令和8年3月、我国周辺での中露軍活動と我国/同盟諸国の対応



2026年4月13日(令和8年) 松尾芳郎

令和8年3月、我国および台湾周辺における中露軍の活動に異変が生じている。ロシア軍の活動は続いているが、中国軍はほぼ活動を停止している。これに対し我国および同盟諸国は、警戒を緩めることなく抑止力強化に努めている。

(China’s PLA ,Russian forces military drill around Japan and Taiwan in this March have less than months ago, Russian’s activity no change, the PLA became nearly quiet, however. Japan and allies are putting defensive act against the hostiles. Following are the details of major issues.) 

防衛省および各幕僚監部、米第7艦隊などが発表した3月における我国周辺の中露両軍の軍事活動および我国と同盟諸国軍の対応は以下の通り。

中露、北鮮軍の動向

  • 3月2日発表 統合幕僚監部 中国軍Y-9情報収集機2機、宮古海峡から奄美沖太平洋へ反転東シナ海へ戻る

2月28日昼間、中国軍情報収集機「Y-9」2機が東シナ海から沖縄本島と宮古島の海峡を通過して太平洋に進出、奄美大島沖まで飛行、反転して往路と同じ経路で戻る。

[Y-9]は、多用途中型輸送機として開発した機体で、多くのバリエーションがある。概要は、翼幅38 m、全長36m、巡航速度550 km/hr、最大離陸重量65 ton、最大航続距離5,200 km、エンジンはFWJ-6Cターボプロップ5,100軸馬力4台を装備する。

図1:(統合幕僚監部)2月28日昼間、中国軍情報収集機2機が宮古海峡通過し奄美大島沖合まで飛行したが、写真はその1機。空自機が撮影した。本機は[Y-9JB]でSIGINT/ELINT型、機首、前部胴体側面、後部胴体側面にアンテナを装備する。

図2:(統合幕僚監部)2月28日奄美大島沖に飛来した他の1機は[Y-9DZ]。前図の [Y-9JB]と異なるELINT機で、胴体下部にSARアンテナが付いてる。

図3:(統合幕僚監部)2月28日の中国軍 [Y-9]情報収集機2機の航跡。

  • 3月6日、同10日 統合幕僚監部発表 ロシア海軍フリゲート・潜水艦及び曳船が対馬海峡経由東シナ海から与那国島―西表島の海峡を通過、太平洋へ

3月5日、6日にかけてロシア海軍ステレグシチー級フリゲート(335)、キロ改級潜水艦、及びバルク級航洋曳船の3隻が、対馬海峡を日本海から東シナ海に向け航行し、3月9日夕刻には与那国島と西表島の間の海峡を通過、太平洋に向け航行した。

ステレグシチー級フリゲート(335)は、3月4日の早朝津軽海峡を通り、太平洋から日本海に入ったばかりの艦である。これがそのまま対馬海峡を抜け東シナ海を南下、南西諸島を通過し、太平洋へ進出した。

図4:(統合幕僚監部)ステレグシチー級フリゲートは[20380型]、改良型は[20381型]、沿海用警備艦で2007年から配備。満載排水量2,200 ton、長さ105 m、速力27 kts、ステルス形状で閉囲型マストを装備、電子装備、武器システムが近代化されている。対艦兵器は[3M24ウラン]対艦ミサイル4連装発射筒2基を搭載、艦尾甲板にはKa-27PL哨戒ヘリ1機を搭載。写真(335)は「グロムキー」2020年12月の就役。太平洋艦隊に5隻が配備中。

図5:(統合幕僚監部)ロシア海軍キロ改級潜水艦。「キロ」級877型の改良型で「636号計画艦」。エンジンは出力向上したターボデイーゼルになり、充電時間を短縮。推進プロペラを6翅から7翅に変え回転数を半分にし騒音を抑えている。排水量は水上2,350 ton、水中3,950 ton、長さ74 m、水中速力25 kts。兵装は、533 mm魚雷発射管6門、艦橋に対空ミサイル発射筒があり、浮上し発射する。

図6:(統合幕僚監部)

  • 3月14日 防衛省発表、同15日 AFP News、時事.com報道 北朝鮮、核搭載可能な多連装ロケット発射試験を実施

北朝鮮は3月14日午後1時24分ごろ北鮮西海岸から多数の弾道ミサイルを北東方面に向けて発射、いずれも最高高度80 km、約340 km飛行して朝鮮半島東海岸付近に着弾した。いずれも我国の排他的経済水域(EEZ)の外側に落下した。

AFP通信によると、北朝鮮国営メデイアは「金正恩総書記が視察する中、核搭載能力を持つ最新鋭の多連装ロケット・システム(MRLS)の試験を実施した」と発表した。朝鮮中央通信(KCNA)が報じた内容では、金総書記は14日に「600 mm口径の超精密多連装ロケット砲12門と2個砲兵部隊が関与した試験を視察した」と伝えた。金氏は「この訓練で、射程420 kmの範囲内にいる敵に不安感を与えると共に戦術核兵器の破壊力を想起させた」と述べたと報じた。KCNAによれば、ロケットは日本海にある360 km離れた島の目標に着弾した、という。

我国防衛省では、[600 mm超大型砲]あるいは[KN-25]と呼び、短距離弾道ミサイル[SRBM]に分類している。直径600 mm、全長8.2 m、重量3,000kg、射程380 km、と推定している。

