースにしたロッキード・マーチン製「SPY-7」レーダーを装備する。満載排水量12,000 ton、速力30 kts、1番艦は2027年度、2番艦は2028年度就役予定。艦種記号は従来のイージス艦「DDG」でなく「CG」(ミサイル巡洋艦)となる。

図3:(防衛省)航空自衛隊は2025年5月26日、敵の侵入部隊の情報を収集する「目標情報収集用無人機」の試験に成功した。三菱重工が製作を担当している。
- 9月4日 海上幕僚監部発表および米海軍第70機動群発表 「パシフィック・バンガード」演習に参加
8月24日〜9月3日の間、海上自衛隊は米海軍主催の5国間共同訓練「パシフィック・バンガード25 (Pacific Vanguard 2025)」に参加した。訓練海空域はグアム島周辺。昨年より規模を拡大し、実戦に近い状態を模して訓練を行った。参加部隊は次の通り。
海上自衛隊;―
ヘリ空母「いせ(DDH-182)」19,000 ton、「護衛艦「すずなみ(DD-114)」(IPD25第3水上部隊)、補給艦「おうみ(AOE-426)」、潜水艦(IPD25潜水艦部隊)
米海軍;―
ミサイル駆逐艦「ヒギンズ/USS Higgins (DDG-76)」、補給艦「リチャードE.バイド/Richard E. Byrd (T-AKE-4)」、潜水艦、「P-8A」ポセイドン哨戒機、
オーストラリア空軍;―「P-8A」哨戒機、
韓国海軍;―ミサイル駆逐艦「ワンゴン(DDH-978)」
ニュージランド海軍;―司令部幕僚
訓練項目は、海上訓練(maritime operation)、対潜水艦訓練(anti-submarine warfare)、航空訓練( air-warfare)、各国間の共同作戦能力を向上させるため先進的行動シナリオに基づいて行われた。

図4:(海上幕僚監部)8月24日〜9月3日の間、グアム島周辺海空域で行われたパシフィック・バンガード訓練で、ミサイル発射する海自SH-60Kヘリコプター。
- 9月5日発表 日米韓共同訓練「フリーダム・エッジ25」を実施
日米韓3カ国共同訓練「フリーダム・エッジ25 (Freedom Edge 2025)」は昨年6月から始まった訓練で今回は3回目になる。期間は9月15日〜19日、訓練場所は東シナ海とその上空空域および関係国の基地周辺で横須賀、グアム、ハワイを含む。
自衛隊からの参加部隊は、統合幕僚監部、統合作戦司令部、自衛隊サイバー防衛隊など間接要員700名を含む。海自からヘリ空母「ひゅうが(DDH-181)」19,000 ton、ミサイル駆逐艦「はぐろ (DDG-180)」10,250 ton、「P-1」哨戒機、「SH-60K」ヘリコプター、空自から「F-15」戦闘機、「E-767」早期警戒管制機、「KC-767」空中給油輸送機、「KC-46A」空中給油輸送機などが参加した。
訓練は、海上作戦訓練、航空作戦訓練、後方補給作戦訓練、サイバー作戦訓練、それに弾道ミサイル防衛訓練、が行われた。

図5:(海上自衛隊)ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが(DDH-181)」満載排水量19,000 ton、全長197 m、最大幅33 m、速力30 kts、ヘリコプター11機を搭載する。兵装は、20 mm機関砲(CIWS) 2基、短SAM対空ミサイル用Mk.41 VLS 16セルを1基装備する。同型艦は「いせ」。
- 9月6日 オーストラリア海軍発表 オーストラリア駆逐艦およびカナダ フリゲートが台湾海峡を通過
9月横須賀に寄港し整備を受けたオーストラリア海軍ミサイル駆逐艦「ブリスベン/HMAS Brisbane (DDG-41)」は、9月6日カナダ海軍フリゲート「ビル・ド・ケベック/HMCS Ville de Quebec (FFH-332)」5,200 tonと共に台湾海峡を通過、「自由で開かれたインド太平洋実現」のための行動を実施し、存在感を内外に示した。

