令和4年7月、我国周辺における中露両軍・北朝鮮の活動と我国/同盟諸国の対応


2022-08-04(令和4年)  松尾芳郎

令和4年7月、我国周辺における中露両軍の活動と、我国および同盟諸国の動きに関し、公的部門等から多くの発表があった。以下にその内容を紹介する。注目すべきニュースは次の通り;

  1. ロシア艦隊、中国艦隊、相次いで日本周辺海域で軍事行動
  2. 空自・米空軍、合わせて数十機が東シナ海を中心に共同演習(6月下旬から10日間)
  3. 「ロナルド・レーガン」空母打撃群が南シナ海で演習
  4. 中国無人攻撃機が宮古海峡を通過、台湾東岸沖からバシー海峡へ
  5. 中国軍侵入に備え台湾が全国規模で大演習を実施

(The military maneuvers by Russo-Chinese Forces around Japan’s Islands are active as last June. Japan and Allies took counter measure against the threat. Following five were noteworthy in July.) 

  1. Russian and Chinese naval vessels cruise around Japanese island coordinated together.
  2. Japan’s and US Air Forces, together with a large number of aircraft, conducted joint military drill in East China Sea for ten days.
  3. USS Ronald Reagan Carrier Strike Group operates in South China Sea.
  4. A Chinese unmanned air vehicle TB001 flew through the Miyako Strait.
  5. Taiwan conducted nationwide military exercise to prevent the possible Chinese attack.  

以下にその詳細を紹介する。

  1. ロシア艦隊、中国艦隊、相次いで日本周辺海域で軍事行動

6月に続き7月のロシア艦隊、中国艦隊の動きは活発で統合幕僚監部は連日のようにその動きを発表してきた。すなわち;―

  • ロシア艦隊

ロシア艦艇の動きに関する発表は、7月2日、5日、6日(2件)、9日、11日、21日、の合計7回になる。まとめると次のようになる。

7月6日発表によると、7月5日深夜、長崎県男女群島の西の海域を北東に進み日本海に向かうロシア海軍「ウダロイ1級駆逐艦(543)」、「ステレグシチーII級フリゲート(337)」、「ドウブナ級補給艦」の3隻を発見、追尾した。このうち「駆逐艦(543)」と「フリゲート(337)」は6月15日襟裳岬南東に出現し6月16日犬吠埼南東を通過、同日夕刻から深夜に伊豆諸島・須美寿島-鳥島の間を抜け、その後「補給艦」と合流、7月2日に与那国島と西表島の間を通ってきたものである。これらと、6月15日には「ウダロイ1級駆逐艦(548)」、「ステレグシチー級フリゲート(333、335、339)」、「マルシャン・ネデリン級ミサイル観測支援艦」が艦隊を組み、伊豆諸島を横断、6月19日に分かれで宮古海峡を通過東シナ海に向かい、6月21日には対馬海峡を通過、日本海に入った。

もう一つの動きは、7月6日早朝沖ノ鳥島南方海域で西に進む「ビシニア級情報収集艦(535)」が7月9日に宮古海峡を通過、北上、7月11日に対馬海峡を通り日本海に入った。

図1:(統合幕僚監部)7月のロシア艦艇の我が国周辺での動き。統幕発表の数枚の図を1枚にまとめたもの。

図2:(統合幕僚監部)大型対潜艦・ウダロイ級駆逐艦、満載排水量7,500 ton、全長163 m、速度35 kts、強力なソナー、長射程の対潜ミサイル、ヘリコプター2機、SA-N-9型個艦防空ミサイルを装備。1980-1991年に作られ、8隻が就役中で太平洋艦隊には4隻を配備。

図3:(統合幕僚監部)写真(337)は2021年就役の新型艦で「ステレグシチー級」を改良した20381型。対空ガトリング・ガンを長射程の「3K96リドウート」に変更、巡航ミサイル運用能力が追加された。

図4:(統合幕僚監部

図5:(統合幕僚監部)