図7:(朝鮮中央通信)3月14日撮影。北朝鮮西岸の基地から発射される600 mm口径多連装ロケット弾。12発が次々と発射される様子。

図8:(JANES)朝鮮中央通信(KCNA)は2026年1月27日、北朝鮮が改良型口径600 mm[KN-25]多連装ロケットの試射に成功、と報じた。写真は試験に立ち会う金総書記。この改良型[KN-25]が、3月14日の12発一斉発射に使われた。

  • 3月16日及び同18日 統合幕僚監部発表 ロシア海軍ウダロイIII級駆逐艦、与那国島―西表島間の海峡を通過太平洋から東シナ海へ、北上して18日には対馬海峡を経て日本海へ戻る

3月15日午後、ロシア海軍ウダロイIII級駆逐艦(543)が太平洋から与那国島と西表島の間の海峡を通過、東シナ海に入った。その後北上し3月17日には対馬海峡を通り日本海に戻った。同艦は昨年10月に同海峡を出て太平洋に進出しているので半年の航海を経て本国に戻った事になる。

「ウダロイIII級駆逐艦」はソ連時代に作られた「大型対潜艦(プロジェクト1155)」の近代化改装艦で、「1155.1型・ウダロイII級」を経て、兵装、電子装備を更新、外観が変わったため我国では[III級]と呼んでいる。

「1155.1型・ウダロイII級」は、満載排水量8,900 ton、長さ163.5 m、最大速力28 kts。兵装は、130 mm口径連装砲1基、コールチクCIWS 2基、キンジャール短SAM 8連装VLS 8基、P-270モスキートSSM 4連装発射機 2基、などを装備する。

図9:(統合幕僚監部)ウダロイIII級駆逐艦(543)「マーシャル・シャポシニコフ」は1985年に就役。同型艦は13隻建造。

  • 3月18日 朝鮮日報報道 イラン戦争開始後中断していた台湾周辺での中国軍機活動を再開

台湾国防部(国防省)は毎日、台湾海峡と周辺海域・領空での中国軍機の活動状況をウエブサイトで公表している。

2月26日に中国軍機8機が台湾海峡中間線を超え内6機が台湾領空を侵犯した。その前日には30機が接近し内22機が中間線を超えた。ところが3月になってからは3月6日に2機が台湾防空識別圏に入ったのと、11日に5機が飛来、内2機が防空識別圏に入っただけだった。

中国軍の活動状況を収集・分析するアメリカのPLAトラッカーのベン・ルイス氏によると、中国軍機が台湾防空識別圏を侵犯する回数は2020年/390回、2025年/3764回と著しく増加し、1日平均では10回を超えていた。この従来のパターンと比較すると、3月は非常に劇的な変化であり、こうした空白は2021年以降では最長になった、と言っている。ニューヨーク・タイムス紙は、5月に延期されたが習近平主席とトランプ大統領の会談を控えた措置、あるいはイラン情勢からくる燃料不足のためではないか、と報じている。別の見方では、中国空軍内部の粛清による影響の可能性があると、指摘する専門家もいる。

図10:(朝鮮日報/台湾国防部)台湾空軍のF-16戦闘機が台湾南方のバシー海峡を飛行する中国空軍H-6K爆撃機を追跡・監視している様子。

  • 3月20日 乗り物ニュース報道 ロシア軍、極超音速ミサイル搭載戦闘機[MiG-31]を日本海でデモ飛行

ロシア国防省は2026年3月17日、[Kh-47M2キンジャール]極超音速弾道ミサイルを搭載した[MiG-31]戦闘機が日本海公海上空で警戒飛行を実施した、と発表した。2機の[MiG-31]が[Kh-47M2キンジャール]を搭載しで飛行し、途中空中給油を受ける様子などが公表された。

[Kh-47M2キンジャール]は、空中発射弾道ミサイルで、2017年から配備が始まった射程2000 km、直径1 m、100~500 kilo-ton核弾頭を搭載、固体燃料ロケットで飛翔、最大速度はマッハ10と言われ、着弾精度は1 m。「イスカンデル」の空中発射型とも言われている。

[Kh-47M2キンジャール]ミサイルは、核弾頭を搭載し超音速で飛行し既存の防空網では迎撃が困難とされている。ウクライナ戦線でも使われ、ウクライナ軍がNATO経由米国から入手した最新型のペトリオット[PAC-3 MSE]で迎撃に成功したと報告されている。

[Kh-47M2キンジャール]を搭載した戦闘機が、公海上とはいえ我国に接近飛行する事は滅多にない。日本や在日米軍を最新兵器で牽制する狙いがある。

図11:(ロシア国防省)[Kh-47M2キンジャール]ミサイルを搭載する[MiG-31]戦闘機。(2018年のモスクワ軍事パレードで撮影の写真)

  • 3月27日 統合幕僚監部発表 3月27日昼ロシア軍哨戒機[Tu-142] 2機が太平洋から北海道南に接近、反転して北海道沖を周り本州男鹿半島沖に飛行、反転して大陸に戻る

3月27日昼、ロシア海軍の哨戒機[Tu-142] 2機が千島列島沿い太平洋側から岩手県沖合まで接近し、反転して北方4島上空を経由宗谷海峡を迂回して日本海に出、秋田県沖まで南下、それから北上し、シバリア方面に立ち去った。当日は、空自、米空軍、オランダ空軍の[F-35A] 戦闘機が青森県三沢基地に集結、共同戦闘訓練を実施しているので、ロシア海軍はこれを偵察、通信を傍受するために2機を飛ばしたらしい。