図6:(Royal Australian Navy) オーストラリア海軍ミサイル駆逐艦「ブリスベン/HMAS Brisbane (DDG-41)」は、ホバート(HNAS Hobart)級の2番艦、7,000 ton、速力28 kts+、兵装はハープーン対艦ミサイル4連装発射筒2基、対空ミサイルSM-2, SM-6発射用VLS Mk 41 48セル、対空機関砲20 mm CIWS 1基、MH-60Rヘリコプター1機を搭載する。

図7:’Canada navy)カナダ海軍ハリファックス級フリゲートの3番艦「ビル・ド・ケベック/HMCS Ville de Quebec (FFH-332)」5,200 ton。速力30 kts、兵装はハープーン対艦ミサイル4連装発射筒2基、20 mm CIWS対空機関砲1基、ボフォースMk3 57 mm単装砲1門、CH-124 Sea Kingヘリコプター1機を搭載する。
- 9月11日 防衛装備庁発表 レールガンの洋上射撃に成功
防衛装備庁は、9月10日にレールガン(電磁砲)の洋上射撃試験を実施したと発表した。試験艦「あすか(6102)」に搭載したレールガンから長射程射撃を行い目標船に正確に着弾した。レールガンは電気エネルギーで弾丸を加速・発射する砲で火薬は使わない。利点は初速2,500 mの高速が得られ戦車砲の1750 m初速をはるかに上回る。このため迎撃が難しい。さらに弾丸のサイズも小型にできる。一方実用化のための問題は、大量の電気を必要とするので電源の小型化、砲身の耐久性の向上などが必要である。

図8:(防衛装備庁)試験艦「あすか」に搭載したレールガンの発射試験。砲身の耐久性は120回まで達成している。
- 9月11日 U.S. Ari Force News発表 B-21爆撃機2号機が完成
米空軍の発表によると「V-21レイダー(Raider)」爆撃機の2号機が完成、9月11日にエドワーズ空軍基地(Edwards AFB, California)に到着した。空軍は2号機を使って飛行評価試験と取扱い訓練を行う。すなわちクリテイカル・ミッション・システム(critical mission system)ソフトやウエポン・インテグレイション・ソフトの評価試験を実施し実戦配備(operational readiness)を急ぐ。
空軍長官トロイ・メインク(Troy Meink)氏は「2号機を受領し、これでクリテイカル・ミッション・システムの評価試験、ウエポン・インテグレイションの試験が促進できる」と語っている。
[B-21]は、ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)が開発する長距離打撃爆撃機で、2025年からの運用予定で100機製造される。既存のB-1BとB-2を置き換え、「B-52H」と共に「全地球攻撃軍団(GSC=Global Strike Command)」を構成する。
詳細は未公表だが、2022年度単価は約7億ドル、長さ16 m、翼幅40 m、最大離陸重量81.7 ton、エンジンはP&W製[PW9000]アフタバーナー無しターボファン・推力27,000 lbsを2台。最大速度はマッハ0.8+。兵装はウエポンベイに9.1 tonを搭載できる。搭載ミサイルはAGM-181 LRSO (Long Range Stand-off Weapon)/長距離巡航ミサイルおよびJDAM系列爆弾。
[ PW9000 ]はP&Wの民間用エンジン GTF [PW1000G]系列の軍用版でファン・バイパス比は[ 4 : 1 ]。ファンは減速ギヤ無しの直接ドライブ方式。

図9:(US Air Force Public Affairs)「B-21」Raiderは、エドワーズ空軍基地所属の第412試験飛行部隊に配属中だが、数年後には全地球攻撃軍団(GSC)に配備される。
- 9月12日 イギリス国防省発表 日英空母が西太平洋で共同訓練を実施
イギリス海軍空母「プリンス・オブ・ウエルス(Prince of Wels)の日本南西諸島周辺での活動の機会を捉え、航空自衛隊、米太平洋軍、イギリス艦隊は、9月11日に沖縄本島の太平洋側回空域で共同訓練を実施した。参加部隊は次のとおり。
航空自衛隊;―第9航空団F-15J戦闘機2機
米太平洋軍;―F-35A戦闘機2機、F-35B STOVL戦闘機 1機、F-15E戦闘機4機、EA-18Gグロウラー電子戦機3機、E-3早期警戒管制機、KC-135空中給油機3機、RC-135電子線情報収集機1機、HC-130探索・救難機1機、KC-130空中給油機1機、
イギリス海軍;―空母艦載機F-35B STOVL戦闘機7機
参加部隊の規模から見ると、対中抑止力強化を狙った米太平洋軍の本気度が窺える。