  • 中国艦隊

中国海軍艦艇の動きは7月4日、5日、11日、21日、28日(2回)、29日の7回で、前月6月以上に活発で、多くの新造艦が航行した。

注目すべきは、7月4日に尖閣諸島魚釣島南側の接続水域にジャンウエイII級フリゲートが侵入した件、この海域に海軍艦艇を出すのは占領への意欲の高まりを示唆している。もう一つは対馬海峡、大隅海峡、屋久島近辺にシュパン級測量艦が現れ測量した件、水上艦や潜水艦の潜没航行のための資料を集めているようだ。

これらをまとめると次のようになる。

図6:(統合幕僚監部)6月〜7月における中国海軍艦艇の動きをまとめて示す図。

図7:(統合幕僚監部)「ジャンウエイ(江衛)II級フリゲート(566)」。053H3型で前級の「江衛I級/053H2Gの改良版。10隻が建造・配備中。満載排水量2,400 ton、全長112 m、最大速力27 kts。防空ミサイルはHQ-7短SAM8連装発射機1基(原型はフランス製)、対艦ミサイルは長射程のYJ-83 SSM 4連装発射機2基を備えている。写真「566」は「懐化/Huaihua」2002年の就役。

図8:(統合幕僚監部)「ドンデイアオ/東調/ Dongdia級情報収集艦」(815型情報収集艦)は、満載排水量6,600 ton、速力20 kts、9隻が就役中。艦尾にヘリコプター甲板、船体中央の大型レーダーは1,000 km範囲の弾道ミサイルや衛星を追跡できる。写真の艦番号「795」と「794」が日本近海に現れ、日米両軍が共同演習をする海域で各種電波情報の収集と発射ミサイルの追跡をしている

図9:(統合幕僚監部)「ジャンダオ/江島/Jiangdao級小型フリゲート」、別名「056型コルベット」で近海防御用の艦。防空ミサイルは、最新のHHQ-10 近接防空ミサイル8連装発射機1基。主砲は76 mm単装速射砲1基(基本はロシア製AK-176)。同型艦は70隻以上があり、数隻が海警局に転籍している。今回7月22日に沖縄県尖閣諸島魚釣島近海kを通過・与那国島と台湾の間を南下、太平洋に出たのは写真「615」「孝感/Xiaogan」、で2020年就役。

図10:(防衛省)7月21日防衛省発表の「シュパン級測量艦(25)」の航跡。20日夜屋久島南の我が国領海に侵入し口永良部島の西へ立ち去った。

図11:(統合幕僚監部)7月20日夕刻鹿児島県屋久島の領海を侵犯した「シュパン級測量艦(25)」。満載排水量5,900 ton、全長129 m、でかなり大きい。同型艦9隻を配備中。

図12:(統合幕僚監部)7月29日早朝対馬海峡を東シナ海から日本海に進む「シュパン級測量艦(22)」を発見した。

  • 空自・米空軍、合わせて数十機が東シナ海を中心に共同演習(6月下旬~7月初旬)

図13:空自、海自、米軍の主要航空基地を示す図。6月―7月にかけて東シナ海で演習をした米軍機は嘉手納・岩国両基地から発進した。支援にあたった空自E-767 AWACS機は浜松基地から、早期警戒機E-2Cは三沢基地からそれぞれ発進した。

共同通信/7月25日、夕刊フジ/7月26日は次のように報じている;―

米空軍が6月24日から7月上旬にかけてほぼ1週間、最新鋭ステルス戦闘機F-22、F-35など大量の戦闘機を動員、その一部は東シナ海の中間線を超えて中国本土に接近し飛行した。中国側は戦闘機を緊急発進させ対抗した。

参加したのは、グアム島から岩国に飛来した空軍のF-22戦闘機、F-35A戦闘機、岩国基地・海兵隊 のF-35B戦闘機、F/A-18戦闘攻撃機など。これら米軍機は2機ずつの編隊を組み、韓国済州島の南方から東シナ海の日中中間線、ADIZ境界に沿い尖閣諸島まで飛行した。1日当たり7〜8個編隊が発進、うち若干が中間線/ADIZを超えて飛行した模様。さらに実戦を想定して嘉手納基地から空中給油機が飛び立ち空中給油 (F-35Bに対し?)を実施した。