図12:(統合幕僚監部)3月27日昼、ロシア海軍は[Tu-142]哨戒機2機を北海道周辺に派遣、青森県三沢基地周辺の空域で共同訓練をした日米蘭3カ国空軍の[F-35A]戦闘機の様子を偵察、通信内容を傍受した模様。

図13:(統合幕僚監部)3月27日昼間、空自戦闘機が撮影したロシア[Tu-142]偵察機2機の写真。

図14:(統合幕僚監部)[Tu-142]はツポレフ設計局開発の戦略爆撃機[Tu-95]を原型とした哨戒機。空中給油なしで30時間飛行できる。

[Tu-142] は、[Tu-95]から大きく設計変更され、胴体は1.78 m延長、方向舵も大型化し、主翼も弦長を伸ばしスーパークリテイカル翼型近くになり、ランデイングギアも強化している。

1968~1994年間に主にタガンログ(Taganrog)機械工場で製造、約100機が作られたが、現在は[Tu-142M3/MR/MK] 型 29機がロシア北東の北極圏に近い2カ所の海軍航空基地に配備されている。

スペックは、乗員11~13名、長さ53.8 m、翼幅50 m、自重90 ton、最大離陸重量185 ton、エンジンKuzunetsov NK-12MPターボプロップ軸馬力14,800 shpを4基、8翅2重反転プロペラを装備する。最大速度925 km/hr、巡航速度711 km/hr、戦闘行動半径6,500 km。

  • 3月30日 共同通信、3月31日沖縄八重山日報報道 尖閣周辺に中国海警局艦艇が137日連続侵入

第11管区海上保安本部によると尖閣諸島周辺の接続水域あるいは領海に中国海警局の艦艇が侵入・航行するのは137日間連続。定常的に航行しているのは「海警1303」、[1302]、「海警1401」、「海警1307」の4隻、いずれも機関砲を装備している。

図15:(時事通信/海上自衛隊)尖閣諸島、手前から南小島、北小島、奥の大きいのは魚釣島。

魚釣島周辺に広がる日本の排他的経済水域内で、中国の海洋調査船「向陽江22」が3月30日から調査活動を続けた。船尾から海中にワイヤを垂らしパイプを投入しているのを海保巡視船が確認した。「向陽江22」には海警局艦[2204]が同行警護していた。2隻は30日から31日にかけて南北20 kmを往復した後不規則な動きを繰り返し、4月1日もEEZ内に止まって活動している。海保巡視船は「向陽江22」に対し無線で活動中止を要求しているが、応じる気配はない。

図16:(第11管区海上保安本部)3月30日魚釣島西北西70 km付近の海域で中国海洋調査船がパイプやワイヤを海中に降ろし調査を行った。海保巡視船は、事前の同意のない調査は違法、直ちに中止するよう要求した。

  • 3月30日 統合幕僚監部発表 中国軍新型哨戒機[Y-9]東シナ海で発見

3月28日午後中国軍哨戒機[Y-9]の新型機が初めて東シナ海の我国防空識別圏に姿を見せ暫く飛行したのち、中国本土に向け立ち去った。

[Y-9]には多くのバリエーションがあるが、今回確認されたのは機首のレドーム形状、尾部の小型化したMAD、胴体上下の多数の小型アンテナ、など従来機と相違が見られる。潜水艦との通信中継をする[Y-9T]型、あるいは対潜哨戒を主任務とする[Y-9FQ]型と見られる。

図17:(統合幕僚監部)3月28日午後東シナ海上空に初めて姿を表した新型[Y-9]情報収集機の航跡。

図18:(統合幕僚監部)3月28日、初めて姿を見せた新型[Y-9]情報収集機。[Y-9FQ]か。

  • 3月30日 統合幕僚監部発表 ロシア海軍バルザム級情報収集艦(80)、3月27−28日津軽海峡を東進、反転して日本海へ戻る

3月27日朝、ロシア海軍「バルサム」級情報収集艦(80)「プリバルチカ」が津軽海峡の接続水域内を日本海から東に進み竜飛岬の南西50 kmの太平洋に進出、ここで反転、往路と同じ経路で日本海に戻った。この時期には青森県三沢基地に米国、日本、オランダのF-35A戦闘機が集結、共同訓練をしていたので、関連情報を収集したか。

「バルサム」級情報収集艦は、満載排水量4,900 ton、長さ105 m、速力20 kts、航続距離7,000 n.m.で、艦橋前部にCIWS・AK-630M 30 mmガトリング機関砲を装備している。

用途は、米本土周辺の原潜基地やICBM発射基地の監視、NATO軍の演習、日本周辺では空自レーダーサイトの電子情報収集に使っている。同型艦は4隻で、太平洋艦隊と北方艦隊に2隻ずつ配備されている。

図19:(統合幕僚監部)バルサム級情報収集艦[SSV-80] Plibaltika(プリバルチカ)は、1984年就役、太平洋艦隊に所属。

図20:(統合幕僚監部)バルサム級情報収集艦[SSV-80] Plibaltikaの航路。

  • 3月30日 統合幕僚監部発表 中国海軍ドンデイアオ級情報収集艦(799)、対馬海峡を抜け日本海へ

3月29日朝、中国街軍ドンデイアオ級情報収集艦(799)が東シナ海から対馬海峡を通り日本海に向け航行した。

[815A]型情報収集艦/電子偵察艦の任務は「敵レーダーと通信信号を収集し、対応する電磁対策を提供し、敵の暗号を解読すること」と中国海軍高官が述べている。

ドンデイアオ級情報収集艦は「815型情報収集艦」で[815A]型4隻と[815A-II]型4隻が活動中。[815A]型は満載排水量6,600 ton、長さ130 m、速力20 kts、30 mm機関砲1基と14.5 mm連装機関砲2基を装備、艦橋上部の円筒形レドームは回転式フェイズドアレイ・レーダーが内蔵され探知距離700 km以上。艦橋後方には4角錐型集合アンテナがあり、HFからX波帯域の通信探知アンテナ、レーダー信号受信アンテナなどを装備している。中央にはパッシブ・レーダー用ドーム、後部ドームは艦対機通信アンテナとされる。