図10:(US Air Force, Master Sgt. Lance Cheung)RC-135電子線情報収集機は「Rivet Joint」と呼ばれる。ボーイングKC-135空中給油機/C-135輸送機を電子線偵察機に改造した機種。Cobra Ball、Combat Sent、など多種類がある。
- 9月12日 中谷防衛相発表 空自F-15戦闘機その他を米国・欧州に派遣
9月12日、防衛省/航空自衛隊はF-15J戦闘機4機を含む合計8機を北米およびヨーロッパに派遣する発表した。北米欧州親善訪問「アトランテイック・イーグルス(Atlantic Eagles)」として催行した。
期間は9月14日から10月1日まで、アイルソン空軍基地(Eielson AFB, Alaska)、グースベイ空軍基地(Goose bay CFB, Canada)、コニングスピー空軍基地(Coningsby RAF, U.K.)、ラーゲ空軍基地(Laage AB, Germany)、を訪問した。
派遣部隊は;―
千歳基地・第2航空団F-15J戦闘機4機
小牧基地・第1輸送航空隊KC-767空中給油輸送機1機
入間基地・第2輸送航空隊C-2輸送機1機
美保基地・第3航空輸送隊C-2輸送機1機、およびKC-46A空中給油輸送機1機
合計8機、人員約180名
防衛省では、欧州、大西洋、インド洋、太平洋の安全保障環境が相互に関連し、厳しさを増していることから、同盟諸国との相互理解を深めるための派遣としている。
F-15J戦闘機は9月24日にドイツ北東部ラーゲ空軍基地に到着、ドイツ訪問中の航空幕僚長森田雄博空将とドイツ空軍総監ホルガー・ノイマン大将が出迎えた。
9月26日には、二人がドイツ空軍A400M輸送機に搭乗、貨物室ドアを開け後方を飛行するF-15J戦闘機とユーロファイター戦闘機を背景に握手する写真を公開した。
10月1日、空自F-15J戦闘機はアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツの親善訪問「アトランテイック・イーグルス(Atlantic Eagles)」を終え、千歳基地に帰還した。

