令和3年4月、我国周辺における中露両軍の活動と我国/同盟諸国の対応


2021-05-02(令和3年) 松尾芳郎

 

令和3年4月、我国周辺における中露両軍、および北朝鮮の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し、それぞれの公的部門から多くの発表があった。以下にその項目と内容を紹介する。今月の注目すべきニュースは次の通り;―

①     4月17日大臣記者会見 電子戦部隊を全国に展開

②     4月26日発表  英海軍空母打撃群が近く日本に寄港

③     4月03日、27日発表 中国海軍空母艦隊が宮古海峡を往復

④     4月05日発表 日仏米豪印合同訓練(ラ・べルーズ)を実施

⑤     4月02日発表 米空軍F-22戦闘機と空自F-35A戦闘機、日本海で共同訓練を実施

(The military threats from Russo-Chines Forces around Japanese Island and Taiwanese were reported active. Following five were noteworthy items ;- 1) Japan’s DOD announces to deploys the new electronics war system (NEWS) in six bases around Japan.. 2) UK’s HMS Queen Elizabeth Strike Group will visit Japan. 3) Chinese Aircraft Carrier strike group went and back through Miyako strait. and etc. )

 

各項目の内容を以下に紹介する。

 

防衛省発表

 

  • 4月17日岸防衛相記者会見、電子戦部隊を全国に展開

岸防衛相は与那国島駐留の陸自部隊を視察した後の記者会見で次のように語った;―

現中期防で陸上自衛隊に電子戦部隊を新編することが決まっている。これに基づき陸自は、現行電子戦システムの後継として「ネットワーク電子戦システム(NEWS=new electronics war system)」の導入を開始。去る3月には熊本県建軍駐屯地に最新型NEWS装備の電子戦部隊を新設した。

今年度(2021)は朝霞(東京都)、留萌(北海道留萌市)、相浦(長崎県佐世保市)、奄美(鹿児島県奄美市)、那覇(沖縄県那覇市)、知念(沖縄県南城市)、の各駐屯地・分屯地に新編する。朝霞駐屯地には全国の電子戦部隊を管理する「電子作戦隊」を併設する。

NEWS電子戦部隊で、平素からロシア軍、中国軍の発する電波を受信・分析し、有事においては敵の電波利用を無力化し、友軍の戦闘を有利に展開することを目指す。

引き続き2023年度までに与那国島(沖縄県石垣市)および対馬(長崎県対馬市)に新設を予定している。

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図1:(Googleに防衛省発表を追加)配備済みの電子戦部隊は北海道東千歳駐屯地の「第1電子隊」だけだったが、今年3月18日に熊本県建軍駐屯地に最新のNEWS装備「第301電子戦中隊」隊員80名、が新編された。同装備の部隊が今年度中に留萌、朝霞にも配備される。留萌、朝霞、建軍の三箇所は、長距離用短波(HF)送受信装置を備え、中露両国内の通信状況と両軍の艦艇を含む通信データを常時モニター、有事の際は通信妨害を行う。その他の計画中の基地は、短距離用の電子戦部隊で、来襲するミサイル等の誘導装置を破壊する能力を持つ。

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図2:(防衛装備庁)防衛装備庁が公表した電子戦部隊の車両。詳しい説明はない。

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図3:(陸自西部方面総監部)3月29日、熊本県建軍駐屯地「第301電子戦中隊」発足式で公開された車両。前図の「電子戦装置II型」のように見える。

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図4:(陸自西部方面総監部)3月29日、「第301電子戦中隊」発足式で公開された電子戦車両。左は「電子戦装置IV型」のように見える。

 

  • 英空母打撃群の日本寄港について

4月26日、英国政府は、英国海軍空母「クイーン・エリザベス(Queen Elizabeth)」を中心とする空母打撃群の日本への寄港を発表した。これは日英の安全保障・防衛協力の関係を一層推進するもので、わが国として歓迎する。

来日は日英親善を象徴するのみならず、「自由で開かれたインド・太平洋」の維持・強化につながり、この機会に共同訓練を実施する。今回の空母艦隊にはオランダ海軍のフリゲートも加わる予定。