情報収集艦(799)は、[815A-II]型で「金星号」と呼ばれる。2018年末に就役。

図21:(統合幕僚監部)3月29日に対馬海峡付近で撮影したドンデイアオ級情報収集艦(799)。

図22:(統合幕僚監部)3月29日「ドンデイアオ級情報収集艦」(799)の航跡。

  • 3月31日 統合幕僚監部発表 中国海軍ルーヤンIII級駆逐艦、レンハイ級駆逐艦、フチ級補給艦の3隻、対馬海峡を通り日本海へ

3月30日午後、中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(119)、レンハイ級ミサイル駆逐艦(102)、およびフチ級補給艦(903)の3隻が、五島列島沖を北東に向け航行、30日夜半に対馬海峡を通り日本海に入った。また、30日夕刻、別のルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(120)が同じ航路で日本海に向け航行した。

ルーヤン(旅洋)級駆逐艦には次の3種ある;―

旅洋I型:広州級駆逐艦/052B型駆逐艦

旅洋II型:蘭州級駆逐艦/052C型駆逐艦 中国版イージス艦6隻建造

旅洋III級:昆明級駆逐艦/052D型駆逐艦 中国版イージス艦33隻就役、5隻建造中

「ルーヤンIII級・昆明級/052D型駆逐艦」は、乗員280名、満載排水量7,500 ton、長さ161 m、最大速力32 kts、兵装は70口径130 mm単装砲1門、30 mm CIWS 1基、対空ミサイル用VLS 32セルを2基、Ka-28/Z-9対潜ヘリコプター1機を搭載。艦橋の4面に平板状の346A型フェーズドアレイ・レーダー・アンテナを装備する。

図23:(統合幕僚監部) (119)[貴陽]

図24:(統合幕僚監部)レンハイ級ミサイル駆逐艦(102)「拉薩」。055型(南昌級)満載排水量13,000 ton  8隻中の一隻。各種ミサイル発射用VLS合計112セルを装備する。搭載ヘリはZ-202機。米海軍では「ミサイル巡洋艦」に分類。

図25:(統合幕僚監部)フチ(福池)級補給艦(903)「可可西里湖」(903A型)で2-18年数駅、23,000 ton、速力20 kts。同型は7隻ある。

図26:(統合幕僚監部)   (120)「成都」

図27:(統合幕僚監部)中国海軍のロシア協力が目立つ。

我国及び同盟諸国の対応

  • 3月3日 海上幕僚監部発表 潜水艦「ちょうげい」引渡式

3月10日午前三菱重工神戸造船所で潜水艦「ちょうげい」の引渡し式・自衛艦旗授与式が挙行され、第2潜水隊群第2潜水隊に配属、横須賀基地に配備された。

潜水艦「ちょうげい(SS-517)」は、三菱神戸造船所で建造した「そうりゅう」型11番艦「たいげい(SS-513)」・川崎重工神戸造船所で建造した12番艦「はくげい(SS-514)」と同様リチウム・イオン電池を動力源とした潜水艦である。基準排水量約3,000 ton、満載排水量4,200 ton、長さ84 m、乗員は70 名。水中速力約 20 kts、兵装は「18式魚雷」と「ハープーンBk2(UGM-84L)」巡航ミサイル発射用の533 mm 魚雷発射管6門を装備。機関は川崎重工製12V25/31デイーゼル・エンジンを2基、水中出力6,000 hp、潜水中でもエンジン運転可能にするシュノーケリング・マストを採用。潜望鏡は非貫通型2本を備える。光ファイバー技術を使った高性能ソナー・システムを装備する。ソナー・システムは艦首アレイ・側面アレイ・曳航アレイなどで構成される。また「魚雷防御システム(TCM=Torpedo Counter Measure)」を備える。船体は「フローテイング・デッキ」構造で騒音の低下と耐衝撃性の向上を計る。

このような事で通常動力型潜水艦としては、世界最高水準の能力を持つ。

「たいげい」級は10隻建造の計画で「ちょうげい」の完成で5隻が就役した。

図28:(海上自衛隊/三菱重工)3月10日三菱長崎造船所で引渡式を済ませた「たいげい」型5番艦「ちょうげい」は基準排水量 3000 ton、横須賀基地が母港。

  • 3月3日 海上幕僚監部発表 護衛艦「くまの」オーストラリア海軍と訓練

3月4日から6月4日の間、海自護衛艦/フリゲート「くまの (FFM-2)」は、「令和8年度豪州方面派遣訓練」としてオーストラリア、ニュージランド、ハワイなどを歴訪し各国海軍と共同訓練を実施する。参加訓練は;―

  • オーストラリア海軍主催国際観艦式 (IFR 2026)

2)オーストラリア海軍主催多国間共同訓練 (KAKADU 2026)