図11:(航空自衛隊)アイルソン空軍基地(Eielson AFB, Alaska)に到着したC-2輸送機。

図12:(航空自衛隊)グースベイ空軍基地(Goose bay CFB, Canada)に到着した支援輸送機および空中給油機の4機。

図13:(航空自衛隊)コニングスピー空軍基地(Coningsby RAF, U.K.)に到着したF-15J戦闘機。

図14:(航空自衛隊)9月24日ラーゲ空軍基地(Laage AB, Germany)に到着したF-15J戦闘機。

図15:(航空自衛隊) 9月26日、航空幕僚長森田雄博空将とドイツ空軍総監ホルガー・ノイマン大将がドイツ空軍A400M輸送機に搭乗、貨物室ドアを開け、後方・間近を飛行するF-15J戦闘機(左右の2機)とユーロファイター戦闘機(中央の2機)を背景に握手。
- 9月12日 第7艦隊発表 USS Blue Ridge司令官交代
9月5日、米第7艦隊の旗艦「ブルーリッジ/USS Blue Ridge (LCC-19)艦上で司令官交代式が行われた。2023年11月10日から2025年9月5日の間、司令官を務めたニコラス“ダッパー”デレオ(Nicholas “Dapper” Deleo)大佐をルイスF. カタリナIV(Louis F. Catalina IV)大佐が引き継いだ。
「ブルーリッジ(LCC-19)」は、米第7艦隊・第76上陸機動軍(Task Force 76, Amphibious Force U.S. 7th Fleet)の旗艦を務めている。沖縄本島漆間市勝連の軍港に在伯している。
- 9月12日 航空幕僚監部発表 ペトリオットPAC-3実弾射撃訓練を米国で実施
10月13日〜11月15日の間、航空自衛隊は、米陸軍ニューメキシコ州(New Mexico State)マクレガー射撃場(McGregor Range)およびホワイトサンズ射場(White Sands Missile Range) でペトリオット対空ミサイルを含む統合防空ミサイル防衛実弾射撃訓練を実施する。この訓練には、全国の高射群および支援部隊から隊員190名が参加、ペトリオット機材一式を携行する。訓練項目は、実弾射撃および陸自との共同防空戦闘、、機動展開、ミサイル再装填、小型ドローン対処訓練など多岐にわたる。
空自高射隊編成は次の通り。
北部高射群(三沢基地):8個高射隊編成
中部高射群(入間基地):8個高射隊編成プラス2派遣隊
西部高射群(春日基地);4個高射隊プラス1派遣隊
南西高射群(那覇基地):4個高射隊
各高射隊は原則として発射車両5台を中心に編成される。
- 9月14日 時事通信発表 海自イージス艦ちょうかい、来夏までに米国でトマホーク巡航ミサイルの実射試験を予定
防衛省は9月3日の斉藤海上幕僚長会見で、巡航ミサイル「トマホーク/Tomahawk」の発射機能を海自イージス艦(ミサイル駆逐艦)「ちょうかい(176)」から付加すると発表した。「ちょうかい(176)」は佐世保基地配備で、9月26日午後、寄港していた横須賀基地を出港、トマホーク搭載の改修のためアメリカに向けて出航した。
防衛省は、中国などの奇襲攻撃に対し「反撃能力」を高めるため、長距離巡航ミサイルなどの取得を進めていて、その一つが射程1,600 kmの「トマホーク/Tomahawk」巡航ミサイル約400発を取得し、海自ミサイル駆逐艦8隻にに順次搭載する予定である。
防衛省によると、「ちょうかい」は米国で「トマホーク武器システム」搭載の改修・訓練を2026年初頭に完了、夏までに発射試験を行い任務遂行能力の確認をする予定。
「長射程ミサイルの」整備では、このほかに「12式地対艦ミサイル能力向上型」射程1,000 km以上、「超音速滑空ミサイル」などの開発・取得が急がれている。
製造元のレイセオンによると、「トマホーク」は厳重に防御された空域でも、1,600 km離れた位置から目標を正確に攻撃できる。

図16:(海上自衛隊)先日、横須賀基地で「ちょうかい(DDG-176)」の乗組員らがトマホーク模擬弾の搭載訓練を行った。「ちょうかい」は「こんごう(DDG-173)」型の4番艦で、満載排水量7,250 ton、長さ161 m、Mk.41 VLS垂直発射筒90セル、対艦ミサイル4連想発射筒2基を備える。
- 9月16日海上幕僚監部発表 日・英・米・豪・加・ノルウエイ 6カ国海軍共同訓練
9月9日〜14日の間、日・英・米・豪・加・ノルウエイ の6カ国海軍は東シナ海から西太平洋に広がる海域で共同訓練を実施した。参加部隊は次の通り。
・海上自衛隊:空母「かが」、護衛艦「あけぼの」(IPD25第4水上部隊)
・イギリス海軍;空母「プリンス・オブ・ウエルス」、ミサイル駆逐艦「ドーントレス」、フリゲート「リッチモンド」
・アメリカ海軍:ミサイル駆逐艦「ヒギンズ」、補給艦「ラバハノック」、
・オーストラリア海軍:ミサイル駆逐艦「ブリスベン」、
・カナダ海軍:フリゲート「ビル・デ・ケベック」
・ノルウエー海軍:フリゲート「ロアール・アムンゼン」
訓練項目は、対水上戦、対潜水艦戦、洋上補給、艦載機クロスデッキ、を含む各種戦術訓練。