中国軍は福建省の基地からJ-20戦闘機を発進させて対抗した。

米軍は事前に日本側に通告し「(中国に)最大級の圧力を加える作戦を遂行する」と説明していた。空自からは、戦闘機は参加しなかったが、浜松基地・警戒航空団から空中警戒管制機E-767 AWACS、および三沢基地・警戒航空団から早期警戒機E-2Cが出動、東シナ海上空で中国機の動きの監視、警戒に当たった。

この作戦は、中国海軍や空軍の台湾を含む東シナ海・太平洋での最近の活動拡大に対し、警告・牽制する目的で行われたもの。我国政府高官は「米軍による史上最大の対中示威行動だった」と述べている。

この演習・作戦について防衛省・米軍は正式発表をしていない。

米嘉手納飛行場に常駐しているのは、空軍がF-15戦闘機54機、KC-135空中給油機15機、MC-130特殊輸送機10機など、海軍がP-3C対潜哨戒機およびEP-3電子戦偵察機の合計8機、P-8A対潜哨戒機6機など、となっている。KC-135は第18航空団・第909空中給油中隊 (909th Air Refueling Squadron)に所属している。(令和3年度版「嘉手納町と基地」による)

図14:(US Marine) 岩国基地には、第1海兵航空団・第12海兵航空群(MAG-12=Marine Air Group 12)隷下のF-35B部隊・第121戦闘攻撃中隊 (VMFA-121)が配備済みだが、これに新たに同航空群・第242戦闘攻撃中隊 ( VMFA 242)が加わった。各中隊はF-35B 16機で編成されている。F-35シリーズには3機種あり、F-35A/空軍用、F-35B/海兵隊用で短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型、F-35C/海軍用で空母艦載型。写真はVMFA 242のF-35Bが垂直着陸姿勢で降下しているところ。

3.「ロナルド・レーガン」空母打撃群が南シナ海で演習

米第7艦隊ニュース7月13日によると、「ロナルド・レーガン空母打撃群・Ronald Reagan ( CVN 76) Carrier Strike group (CSG 5)」は2022年7月13日に初めて南シナ海に進出、演習を行なった。

同行したのは「第5空母航空団(Carrier Air Wing 5(CVW 5)」、ミサイル巡洋艦「アンテイータム (USS Antietam (CG 54) 」、ミサイル駆逐艦「ヒギンズ(USS Higgins(DDG 76)」を含む「第15駆逐艦隊(Destroyer Squadron 15 (DESTRON 15)」。

演習は、航空機の離発着訓練、操艦訓練、海上戦闘訓練、航空機と水上艦の共同戦術訓練などを含んで行われた。

2022年を通じて「ロナルド・レーガン空母打撃群・CGS 5」は単独で、あるいは同盟国海軍と共同で、実戦に即した対空訓練、対潜訓練、海上戦闘訓練、を行なってきた。今年6月初旬には韓国海軍と空母打撃演習(CGS 2022)を実施、6月下旬にはフィリピン海で米空軍・陸軍・宇宙軍と合同で合計13,000名の将兵が参加し「バリアント・シールド(Valiant Shield/勇敢な盾)」演習を実施した。

同ニュース7月22日および27日によると、演習終了後、7月22日にミサイル駆逐艦「アンテイータム/USS Antietam(CG 54)」を伴いシンガポールを訪問した。24日には同政府閣僚多数を「ドナルド・レーガン(CVN 76)」に招待、ハンガー内でレセプションを開き両国の親善の絆を深めた。そして26日に出航し、南シナ海・フィリピン海で新たな任務、すなわち同じ時期に東南アジア諸国、特に台湾、を訪問する米下院議長ナンシー・ペロシ(Nancy Patricia Pelosi)氏の警護に当たっている。