シドニー及び周辺海域で行う対地射撃、対潜水艦戦、対水上戦で、インド、マレーシア、フィリピン、タイの海軍艦艇が参加した。

3)オーストラリア海軍主催多国間共同訓練 (ASWEX 2026)

「くまの(FFM-2)」は「もがみ(FFM-1)」型の2番艦、満載排水量5,500 ton、全長133 m、最大幅16.3 m、乗員は90名。

機関は低速時はデイーゼル・エンジン・高速時はガスタービンを併用するCODAG方式を採用、低速機としてMAN 12V28/33D STCでイーゼルを2基、高速時にはRR MT30ガスタービン1基を追加運転する。共に川崎重工がライセンス供与で国産化している。兵装は、米海軍仕様のMk. 45  62口径5 inch単装砲1門、対空ミサイルSea RAM 1基、17式対艦ミサイル(SSN-2)4連装発射筒2基、対空ミサイル用VLS 16セル、対潜魚雷発射管3連装2基、SH-60K哨戒ヘリコプター1機など。

2025年8月4日オーストラリア政府は「もがみ」型能力向上型の「新型FFM」採用を決定した。またニュージランド海軍も「新型FFM」採用に意欲を示している。このような背景があり海自は「もがみ型FFM」の派遣・展示に積極的に動いている。

図29:(三菱重工)2026年3月22日、三菱重工玉野工場で海自フリゲート「くまの(FFM-2)」の引渡式・自衛艦旗授与式が行われた。式典後「くまの」は横須賀基地・掃海隊群に配備される。

図30:(海上幕僚監部オーストラリア海軍主催国際観艦式 (IFR 2026)に参加した海自フリゲート「くまの(FFM-2)」艦上から撮影した豪海軍観艦式(IFR 2026)

  • 3月4日 海上幕僚監部発表 護衛艦「しらぬい」インドネシア海軍と訓練

令和7年度外洋練習航海部隊は3月3日、護衛艦「しらぬい」及び練習艦「やまぎり」をインドネシアに派遣、スラウエシ島(Sulawesi)(旧セレベス島)北東のビトウン(Bitug)沖の南シナ海で、インドネシア海軍哨戒艦「スラル(Selar 879)」と共同訓練を行い、その後「ビトウン」港に寄港した。

護衛艦「しらぬい(DD-120)」は「あさひ」型護衛艦の2番艦で2019年就役、定係港は大湊、満載排水量6,800 ton、全長151 m、機関はCOGLAS方式(低速・巡航時にはターボ・エレクトリック方式による電気推進で、高速時には別ガスタービンによる機械式推進を併用する方式)、LM2500IECガスタービン2基と電動モーター2基を含む。出力62,500 hp、最大速力30 kts、乗員230名。兵装は62口径5inch単装砲1門、対空機関砲20 mm CIWS 2基、対艦ミサイル90式SSM 4連装発射筒 2基、対空ミサイル発射装置Mk.41 VLS 32セル1基、SH-60K哨戒ヘリコプター1機、など。前級「あきづき」型を改良し、僚艦防空能力を減らし、対潜戦闘能力を向上した艦。

インドネシア哨戒艦「スラル」の概要は不明。

図31:(海上幕僚監部)護衛艦「しらぬい」とインドネシア哨戒艦「スラル」

図32:3月3日、日本・インドネシア海軍共同訓練が行われた「ビトウン港」の位置。

  • 3月6日 航空幕僚監部発表 航空自衛隊ノルウエイからF-35搭載用の対艦巡航ミサイル「JSM」を受領

3月6日航空幕僚監部・装備計画部長 藤永國博 空将補がノルウエーを訪問、オスロで[JSM=Joint Strike Missile]受領式に出席した。「JSM」は[F-35A]戦闘機のウエポンベイに搭載するスタンドオフ・ミサイル。受領したJSMを輸送するため空自空中給油・輸送機[KC-767]を初めてノルウエーに派遣し、ノルウエー空軍輸送部隊の協力を得て輸送を行なった。数量は未発表。

これは、2025年にノルウエー海軍フリゲート「ロアール・アムンセン」の日本訪問・共同訓練に続く両国軍の共同活動の2回目である。

[JSM]は、ノルウエー・コングスベルグ社(Kongsberg Defense & Aerospace)が、同社開発の対艦ミサイル[NSM=Naval Strike Missile]を基にして[F-35]向けに開発した対艦・対地巡航ミサイル、完成は2025年。開発に協力しているのは米国レイセオン(Raytheon)、オーストラリア国防省。

[JSM]は、重量416 kg、全長4 m、翼折畳時幅48 cm、全高52 cm、弾頭はBlast-fragmentation、炸薬120 kg、衝突後に破裂するTime delay, impact方式、エンジンは米国ウイリアムス・インターナショナル製(Williams International) [F-415]ターボファン。射程は、 555 km (hi-hi-lo飛翔時)、185 km (Lo-Lo-Lo飛翔時)。最大速度はマッハ0.9。誘導方式はGPS、INS、TERCOM(地形照合装置)、赤外線自動視認装置(IIR=Imaging Infrared)など。精度はCEP 1 m。

図33:(航空幕僚監部)3月6日、ノルウエー王国の首都オスロで行われた[JSM]引渡式の記念写真。

  • 3月6日 海上幕僚監部発表 3月13日に哨戒艦「ひのき」、「すぎ」命名式・進水式を挙行

3月13日 ジャパン・マリン・ユナイテッド(JMU)横浜磯子工場で海自向け哨戒艦「ひのき(903)」、「すぎ(904)」の命名式・進水式が行われた。昨年11月に進水した「さくら」、「たちばな」の姉妹艦で、3番艦と4番艦になる。

