2025年4月14日(令和7年) 松尾芳郎
令和7年3月の我が国周辺における中露両軍の活動は、前年末までの状況に戻る。特に台湾周辺での中国軍の行動が目立つ。これに対し我国および同盟諸国は、警戒を緩めることなく抑止力強化に努めている。
(Chinese and Russian’s military maneuvers around Japanese territorial air and sea spaces got back to the state of last year. China’s PLA launches military drills around Taiwan are increased ever. Japan and allies are putting up same level of defensive actions. Following are the details of major issues.)
防衛省統合幕僚監部、米第7艦隊などが公表した1月における我国周辺の中露両軍の軍事活動は以下の通り。注目すべき事案については後半に述べる。
中露軍の活動
3月3日発表:中国情報収集艦(795)東シナ海から宮古海峡経由太平洋へ
3月5日発表:ロシア情報収集艦(535)太平洋から宮古海峡経由東シナ海へ
3月18日発表:3月17日、中国軍無人機2機が個別に与那国島・台湾間の海峡を往復
3月20日発表(台湾軍):3月18日、中国軍航空機と艦艇多数が台湾海峡で演習、台湾頼政権を威嚇
3月21日発表:中国情報収集艦(798)東シナ海から大隈海峡を通過太平洋へ、3月25日に宮古海峡を通過東シナ海へ戻る
3月21日発表:中国海軍ミサイル駆逐艦(150)およびフリゲート(515)が尖閣諸島経由与那国島-台湾間の海峡を抜け、台湾東沖太平洋へ
3月24-26日発表:(八重山日報、海上保安庁)中国海警局は大型艦常時4隻、最大8隻体制で尖閣諸島領海侵犯、接続水域侵入を繰り返す
3月27日発表:中国軍無人機1機東シナ海から与那国島-台湾間の海峡を抜け太平洋へ(推定・台湾南を周回、大陸に戻る)
3月31日発表;中国軍ミサイル駆逐艦(123)フリゲート(576)が31日早朝に宮古海峡を通過太平洋へ、また情報収集艦(796)が同日午後に宮古海峡を通過太平洋へ
我国、同盟諸国の活動
3月1日発表:台湾有事に備え沖縄本島米軍基地で日米合同訓練「鉄の拳(iron fist)」を実施
3月3日発表:2月27日〜3月1日の間、西太平洋から東シナ海の海域で米空母カール・ビンソン中心に日・米の艦艇が共同訓練を実施
3月3日発表:3月4日、同6日、日本周辺太平洋上で日・米・ニュージランド3カ国海軍哨戒機が共同訓練を実施
3月4日発表:3月3日、海自と海保の艦艇が沖縄南方海域で共同訓練を実施
3月4日発表:3月4日〜同18日の間、海自哨戒機はグアム島周辺回空域で行われる米海軍主催の哨戒機多国間(オーストラリア、インド、日本、韓国、米国の5カ国)共同訓練「Sea Dragon 2025」に参加
3月7日発表:3月3日、海自とフランス海軍艦艇はオーストラリア北部ダーウイン沖の海域で共同訓練「オグリ・ベルニー(Oguri Verny)2025」を実施
3月15日発表:3月13日、空母カール・ビンソンを含む米海軍F-35C、米空軍F-35A、韓国空軍F-35Aは韓国周辺で統合訓練「Freedom Shield 25」を実施
3月20日発表:3月17-20日の間、空母カール・ビンソンを含む4隻の米艦隊、海自護衛艦(DD 107)、韓国海軍ミサイル駆逐艦2隻は東シナ海海空域で3カ国共同訓練を実施
3月28日発表:海自フリゲート(FFM 3)、米海軍ミサイル駆逐艦(DDG 85)およびP-8A哨戒機、フィリピン海軍フリゲート(FF 150)は南シナ海で海上共同活動(Maritime Cooperative Activity)を実施
3月29日発表:硫黄島で令和6年度日米硫黄島戦没者合同慰霊祭追悼顕彰式を挙行
3月30日発表:陸上自衛隊第8地対艦ミサイル連隊、大分県湯布院駐屯地に新設
3月30日発表:中谷 元 防衛相は米国防長官ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)氏と防衛省で約1時間半会談、「中国による侵略阻止のため日米同盟を一層強化」で合意
注目すべき事案
中露軍の活動
- 3月18日発表:3月17日、中国軍無人機2機が個別に与那国島・台湾間の海峡を往復
3月17日午前と午後に中国軍無人機が個別に東シナ海から与那国島―台湾間の海峡と通過、台湾東部の太平洋上で旋回、反転して往路と同じ経路で東シナ海に戻った。機種は公表していない。
防衛省によると昨年度(2024年4月〜2025年3月)、南西諸島周辺に飛来し空自戦闘機が緊急発進した中国軍無人機は30機に達した。活動範囲も拡大し東シナ海から太平洋さらに台湾周回飛行に広がっている。機種は大型化し、最近しばしば目にするGJ-2 (翼竜2)は、偵察・攻撃・電子情報収集ができる多用途無人機で、対空時間は40時間と言われる。