ロナルド・レーガン空母打撃群(CGS 5)は、米国が約束する「自由で開かれたインド・太平洋(free and open Indo-Pacific)」維持のため、日本を含む同盟諸国海軍と共に南シナ海を含む地域の守りについている。

図15:(第7艦隊)「ロナルド・レーガン(CVN 76)」から発艦する「第5空母航空団(CVW 5)」のFA-18E/F戦闘攻撃機。「ロナルド・レーガン」は満載排水量10万トン、全長333 m、速力30 kts以上の原子力空母、2003年に就役。乗員3,200名、航空要員2,500名が乗艦している。

図16:(第7艦隊)7月22日シンガポールを訪問、チャンギ(Changi)海軍基地に入港する「ロナルド・レーガン(CVN 76)」。26日に出航し再び南シナ海・フィリピン海でのパトロールに就いている。

  • 中国無人攻撃機が宮古海峡を通過、台湾東岸沖からバシー海峡へ

7月25日昼過ぎ中国軍の偵察/攻撃型無人機「TB-001」(reconnaissance and strike drone)が沖縄本島と宮古島の間「宮古海峡」を通過太平洋に出て、先島諸島南を通過、台湾東部の花蓮港に接近・防空識別圏(ADIZ)に侵入した後、南に向かいバシー海峡に向かった。空自南西航空方面隊所属のF-15J戦闘機が緊急発進、監視に当たった。今回は領空侵犯はなかった。

台湾では、25日から中国軍の台湾侵攻を想定した国防演習「漢光38号」を全国で実施中であった。これに対し無人機「TB-001」を飛ばし、演習の情報収集と台湾に対する威嚇をしたものと見られる。

「TB-001」は、中国企業「Tengoen Technology」が開発した双発・双胴型無人機で、最大離陸重量3.3 ton、航続距離6,000 km、ペイロード1.2 tonつまり重量250 kgのミサイルなら4基搭載可能、とされる。

これについて【「中国無人機が日本周辺で活動開始、だが領空侵犯でも“政府見解では撃墜できない” のなぜ?」2022-07-29鈴木衛士】の記事を簡単に紹介する。すなわち;―

無人機/ドローンの領空侵犯は、2017年5月18日に尖閣諸島領空に中国海警局艦艇から発進したドローンが侵入したケースがあった。これに対する政府(安倍内閣時代)の見解は「無人機の操縦者を特定できないので警告はできない。また正当防衛の要件に合致しないので撃墜はできない」と云うもの。

国際的な常識から言えば、無人機が領空を侵犯したら即撃墜されても文句は言えない。2019年6月20日には米軍「グローバルホークRQ-4A」がイランに撃墜されているし、中国は「無人機が領空侵犯したら直ちに撃墜する」と言明している。日本政府の見解は“平和ボケ”そのもので、こんな非常識な指針があるから中国など近隣諸国に舐められる。

図17:(統合幕僚監部)7月25日昼過ぎ宮古海峡を通過、台湾の花蓮港付近に接近した中国偵察/攻撃型無人機・TB-001型の航跡。

図18:(統合幕僚監部)中国軍の偵察/攻撃型無人機TB-001型。双発・双胴で最大離陸重量3.3 ton、航続距離6,0000 km、ペイロード1.2 ton、のかなりの大型機。しかし米空軍が運用するジェネラル・アトミックス(General Atomics)製MQ-9リーパー(Reaper)無人攻撃機、最大離陸重量4.7 tonよりやや小型。米空軍は300機以上を運用しており、今月(7月)から海自鹿屋基地に8機の配備を始めている。

  • 中国軍侵入に備え台湾が全国規模で大演習を実施

「中央通信社・フーカス台湾」(7月25日など)は次のように報じている;―

中国軍の台湾侵攻を想定した「漢光38号」実動演習が25日から始まった。初日は攻撃による損害を避けるため戦闘機を西部から東部に移動させる「戦力保存」を早朝から行い、また、駐屯地を攻撃から守るため海軍艦艇が緊急出港する訓練を行なった。