米軍の機関紙の一つ「スターズ・アンド・ストライプス(Stars and Stripes)」によると、アリゾナ州ユマ基地から米海兵隊第211戦闘攻撃中隊所属のF-35B戦闘機10機が飛び立ち5,000 milesを飛行して英空母「クイーン・エリザベス」に到着した。この部隊は同艦に配属済みの英空軍第617中隊のF-35Bと共同で「自由で開かれたインド・太平洋」作戦に参加する。すなわち、来訪する「クイーン・エリザベス」には、英国空軍のF-35Bと米海兵隊のF-35Bが搭載され、一緒に訓練に参加するということだ。また同紙は、日本は空軍型のF-35Aを105機とSTOVL型のF-35Bを42機導入を進めており、現在ヘリ空母「いずも」と「かが」でF-35Bを運用可能なように改修中、と報じている。

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図5:(UK Royal Navy)空母「クイーン・エリザベス」は2017年12月就役の最新艦でほぼ同時期に完成した同型2番艦「プリンス・オブ・ウエルス(Prince of Wales)」と共に英海軍の中核をなす。満載排水量65,000 ton、全長280 m、最大幅73 m、速力25 kts以上、搭載機はF-35B 短距離離陸・垂直着陸型戦闘機( STOVL)36機を含む40機。飛行甲板はスキー・ジャンプ方式、航空機用外舷エレベータ2基を備える。対空兵装は20 mm自動機関砲ファランクスCIWSを3基と30 mm DS30M Mk2機関砲4基を装備している。

 統合幕僚監部発表

 

  • 4月04日 公表 中国海軍艦艇の動向について

4月3日(土)午前8時、長崎県男女群島の南西470 km の海域で、南東に進む中国海軍の空母「遼寧」、レンハイ級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦2隻、ジャンカイII級フリゲート1隻、およびフユ級高速戦闘支援艦1隻の計6隻の艦隊を発見した。その後これらの艦隊は沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過、太平洋に向けて航行した。発見追尾したのは、海自佐世保基地第8護衛隊所属護衛艦「すずつき」、鹿屋基地第1航空群所属の「P-1」哨戒機、および那覇基地第5航空群所属の「P-3C」哨戒機である。

写真は次の「4月27日公表 中国海軍艦艇の動向について」を参照する。

  • 4月27日 公表 中国海軍艦艇の動向について

4月26日(月)午後7時、沖縄県宮古島の南160 kmの海域で、北東に進む中国海軍の空母を含む6隻の艦隊を発見した。この艦隊は4月3日に東シナ海から宮古海峡を通り、太平洋に進出したものと同一である。発見・追尾したのは海自佐世保基地第2護衛隊所属護衛艦「あさひ」および那覇基地第5航空群所属の「P-3C」哨戒機である。また17日午前、空母「遼寧」から早期警戒ヘリコプター「Z-18」が発進、尖閣諸島大正島領空の北東50 kmの空域に接近したので空自那覇基地南西方面隊所属のF-15戦闘機が緊急発進し、領空侵犯を防いだ。

空母遼寧

図6:(統合幕僚監部)遼寧(Lianning)」はソ連が崩壊前に建造を始めたアドミラル・クズネツオフ級空母「バリヤーグ」の未完成艦、中国がこれをウクライナから購入(1998年)、10年以上掛けて完成(2012年)した空母。満載排水量約60,000 ton、飛行甲板長305 m、速力30 kt、J-15艦上戦闘機24機と各種ヘリコプター14機を搭載する。発艦はスキージャンプ方式でカタパルトはない。

レンハイ級101

 

図7:(統合幕僚監部)3月18日、26日にも東シナ海/日本海を往復して、その姿を誇示した055型ミサイル駆逐艦「南昌 (101)」。ミサイル垂直発射装置VLSは前部に64セル、後部に48セルを配置する。艦首には70口径130 mm単装速射砲1基を搭載する。

ルーヤンIII 120

 

図8:(統合幕僚監部)先月にも紹介したが「ルーヤン/Luyang/旅洋」級駆逐艦には3種ある。写真は旅洋III型(052D型)11番艦「成都/Chengdu (120)」。2019年北海艦隊で就役。満載排水量7,500 ton、長さ156 m、ミサイル垂直発射装置VLS 64セル、30 mm対空機関砲CIWS 1基、70口径130 mm 単装砲1門などを備える。僚艦防空能力を持つイージス艦。「ルーヤン級」の3種類は;―・旅洋I型:広州級駆逐艦 (052B型)、2隻/試作艦。旅洋II型:蘭州級駆逐艦 (052C型)  6隻。旅洋III型:昆明級駆逐艦 052D型)25隻。ルーヤンIII131