「哨戒艦」は、近年活発化する中国など周辺国の活動を抑えるべく、外洋を長期間航行し我国周辺の警戒監視を常時続けられる大型の哨戒任務を担当する新艦種である。基準排水量1,200 ton、全長96 m、幅 12 m、乗員数は30 名、機関はデイーゼルと推進電動装置各2基からなる複合推進[CODLAD]方式で出力18,500 hp、速力25 kts。兵装は艦首の30 mm機関砲1門、艦尾にMCH-101掃海・輸送ヘリコプター離発着甲板を備え、後日にシールド(Shield) AI社製の[V-BAT]垂直離着陸(VTOL)無人機[MQ-35A]を装備する。

さらに、後部甲板には、コンテナ格納型の[25式対艦・対地誘導弾]の搭載・発射を検討中、また機雷をコンテナに搭載し機雷敷設艦として使うことも検討されている。「哨戒艦」としながら多機能を追求する姿勢が見える。

図34:(海上幕僚監部/JMU)2026年3月13日JMU横浜磯子工場で進水式を行った哨戒艦「ひのき」(手前)と「すぎ」。

後日装備のシールドAI [V-BAT]は、垂直離着陸(VTOL)可能な長時間飛行の無人偵察機として米海軍向けに開発された。これまでに黒海、カリブ海、中東地域で使われ、ウクライナでは他の無人機が電子攻撃を受け墜落する中、十分な耐電磁妨害性を示し飛行を続け任務を遂行した実績を持つ。

狭い場所から垂直離陸し自動操縦ソフト(Shield AI’s Hivemind)でホバリングから水平飛行に移り飛行する。[Hivemind]は多機能ソフトで航法だけでなく目視偵察、編隊飛行まで多くの仕事をこなす機能がある。

米国海軍2021年に[V^BAT]原型機を発注し、2022年末に重さ22 kgの貨物を370 km離れた艦への輸送に成功、2023年に米陸軍が「将来戦術無人機システム」(FTUAS= Future Tactical Unmanned Aircraft System)として採用を決定している。

この他、ブラジル、インド、オランダ、ルーマニアの各国が採用を決めている。

胴体尾部にダクテッド・ファンを装備、全長3.8 m、翼幅2.9 m、重量 73 kg、最大速度 90 km/hr、滞空時間13時間以上で高度5,500 mを飛行できる。

図35:(Shield AI)水平飛行中のShield AI V-BAT無人偵察機。

図36:(海上幕僚監部)海自が2025年度防衛予算で艦載用[V-BAT]無人偵察機6機を40億円で取得、今後「さくら」級哨戒艦に搭載、運用する。

図37:(US Navy)米ドック型揚陸艦「カーター・ハル(USS Carter Hall(LSD-50))に着艦する[V-BAT]無人偵察機(2023年5月撮影)

  • 3月10日 海上幕僚監部、及び3月9日と3月28日3月28日 米第7艦隊発表 海自[P-1] 哨戒機、グアム島周辺回海空域で実施の多国間固定翼哨戒機共同訓練[Sea Dragon 2026]に参加

3月9日〜24日の間、海自は第31飛行隊第3航空隊[P-1]哨戒機1機をグアム島アンダーセン空軍基地(Andersen AFB, Guam)に派遣、米海軍主催の「固定翼多国間共同訓練「シードラゴン(Sea Dragon 2026 )」に参加した。

参加したのは、海自機の他、米海軍からは「第72機動団[CTF-72]」隷下の第4哨戒機中隊(Patrol Squadron VP-4及びVP-45)から[P-8A]哨戒機を計2機、インド海軍から[P-8I:] 1機、オーストラリア空軍から[P-8A]哨戒機2機、ニュージランド空軍から[P-8A]哨戒機1機である。

「固定翼多国間共同訓練「シードラゴン(Sea Dragon 2026 )」は、海中を潜航する潜水艦を目標にして対潜水艦作戦(ASW=Anti- submarine warfare)をする訓練である。各国の乗員は合計200時間を飛行し、さらに地上研修で戦術方法を議論し、それぞれの対潜戦能力を向上させた。各訓練を採点、合計点数の最も高いチームに「ドラゴン・ベルト」を授与する方式をとっている。2022、2023、2024年は日本海自チームが受賞、2025、2026年はオーストラリア空軍第11哨戒機中隊(RAAF No, 11 Squadron)が獲得した。

米海軍から参加の「VP-4」中隊は、ワシントン州ワイドベイ島(Whidbey Island, Washington)の第72機動団(CTF 72=Commander, Task Force 72)に所属するが、現在はローテーションで嘉手納基地に駐留している。「VP-45」も[CTF 72]隷下でフロリダ州ジャクソンビル(Jacksonville, Florida)が本拠地、現在は三沢基地に展開している。

図38:(US 7th Fleet Task Force CTF- 72)グアム島アンダーセン空軍基地(Andersen Air Force Base, Guam)に集結した

  • 3月16日 Naval Today.com報道 ロッキード・マーチン、[SPY-7(V)1]レーダーを海自に引き渡し

ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)社は[AN/SPY-7(V)1]レーダーを含むイージス・システム(ASEV=Aegis system equipped vessel) セットの2隻目を三菱商事経由で防衛省に納入した(3月16日発表)。[ASEV]初号機は2025年6月に引渡し済み。