漢光演習は。台湾軍が年1回行う最大で最も重要な演習とされ、年々訓練の強度を高め練度の向上を図っている。実動演習と図上演習があり、それぞれ5日間実施され、図上演習は5月中旬に実施済み。

25日には並行して台北を含む台湾北部で一般市民を対象にした防空演習「万安45号演習」が実施され、サイレンが鳴ると通行人は街頭から消え地下鉄構内に避難、バスも停車し乗客を地下鉄など地下に誘導した。

26日には東部太平洋沿岸で、海空軍による迎撃訓練が行われ、20隻の艦艇が参加、蔡英文総統がキッド級ミサイル駆逐艦に乗艦、演習を視察した。

27日、28日には、陸海空3軍による侵攻迎撃演習、さらに反上陸作戦などを行う。

最終日29日には補給訓練を行う。

中国軍は、24日に空軍機4機で台湾南西の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。

図19;(軍聞社)戦力保存訓練で台湾西部の基地を出発する台湾空軍第1連隊IDF戦闘機。「IDF戦闘機」は、現「漢翔航空工業」がジェネラル・ダイナミクス(General Dynamics)社の協力を得て開発・製造した戦闘機で1992年から運用開始、130機を保有している。エンジンはハニウエル(Honeywell)社製F125ターボファン・A/B付き推力41 kNを2基装備する。

図20:(台湾国防部)演習に参加したキッド級ミサイル駆逐艦。キッド級ミサイル駆逐艦は有力な防空艦とされたがイージス艦就役後1999年に米海軍を退役、2005年に台湾に売却された。満載排水量1万トン、速力33 kts。「基隆」、「蘇澳」、「左営」「馬公」の4艦がある。対空および対艦兵装はイージス艦レベルまでアップ・グレード済み。

図21:(台湾国防部)台湾北部の台北港や新北市周辺では、中国軍が揚陸艦で侵攻したと想定、台湾軍は阻止のため戦闘ヘリAH-64、IDF戦闘機、戦車などを投入し演習した。

  • その他のニュース

防衛省7月15日発表 ウクライナ被災者救援物資の輸送

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に応え、5月1日〜6月27日の間に8便を運行して、ドバイからポーランドやルーマニアに救援物資を輸送した。使用機はC-2輸送機で6便、KC-767空中給油兼輸送機で2便、合計103 tonの貨物を輸送した。

統合幕僚監部7月5日発表 アラビア海で日米共同訓練を実施

6月28日、アラビア海北部で護衛艦「さみだれ/DD-106」満載排水量6,100 ton、と米ミサイル駆逐艦「ゴンザレス(Gonzalez)/DDG 66」満載排水量9,000 ton、が戦術運動を含む演習を行なった。

図22:(海上幕僚監部)アラビア海北部で演習をする手前「さみだれ」と奥「ゴンザレス」。

海上幕僚監部7月6日発表 日米共同サイバー対処訓練

6月27日〜6月29日の間、ハワイ・ヒッカム統合基地と海自ヘリ空母「いずも」において、米海軍「NIOC-HAWAII (US Navy Information Operation Command-Hawaii)」(海軍情報戦闘司令部)と海自「システム通信隊群保全監査隊」がサイバー攻撃対処訓練を行なった。

図23:(海上幕僚監部)ハワイ・ヒッカム統合基地の「NIOC-HAWAII」(海軍情報戦闘司令部)でサイバー攻撃対処訓練をする日米両海軍の要員。

海上幕僚監部7月7日発表 日米豪共同訓練

7月4日〜7月6日の間、東シナ海から沖縄東方海域で、海自護衛艦「あさひ/DD-119」満載排水量6,800 ton、米ミサイル駆逐艦「デユーイ(USS Dewey / DDG 105)」満載排水量9,600 ton、豪海軍フリゲート「パラマッタ(HMAS Parramatta / FFH-154)」満載排水量3,600 tonは、3隻で対水上戦、PHOTEX、を含む各種戦術訓練を実施した。