図9:(統合幕僚監部)写真は「旅洋III型」10番艦の「太原/Taiyuan(131)」。

ジャンカイII 577

図10:(統合幕僚監部)「ジャンカイII/江凱II」型は「054A」フリゲート、2008年に1番艦「舟山・529」が就役。写真は「大慶 /Daqing (577)」、北海艦隊所属で2015年就役。満載排水量4,500 ton、全長137 m、速力27 kt、HQ-16対空ミサイルを32セルVLSに収めている。対艦ミサイルは艦中央にYJ-83型を4連装発射機2基に搭載している。[045A]型フリゲートは外洋艦隊用で防空能力を強化。同型艦は30隻が就役済み。

フユ級支援艦

図11:(統合幕僚監部)[901]型補給艦で2隻を建造、艦番号[965]「呼倫湖」は1番艦。2017年9月就役。満載排水量48,000 ton、従来の補給艦[903/903A]福地型の2倍近いサイズ。空母打撃艦隊の専用補給艦として建造された。米海軍の空母随伴の戦闘支援艦「サプライ」級を参考にした。中央に門型補給ポスト3基が見える。艦尾には大型ヘリ発着用の甲板があり、ヘリZ-8を2機搭載する。推進はガスタービン4基、最大25 ktで空母に随伴する。

Z18ヘリ航跡

図12(統合幕僚監部)17日午前、空母「遼寧」から早期警戒ヘリコプター「Z-18」が発進、尖閣諸島大正島領空の北東50 kmに接近した。

Z-18ヘリ

図13:(統合幕僚監部)空母「遼寧」から発進した早期警戒ヘリコプター「Z-18」。フランス製「SA-321」を入手、国産化した「Z-8」を改良して大型化した機体。エンジン3基、最新のアビオニクスを搭載する、

 

陸上幕僚監部発表

 

  • 4月5日 公表 令和3年度富士総合火力演習について

令和3年度富士総合火力演習はコロナウイルス感染症拡大を防止するため一般公開は行わない。演習は陸自内で5月22日(土)で実施するが、報道公開実施のか可否は現在検討中。決まり次第公表する。

 

  • 4月15日 公表 令和3年度陸上自衛隊主要訓練・演習の年度広報について

令和3年度に予定している陸自の主要訓練・演習は次の通り。東シナ海における中国軍の脅威増大に対処するため、同盟諸国軍との共同訓練が多く予定されている。「項目4・年次射撃」表に示す「地対艦ミサイル(12式改)」および「地対空ミサイル(03式改)」の米国内演習場での試射には注目したい。

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  • 4月23日 公表 令和3年度国内における仏陸軍および米海兵隊との実動訓練(ARC21)の概要について

訓練の目的は、仏陸軍と米海兵隊との実動訓練を通じて戦技の向上を図り、連携の強化を目指す。実動訓練の場所は、長崎県佐世保市相浦駐屯地、鹿児島県湧水町と宮崎県えびの市にまたがる陸自霧島演習場と九州西方海空域/東シナ海海空域で行われる。5月11日〜17日の間、図上演習、MV-22オスプレイを含む「ヘリボーン訓練」、を実施する。参加人員は3軍合計で300人程度と見込まれる。

陸自からは水陸機動団、西部方面航空隊、フランス陸軍からは第6軽機甲旅団、米海兵隊からは第3海兵師団、第1海兵航空団が参加する。第1海兵航空団(1st MAW)は、沖縄県キャンプ・フォスターに司令部があり、KC130J輸送機、F-35B STOVL戦闘機、テイルト・ローター輸送機MV-22Bを普天間基地、岩国基地で運用している。

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図14:(南日本新聞)陸自「霧島演習場」の位置。鹿児島県と宮崎県にまたがっている。

 

海上幕僚監部発表

 

  • 4月5日 公表 日仏米豪印共同訓練(ラ・ペルーズ21)について

海自は「自由で開かれたインド太平洋」実現に向け関係各國との連携を強めるため5ヶ国共同訓練(ラ・ペルーズ21)をベンガル湾海空域で4月5〜7日の間実施する。訓練項目は対空戦、対水上戦、洋上補給などについて行う。参加するのは:―

海自;護衛艦「あけぼの」、仏海軍;強襲揚陸艦「トネル」、フリゲート「シュクーフ」、米海軍;ドック型揚陸艦「サマセット(USS Somerset/LPD-25)」、豪海軍;フリゲート「アンザック」、補給艦「シリウス」、インド海軍;「フリゲート「サップラ」、コルベット「キルタン」、哨戒機「P-8I」。