[SPY-7]レーダーは、米ミサイル防衛局(Missile Defense Agency)が2015年にロッキード・マーチン社に7億9000万ドルで発注、アラスカに「長距離識別レーダー(LRDR =Long Range Discrimination Radar)」として設置したレーダーを基本にしている。

[LRDR]は、窒化ガリウム(GaN=Gallium Nitride)製素子で製造したAESA (Active Electronically Scanned Array)レーダーで、整備作業中でも機能を維持できる。GaN素子は我国の富士通が開発・供給している。

アラスカでの[LRDE]の建設工事はアラスカ中部Clear Space Force Stationで2019年に開始、2023年に完成・運用能力試験に合格、本格運用に入った。各AESAパネルは高さ18 m、幅18 m、220度範囲をカバーする。最近しばしば耳にする新しいミサイル防衛システム[Golden Dome/ゴールデン・ドーム]でも[LRDR]は重要な役割をする予定。

[AN/SPY-7(V)1]は、2018年7月に日本防衛省が要求した陸上設置型「イージス弾道ミサイル防衛システム(Aegis Ballistic Missile Defense System)」で、秋田県・山口県に配備予定だったが、後日中止された。同システムは、ハワイに設置が決まり、さらにカナダのリバー(River)級駆逐艦、スペインのF-110フリゲート、そして我が海自は「こんごう」級イージス艦2隻の更新艦[CG-191]と[CG-192]に搭載することを決定した。

更新艦の要目は;― 基準排水量12,000 ton、機関はCOGLAS方式で主機はRR MT30ガスタービン2基・電動機2基、出力10,000 hp、速力30 kts。兵装は、5 inch単装砲1門、CIWS対空機関砲2基、Mk.46 30 mm対空機関砲2基、Mk 41 VLS 128セル、25式対地・対艦ミサイル4連装発射筒2基、高出力レーザーシステム、など極めて強力。さらに最新の情報処理システム(イージス武器システム、対潜システム、トマホーク武器管制システム)、そしてAN/SPY-7(V)1多機能レーダーを搭載する。

[CG-191]は三菱重工長崎造船所で2025年7月に起工、2026年進水予定。

[CG-192]はジャパンマリン・ユナイテッドで2026年2月に起工、2027年進水予定。

取得経費は1隻あたり約3,920億円。

図39:(Lockheed Martin)[AN/SPY-7(V)1]イージス・レーダー・システムを搭載した海自新型ミサイル巡洋艦[CG-191]と[CG-192]の完成予想図。

図40:(防衛省)「イージス・システム搭載艦の能力」を示す。

  • 3月23日 海上幕僚監部発表 3月17日〜同21日の間、海自護衛艦「あきづき」他はオーストラリア海軍と東シナ海で「トライデント26」共同訓練を実施

3月17日〜21日の間海自護衛艦「あきづき」と補給艦「はまな」は、東シナ海でオーストラリア海軍フリゲート「トウーンバ」と対潜戦、対水上戦、戦術運動、洋上補給などの共同訓練「トライデント 26 (Trident 2026)」を実施した。

「あきづき(DD-115)」は、2012年就役の同級4隻の1番艦、満載排水量6,800 ton、全長150.5 m、機関はCOGAS方式で主機はRR 製スペイSM1Cガス・タービン(川重ライセンス生産)16,000 hpを4基、速力30 kts、兵装は、62口径単装砲1門、対空機関砲CIWS 2基、Mk41 mod.29 VLS 32セル1基、90式対艦ミサイル4連装発射筒2基、など。レーダーは窒化ガリウム(GaN)製半導体素子をT/Rユニットに使った[FCS-3A]を搭載している。アンテナはX波帯(小)とC波帯(大)用を一対として使う。ヘリ空母「いせ」級に採用されているの同じ形式。

オーストラリア海軍フリゲート「トウーンバ(Toowoomba FFH-156)」は、この直前3月9日に同艦から飛び立ったMH-60R Sea Hawk ヘリコプタターが、中国軍ヘリコプターから至近距離に接近される危険行為を受け、中国側に抗議をしたばかり。同艦は東シナ海で北朝鮮船籍船舶の瀬取りを監視するためしばしば派遣されている。「トウーンバ」は、2005年就役で、満載排水量3,600 ton、全長118m、機関はCODOG方式で、主機LM2500ガスタービン1基とMTUデイーゼル・エンジン2基、最大速力27 kts、兵装は、5 inch単装砲1門、対空ミサイル用Mk.41 VLS、ハープーン対艦ミサイル発射筒、などを備える。

図41;(海上幕僚監部)手前が海自「あきづき」と豪海軍「トウーンバ」

  • 3月29日 朝日新聞報道及び3月30日航空幕僚監部発表 三沢基地空域で空自、米空軍、オランダ空軍のE-35A戦闘機が共同訓練

3月26日オランダ航空宇宙軍 司令官アンドレ・ストウール空軍中将が防衛省市ヶ谷を訪問、航空幕僚長 森田雄博空将と会談した。この訪問は、同時期に三沢基地で実施中の日本・アメリカ・オランダ3カ国空軍のF-35A戦闘機による共同訓練「風車ガーデアン」の状況を把握するために行われた。

翌日空自三沢基地に移動、アメリカ第5空軍司令官ジョエル・キャリー中将と共に記者会見に臨み、「ヨーロッパ・大西洋地域とインド・太平洋地域の安全保障は不可分の関係にあり、日米同盟を基軸とした空軍同士の協力は一層重要になっている」と述べた。