図24:(海上幕僚監部)手前から豪フリゲート「パラマッタ」、米ミサイル駆逐艦「デユーイ」、海自護衛艦「あさひ/DD-119」。「あさひ」は2018年就役の新造艦で、同型艦は2隻。原型「あきづき型」2隻と共に対潜戦能力を一段と向上した艦である。

海上幕僚監部7月7日発表 米海軍とILEX22-3訓練を実施

7月6日大西洋上で、令和4年度遠洋練習航海部隊の練習艦「かしま」および「しまかぜ」は、米海軍補給艦「アークテイク」と洋上補給訓練を実施、給油を受けた。

海上幕僚監部7月12日発表 米海軍と機雷戦訓練、掃海特別訓練を実施

7月17日〜29日の間、青森県陸奥湾で海自艦艇13隻と航空機8機と米海軍掃海艦2隻および掃海ヘリコプター2機が参加して、機雷敷設訓練、機雷掃海訓練、および水中処分訓練を実施する。

海自からの参加は、掃海母艦1隻、掃海艦2隻、掃海艇10隻、それに掃海ヘリMCH-101が2機、哨戒機P-3Cが4機、P-1が1機である。

米海軍からは、掃海艦2隻、MH-53E大型ヘリコプター2機が参加。

図25:(海上幕僚監部)写真手前は海自掃海母艦「うらが /MST-463」。同級2隻(他は ”ぶんご/MXT-464”)と共に1997年から就役中。満載排水量6,900 ton、全長141 m、速力22 kts。中央から艦尾にかけてウエルデッキ、両側に機雷庫、艦尾には油圧開閉のドアがある。その上は飛行甲板、MH-53E大型ヘリの運用が可能、甲板はウエルデッキとエレベーターで結ばれ航空掃海具を運搬できる。

図26:(海上自衛隊)「あわじ/MSO-304」掃海艦。同級艦は3隻で「ひらど/MSO-305」、「えたじま/MSO-306」が就役済み、2隻が建造中、4隻が追加される予定。大型FRP船の建造経験のあるャパン・マリン・ユナイテッド社が製造した。満載排水量780 ton、速力14 kts。艦全体が繊維強化プラスチック(FRP)製で磁気機雷に反応しにくい。機雷探知用として米ウッズホール海洋研究所(WHOI)製「リーマス(REMUS) 600」型水中無人機(OZZ-2、3番艦からは改良型OZZ-4)を搭載する。探知機雷は、三井造船開発の「自走式機雷処分用弾薬(EMD)」で爆破・処分される。艦首には自衛兼機雷処分用に遠隔操作式JM61R-MS 20 mm機関砲を装備する。

図27:(Wikipedia)「えのしま/MSC-604」型掃海艇。同型艇は3隻で「ちちじま/MSC-605」、「はつしま/MSC-606」が就役中。満載排水量660 ton、速力14 kts、艇全体が繊維強化プラスチック(FRP)製。前級は木造の「ひらしま」型2隻でこれをFRP化したのが「えのしま」型。本型1番艇、2番艇を建造したユニバーサル造船はFRB経験のあるスエーデン・コムックス社の技術支援を受けた。装備は前級と同じOYQ-201掃海艇情報処理装置を中心に、ZQS-4機雷探知機、S-10水中航走式機雷掃討具、などを備えている。自衛兼機雷処分用に遠隔操作式JM61R-MS 20 mm機関砲を装備する。

航空幕僚監部7月1日発表 空自戦闘機、米爆撃機と共同訓練

6月29日、東シナ海および日本海の空域で、空自戦闘機12機などが米本国から飛来したB-1B爆撃機2機と共同で編隊航法訓練を実施した。

空自からは、千歳基地第2航空団のF-15J戦闘機4機、小松基地第6航空団のF-15J戦闘機4機、築城基地第8航空団のF-2戦闘機4機、それに三沢基地の北部航空警戒管制団、入間基地の中部航空警戒管制団、および春日基地の西部航空警戒管制団が参加した。