「ラ・ペルーズ」訓練は、フランス海軍が行う士官候補生の艦隊訓練で、今回のベンガル湾での訓練に合わせて、各國海軍が参加して実施された。

米第7艦隊ニュースでも「多国海軍による共同演習La Perouse」と題して同様内容を報じている。

ラ・ペルーズ

図15:(U.S. 7th Fleet News)多国籍海軍の共同演習「ラ・ペルーズ21」に参加した艦艇の一部、海自護衛艦「あけぼの」は写っていない。手前から豪海軍補給艦「シリウス」、インド海軍フリゲート「サップラ」、仏海軍強襲揚陸艦「トネル」、奥に小さく見えるのは豪海軍フリゲート「アンザック」。 豪海軍補給艦「シリウス (HMAS Sirius / 266」は、2006年就役、満載排水量47,000 ton、艦尾にヘリ発着甲板を備える。 仏海軍強襲揚陸艦「トネル (Tonnerre, L 9014)」は、2007年就役、満載排水量21,000 ton、最大速度19 kts、中央から後方に飛行甲板があり、ヘリ16機を搭載する。上陸用舟艇2隻を搭載、車両60両を輸送できる。

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図16:(U.S. Navy) 米海軍ドック型揚陸艦「サマセット (USS Somerset / LPD-25)は、2014年就役の新型艦。サンアントニオ級揚陸艦13隻の中の9番艦で、満載排水量25,000 ton、全長208 m、水陸両用装甲車AAV-7を14両と兵員700名を搭載・揚陸する。またテイルト・ローター輸送機MV-22 オスプレイを2機搭載する。対空兵装はRIM 116 RAMロケット発射装置2基(各21発)などを備える。

 

  • 4月6日 公表 日米共同訓練について

4月5日(月)奄美大島東の太平洋側の空域で、海自哨戒機「P-3C」1機と米海軍哨戒機「P-8A」1機が共同で対潜水艦訓練と情報交換訓練を実施した。

 

  • 4月9日 公表 日豪加共同訓練について

4月8日(木)インドネシア・スマトラ島西のインド洋海域で、「自由で開かれたインド太平洋」実現のため、海自護衛艦「あけぼの」、豪海軍フリゲート「アンザック」、カナダ海軍フリゲート「カルガリー」が共同訓練を実施した。

4-9 日豪加訓練

図17:(海上幕僚監部)4月8日スマトラ島西方海域で行われた日豪加3ヶ国海軍の共同演習。左から海自「あけぼの」、カナダ「カルガリー」、豪「アンザック」、豪「シリウス」。

 

  • 4月16日 公表 日米共同訓練について

4月13日〜15日の間東シナ海空域で、海自電子情報収集機「EP-3」1機と米海軍電子戦哨戒機「EP-3E」1機が戦技および相互運用性の向上のため共同訓練を行なった。

4-16電子戦機訓練

図18:(海上幕僚監部)左が海自「EP-3」/岩国基地第81航空隊(VQ-81)所属の[9174]、右が米海軍「EP-3E /ウイドビー島(Whidbey Island)基地第1艦隊航空偵察飛行隊(VQ-1)所属の[156528]。ウイドビー島は米国西海岸ワシントン州にあり、VQ-1は岩国基地にしばしば飛来している。日米両機共に「P-3C」の改造型だが、搭載機器・アンテナが異なる。

 

  • 4月21日 公表 日米共同訓練について

4月20日(火)相模湾周辺空域で、海自ヘリ「SH-60K」2機と米海軍ヘリ「MH-60R」1機が戦技と相互運用性の向上のため飛行訓練を行なった。

4-21 ヘリ訓練

図19:(海上幕僚監部)手前が海自「SH-60K」、奥が米海軍ヘリ「MH-60R」

 

航空幕僚監部発表

 

  • 4月2日 公表 米軍との共同訓練の実施について

4月1日(木)三沢基地西方の日本海空域で、三沢基地空自第3航空団第302飛行隊所属の「F-35A」戦闘機4機と米空軍「F-22」戦闘機4機が戦術訓練を行なった。これには米空軍「F-16」戦闘機1機と「KC-135」空中給油機2機が参加し訓練を支援した。