図17:(海上幕僚監部)東シナ海・西太平洋で行われた6カ国海軍共同訓練。左先頭が空母「かが」、右先頭が空母「プリンス・オブ・ウエルス」。

図18:(海上幕僚監部)手前が「かが」満載排水量26,000 ton、全長248 m。奥が「プリンス・オブ・ウエルス」満載排水量65,000 ton、全長284 m。英空母は遥かに大きい。
- 9月18日読売新聞オンライン 石垣島に米海兵隊NMESISと MADISを展開
自衛隊と米軍が沖縄・九州・山口、硫黄島などで実施した共同訓練「レゾリュート・ドラゴン(Resolute Dragon)」で、日米の指揮官が9月17日、沖縄県石垣島で記者会見を行い、訓練の意義を強調し、米海兵隊の地対艦ミサイル「NMESIS (ネメシス)」と防空統合システム「MADIS(マでいす)」を公開した。
中国が南西諸島・台湾への侵攻圧力を強める中で、訓練は島嶼防衛能力を強化するために9月25日まで実施された。参加兵員は過去最大規模で日米両軍で19,000名で行われた。
陸自西武方面総監 鳥海誠司 陸将は、「機動力と即応性の高い「NMESIS」などの参加で、島嶼部への侵攻に対する抑止力が高まる」と強調した。米第3海兵機動展開部隊ロジャー・ターナー司令官も「地域の安全を脅かす敵に対し、日米両軍一体となって対処する体制を整えている:と語った。

図19:(読売新聞)陸自石垣駐屯地に展開した第3海兵機動展開部隊の無人地対艦ミサイルシステム「NMESIS」(右)と防空統合システム「MADIS Mk1」(左)。
NMESISと MADISはいずれも4輪車両に搭載された小型軽量のシステムで、米海兵隊の新戦術「遠征前進基地作戦(EABO)」に対応し、ヘリコプターで吊り下げ輸送ができる。
防空統合システム「MADIS」には、レーダー無しの「MADIS Mk1」と4面にレーダー装備の「MADIS Mk2」がある。遠隔操作銃塔に30 mm機関砲と携行型地対空ミサイルを備え、対ドローン防空を担当する。
無人地対艦ミサイルシステム「NMESIS」は、遠隔操作型で、ノルウエイのコングスベルグ社が開発した「NSM(Naval Strike Missile)」を米国のRTX社がライセンス生産した高速亜音速ミサイル、重さ450 kg、射程300 km、を18発搭載する。
- 9月19日 海上幕僚監部発表 日豪共同訓練「トライデント25」を実施
9月19日、海上自衛隊フリゲート「くまの」はオーストラリア海軍ミサイル駆逐艦「ブリスベン」と関東地方南方の太平洋で共同訓練「トライデント25-3 (Trident 2025-3)」を実施した。
- 9月19日 航空幕僚監部発表 米空軍主催多国間共同訓練「シルバー・フラッグ(Silver Flag)」に参加
9月20日〜28日の間、航空自衛隊・航空総隊等の人員20名は、グアム島アンダーセン空軍基地で行われる指揮所訓練、飛行場被害復旧訓練、不発弾処理訓練に参加した。
- 9月22日 海上幕僚監部発表 米海軍主催多国間共同訓練「UNITAS25」に参加
9月19日、20日、海上自衛隊練習艦「かしま」と「しまかぜ」は、フロリダ州ジャクソンビル(Jacksonville, Florida)のサンパブロ・アイランド(San Pablo Island)にあるメイポート海軍基地(Naval Station Mayport)沖の海域で行われた米海軍主催の多国間共同訓練「UNITAS 2025」に参加した。
- 9月27日 発表 東シナ海上空空域で日米豪3カ国共同訓練を実施
9月26日、九州西方の東シナ海上空で航空自衛隊・米空軍・オーストラリア空軍は共同訓練を実施した。参加部隊は次の通り。
・航空自衛隊;第5航空団 F-15J戦闘機3機、第3輸送航空隊 KC-46A空中給油輸送機1機、
・米空軍 :F-35A戦闘機2機、KC-135空中給油機 1機、
・オーストラリア空軍:F-35A戦闘機3機、KC-30A空中給油機 1機、

図20:(統合幕僚監部)9月26日、東シナ海上空で編隊飛行訓練を行う日・米・豪3カ国空軍。
―以上―