米空軍からは、サウスダコタ州エルスワース空軍基地(Ellsworth AFB, South Dakota)の第34爆撃飛行隊(34th Bomb Squadron, 28thBomb Wing)所属のB-1B Lancer爆撃機2機が参加した。

図28:(USAF Photo)ロックウエル(Rockwell/現在はボーイング)製 B-1Bランサー(Lancer)ステルス爆撃機。可変後退翼で、B-2およびB-52と共に米空軍の「ACC(Air Combat Command/航空戦闘団)」を構成、戦略爆撃を担当している。現在配備中のB-1Bは45機。乗員4名、全長45 m、翼幅42 m/展張時・24 m/高速飛行時、最大離陸重量216 ton、エンジンF101-GE-102アフトバーナ付き推力30,000 lbsを4基。ミサイルなど兵装17 tonを搭載して航続距離は9,400 kmになる。最大速度は高空ではマッハ1.25、低空ではマッハ0.85で長距離飛行ができる。

航空幕僚監部7月14日發表 空自戦闘機、米軍機と大規模演習を実施

7月6日、11日、12日の3日間、日本海、東シナ海、太平洋の空域で、述べ機数で空自戦闘機20機と米軍戦闘機など28機が実戦を模した戦術訓練を実施した。

空自からは、新田原基地の第5航空団F-15J戦闘機4機、築城基地の第8航空団F-2戦闘機8機、那覇基地の第9航空団F-15J戦闘機8機、それに春日基地の西部航空警戒管制団および那覇基地の南西航空警戒管制団が参加した。

米軍からは、F-22ラプター(Raptor)戦闘機12機、F-35A戦闘機4機、F-15C戦闘機13機、E-3セントリー(Sentry)早期警戒管制機(AWACS)1機、KC-135空中給油機1機、および海軍からP-8哨戒機1機が参加した。

この演習で注目すべきは12機ものF-22が参加したこと。米国が如何に中国の脅威増大に切迫感を持っているかを如実に示している。残念なことに報道によれば、過日岸田総理から日米演習について「あまり深入りするな」と言う趣旨の発言があったようだが、事実とすれば誠に遺憾極まりない。

F-22戦闘機は2007年2月にハワイ・ヒッカム空軍基地(Hickam AFB)から第27戦闘機中隊(27th Fighter Squadron)の6機が飛来して以来、しばしば沖縄嘉手納基地に姿を見せている。27th Fighter Squadronは、ラングレー空軍基地(Langley AFB, Virginia)第1戦闘航空団(1st Fighter Wing)の麾下部隊。今回演習に参加した12機の所属は不明。ハワイ・ヒッカムに配備されているのは現在第15戦闘航空団と第154戦闘航空団である。

An F-22 Raptor flies over Kadena Air Base, Japan, Jan. 23 on a routine training mission. The F-22 is deployed from the 27th Fighter Squadron at Langley Air Force Base, Va. (U.S. Air Force photo/Master Sgt. Andy Dunaway)

図29:(USAF Photo)ロッキード・マーチン製F-22ラプター戦闘機。2009年嘉手納上空を飛ぶF-22。2005年末に就役、現在186機が8個戦闘航空団と2個試験航空団に配備されている。F-22は長さ19 m、翼幅13.5 m、最大離陸重量38 ton、エンジンはF119-PW-100 アフトバーナ付きターボファン推力35,000 ibs @A/B時を2基。最大速度マッハ2.25、航続距離3,000 km。ウエポンベイにAIM-120 AMRAAM 6発とAIM-9サイドワインダー2発を搭載する。対地攻撃ミッションでは、「GBU-39 」110 kg小型直径爆弾8発を搭載できる。

航空幕僚監部7月14日發表 広島県呉市でPAC-3対空ミサイル展開訓練を実施

7月20日広島県呉市の海自基地で春日基地の空自第2高射群がPAC-3MSEの展開および撤収訓練を実施する。PAC-3MSEは[MSE=Missile System Enhancement]すなわち能力向上型で対弾道ミサイル迎撃能力が向上している。

―以上―