米空軍「Air Force News」は本訓練について次のように報じている;―

米空軍のハワイ・真珠湾ヒッカム基地第154航空団配下の第199戦闘航空隊所属「F-22」ラプター戦闘機は、4月1日に第909空中給油航空隊所属の「KC-135」ストラト・タンカーの支援を受けて日本に飛行、航空自衛隊第302戦闘航空隊所属の「F-35A」ライトニングII戦闘機と、初めての第5世代戦闘機同士で共同訓練を行なった。「F-22」戦闘機は海兵隊岩国航空基地(MCAS)に進出し、「自由で開かれたインド太平洋」確保支援のため、3月12日から4月5日まで「有事即応演習(Dynamic Force Employment Operation)」を実施した。

4-2空自F-35とF-22

図20:(航空幕僚監部)4月1日、日本海上空で空自「F-35A」4機(手前)と米空軍「F-22」4機(奥)が編隊飛行する写真。「F-22」は双発なのでかなり大きい。

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図21:(US Ari Force)「KC-135」ストラト・タンカー空中給油機が撮影した米空軍「F-22」ラプター戦闘機4機(右側)と空自「F-35A」戦闘機4機(左側)の編隊飛行。

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図22:(US Air Force)4月1日富士山上空を飛ぶ第199戦闘航空隊所属「F-22」ラプター戦闘機4機編隊。第909空中給油飛行隊「KC-135」ストラト・タンカーから撮影。 「F-22」ラプター戦闘機は、ロッキード・マーチン製で2005年から米空軍で配備が始まった第5世代戦闘機。ステルス性で、AIM-120 AMRAAM中距離対空ミサイル6発とAIM-9サイドワインダー短距離対空ミサイル2発を装備する。速度マッハ2.4で飛行、エンジンはP&W 製F-119-PW-100推力35,000 lbsを2基、推力偏向ノズルを備える。180機ほどが配備されている。

 

  • 4月30日 公表 米軍との共同訓練の実施について

4月27日(火)日本海および東シナ海空域で空自戦闘機15機と米空軍「B-52」爆撃機2機は編隊航法訓練および邀撃戦闘訓練を行なった。空自から参加したのは千歳基地第2航空団所属の「F-15」戦闘機3機、新田原基地第5航空団所属の「F-15」戦闘機4機、小松基地第6航空団所属の「F-15」戦闘機2機、百里基地第7航空団所属の「F-2」戦闘機2機、那覇基地第9航空団所属の「F-15」戦闘機4機である。

米空軍ニュースによると参加した「B-52」は、ルイジアナ州バークスデール空軍基地(Barksdale Air Force Base, Louisiana)にある第2爆撃航空団 (2nd Bomb Wing) 所属の「B-52H」爆撃機で、「自由で開かれたインド太平洋」の維持支援のため今年4月16日にグアム島アンダーセン空軍基地に進出した4機のうちの2機と見られる。

「B-52」は1955年配備開始以来改良を重ね、現在は最新型「B-52H」58機が2個爆撃航空団に配備されている(プラス予備機18機を保有)。爆撃航空団は空軍に新設された「全世界攻撃司令部/ Ari Force Global Strike Command」の配下にある。

「B-52H」は、核爆弾を含み各種爆弾・ミサイル合計31 ton以上を搭載、給油なしで14,000 kmを飛行できる。

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図23:(航空幕僚監部)4月27日、日本海および東シナ海空域で行われた空自戦闘機とグアム島から飛来した米空軍「B-52H」爆撃機の共同訓練。

 

終わりに

この4月の報告には紹介しなかったが、米第7艦隊は我国との共同演習以外に、次のような「自由で開かれたインド太平洋」維持のための活動を展開している。

⑴    4月7日アーレイバーク級ミサイル駆逐艦「ジョン・マケイン/USS John McCain (DDG 56)」が台湾海峡を通過した。

⑵    4月9日「セオドア・ルーズベルト/Theodore Roosevelt」空母打撃群と「マキン・アイランド/Makin Island」強襲揚陸艦が組織する「水陸即応団/ARG=Amphibious Ready Groupは、南シナ海で合同訓練を行なった。

⑶    4月9日「第15海兵隊遠征旅団/14th Marine Expeditionary Unit」と「マキン・アイランド強襲揚陸艦グループ /Makin Island ARG」はインド太平洋海域で共同作戦能力強化のための訓練を行なった。

バイデン政権が発足して100日が過ぎたが、中国の膨張政策を阻止するため米国を主軸とする西側諸国の対応が漸く始まってきたように感じる。

 

―以上―