三沢基地には航空自衛隊 第301飛行隊、第302飛行隊にF-35Aの配備が進んでいて数年後は約40機体制になる。米空軍は第5空軍隷下第35戦闘航空団のF-16戦闘機をF-35Aへ更新を開始、まもなく最大48機体制になる。両軍合計で80機プラス規模のF-35Aが一つの基地に集中するのは世界的に見ても例がなく「東アジア最大のF-35運用基地」になる。これは中国・ロシア・北朝鮮の軍事的圧力の高まる中で、大きな抑止力となることに間違いはない。

図42:(航空幕僚監部)三沢基地空自ハンガーでF-35Aの前で記者会見に臨む右から米・日・オランダ空軍の幹部。

図43:(航空幕僚監部)三沢基地空自ハンガー内で右から米・日・オランダ各国空軍のF-35Aの前で、勢揃いした関係兵士の記念写真。

図44:(航空幕僚監部)空自のF-35A戦闘機。F-35Aは従来型機と比べ、「極めて高度なステルス性能」、「強力なセンサー情報総合能力」、「情報共有を中心としたネットワーク戦闘能力」と言う3つの決定的な優位性を持つ。この導入により東アジアにおける日米空軍の航空作戦能力は飛躍的に向上する。

  • 3月30日U.S. Air Force News 報道 F-35A Lightning II戦闘機が三沢基地に到着

3月28日、三沢基地の第13戦闘機中隊(13th Fighter Squadron)に第5世代戦闘機F-35Aが到着した。これまでは1994年以降F-16が駐留してきた。これで日本の空の守りは極めて強固なものになる。

米空軍歳35戦闘機連隊長ポール・デビットソン中佐(U.S. Air Force Col. Paul Davidson, 35th Fighter Wing Commander)は「今回の配備で我々は日本側と同じ機種となり、運用が素早く一層容易になる」と話している。(第35戦闘機連隊は“Wild Weasels”(いたち)の名称で知られる)

三沢空軍基地は、地域の安定を維持するための要に位置している。ここに駐留する戦闘機部隊がF-35Aに替わることで、同盟国と同一機種となり一体運用性が向上し、インド・太平洋地域での抑止力を高める。

米空軍は、2011年以来世界中で12ヶ所以上にF-35Aを配備してきた。太平洋空軍では、最初2020年にアラスカのイールソン空軍基地(Eielson AFB, Alaska)、海外基地としては初めて2021年に英国のラケンヒース空軍基地に配備した、そして2024年に日本三沢基地に48機を配備すると明らかにした。

第13戦闘機中隊にF-35A配備が始まったので、従来のF-16戦闘機、31機は韓国のKunsan 空軍基地に移駐を始めている。

沖縄の嘉手納基地では2022年からこれまでのF-15C/Dから新型のF-15EX戦闘機36機に更新が進んでいるが、こちらは2025年のボーイング労働組合のストの影響で、到着が遅れている。

図45:(U.S. Air Force/Senior Airman Gavin Hameed) 2026年3月28日、三沢基地に到着したF-35A戦闘機2機、続いて31日に2機が到着。これで第35戦闘機連隊は戦闘能力が著しく強化され、インド・太平洋区域の安定に寄与する。

図46:(U.S. Air Force/ Senior Airman Patrick Boyle) 2026年3月28日、三沢基地・第13戦闘機中隊ハンガーに到着したF-35A戦闘機。後ろの壁には同中隊のロゴ(いたち)が描かれている。

  • 3月31日 陸上幕僚監部発表 「12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)」及び「島嶼防衛用高速滑空弾」の開発完了と名称決定

陸上自衛隊は、我国への侵攻部隊を早期・遠方で阻止・排除するためにスタンド・オフ防衛能力の強化に取り組んでいる。

3月31日までに「12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)」および「島嶼防衛用高速滑空弾」の開発が完了したため、それぞれ「25式地対艦誘導弾」および「25式高速滑空弾」と名称を決定した。そして「25式地対艦誘導弾」(射程約1000 km)を熊本県建軍駐屯地・第2特科団・第5地対艦ミサイル連隊に、「25式高速滑空弾」(射程約500 km)を富士駐屯地・富士学校・特科教導隊に配備を開始した。

「25式高速滑空弾」は、ロケットで発射し、滑空体を分離・弾道飛行から滑空飛行に移り、終末航程で急降下・目標に突入するミサイル。弾体は、レーダー反射面積(RCS)を小さく、GPSなど衛星測位システムの誘導で軌道を複雑化し迎撃困難にする。Block 2では、超音速飛翔で生じる衝撃波を利用・揚力を得る

図47:(陸上幕僚監部)「25式地対艦誘導弾」発射機。ランチャーは弾体の大型化で4発搭載に変更された。

図48:(防衛省)「25式地対艦誘導弾」はステルス形状、長距離飛行のため展張する主翼を持つ。攻撃目標の敵艦の位置情報を、衛星データ・リンクでアップデートする。目標に接近すると複雑な飛行経路で飛び、敵攻撃を回避しながら飛行し着弾する。

図49:(陸上幕僚監部)「25式高速滑空弾 (Block 1)」は、事実上の弾道ミサイル・超音速滑空体(HGV)で、2026年3月から射程約500 kmのBlock 1の配備を開始し、2030年からは射程を大幅に伸ばしたBlock 2Bを配備予定と言われる。

図50:(防衛装備庁)2025年6~8月カリフォルニア州で第2次発射試験を行った「25式超音速滑空弾」。本試験で飛翔等が予定通りと確認された。

―以上―