図1:(統合幕僚監部)3月17日、中国軍無人機の航路。

図2:(統合幕僚監部)中国無人機の例CJ-2(翼竜2)。機首上面の膨らみは衛星通信アンテナを内蔵、下部にはEO/IRセンサー・ターレット、V字型尾翼、尾部にエンジンを装備する。米General Atomics 製MQ-9 リーパー(Reaper)と似た形。
- 3月20日発表(台湾軍):3月18日、中国軍航空機と艦艇多数が台湾海峡で演習、台湾頼政権を威嚇
台湾国防部は、2025年3月18日に台湾周辺で多数の中国海軍艦艇と航空機・無人機が活動したと発表した。航空機・無人機は54機でうち43機が台湾海峡中間線を越え台湾側に侵入した、海軍艦艇は9隻が中間線内外を航行した。航空機、艦艇とも一度に確認された数としてはこれまでで最大。また無人気球2個が台湾北部の基隆港近くの海上に飛来、高度約4000 mおよび12,000 m付近で滞留したのち、立ち去った。
4月1日、台湾方面を管轄する中国軍東部戦区(福建省)は、陸・海・空・ロケットの各軍を動員して台湾を取り囲む形で4方面で大演習を行った、と発表。東部戦区を代表して施毅報道官は「台湾独立・分裂勢力への厳重な警告と強力な抑止だ」と演習の目的を述べた。

図3:(台湾国防部)3月18日、台湾軍が撮影した中国軍無人機、これまで確認されたGJ-2偵察・攻撃型無人機に比べかなり大型。
- 3月21日発表:中国海軍ミサイル駆逐艦(150)およびフリゲート(515)が尖閣諸島経由与那国島-台湾間の海峡を抜け、台湾東沖太平洋へ
3月16日深夜および17日深夜、中国海軍ルーヤンII級ミサイル駆逐艦(150)およびジャンカイII級フリゲート(515)が個別に尖閣諸島魚釣島西の海域を南に進み、与那国島と台湾の間の海峡を抜け台湾東海岸沖で遊弋した。そして20日の昼頃に2隻は往路と同じ経路で東シナ海に戻った。台湾に対する威嚇行動の一つと見られる。

図4:(統合幕僚監部)ルーヤンII級(Luyang II /旅洋II)は「蘭州型」052C型と呼ぶ中国版イージス艦。艦橋4面にAESAレーダーを配備、対空ミサイル HHQ-9Aを6セル・8基搭載する。満載排水量7,000 ton、同級艦は6隻、艦番号150は「長春」。蘭州級の後継は052D型昆明級でこちらは25隻が配備されている。

図5:(統合幕僚監部)ジャンカイII級フリゲート(江凱II)は053A型。満載排水量4,000 ton、HHQ-16対空ミサイルを32セルVLSに搭載、僚艦防空フリゲートとして配備されている。艦番号515は「浜州」。同型艦は40隻以上ある。
- 3月24-26日発表:(八重山日報、海上保安庁)中国海警局は大型艦常時4隻、最大8隻体制で尖閣諸島領海侵犯、接続水域侵入を繰り返す
第11管区海上保安本部は、「尖閣諸島周辺の我国領海に侵入していた中国海警局艦艇2隻が3月24日夜間に領海外側の接続水域に移動した。2隻の領海侵入は92時間に達し、これまでの最長記録80時間半を大きく更新」と発表した。
この日、接続水域の外側に別の海警局艦4隻が現れ、尖閣諸島海域での海警局艦は一時的に8隻体制になった。これらの多くは退役した中国海軍フリゲートで、外装を海警局用に白色塗装にし、76 mm速射砲をそのまま搭載、海軍艦艇に準ずる攻撃能力を持っている。
米国の著名な中国問題軍事専門家Y氏は「中国政府は尖閣諸島を中国・日本で共同管理する宣言を出すべく準備中」、続けて「中国軍は(2027年に予定の)台湾侵攻作戦の前に尖閣諸島を奪取することを計画中で、漁民に扮した民兵を魚釣島に上陸させるとしている。これで軍事行動をカムフラージュして日米の対応を遅らせようという作戦だ」と述べている。(古森義久氏リポート)

図6:(産経新聞/鈴木健児)尖閣諸島、手前から南小島、北小島、魚釣島。海上自衛隊P-3C哨戒機から撮影。
- 3月31日発表;中国軍ミサイル駆逐艦(123)フリゲート(576)が31日早朝に宮古海峡を通過太平洋へ、また情報収集艦(796)が同日午後に宮古海峡を通過太平洋へ
3月31日未明、中国海軍ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(123)、ジャンカイII級フリゲート(576)が東シナ海から宮古海峡を通過太平洋へ航行した。また同日午後ドンデイアオ級情報収集艦(796)が同様航路で太平洋に向け進出した。
中国軍は4月1日・2日に掛けて台湾周辺で頼政権を威嚇する大規模演習を実施したが、3月31日の3隻はこれに参加する一部と思われる。

図7(統合幕僚監部)ルーヤンIII級(旅洋III級)は052D型昆明級ミサイル駆逐艦。前掲「ルーヤンII級」の最新型で、満載排水量7,500 ton。同型艦は25隻ある。123は「准南」、2021年就役。

図8:(統合幕僚監部)江凱II級フリゲート。576は「大慶」、2015年就役。

図9:(統合幕僚監部)「ドンデイアオ(東調)級情報収集艦 (815A型)」は電子偵察艦、9隻が就役中。満載排水量6,000 ton、全長130 m。中央に大型追跡レーダー/探知距離1,000 km、前部艦橋には小型レーダー、後部艦橋にはHF波からX波までの通信電波検出アンテナがある。
我国、同盟諸国の活動
- 3月1日発表:台湾有事に備え沖縄本島米軍基地で日米合同訓練「鉄の拳・アイアン フィスト(iron fist)」を実施
2月19日〜7日の間、台湾有事/離島奪還を想定して、陸自機動団と米海兵隊が九州/沖縄で共同訓練「アイアン・フィスト(iron fist)25」を実施した。参加兵員は過去最大の3,000名、参加したのは;―
陸自から水陸機動団・第1ヘリコプター団その他、海自から輸送艦「くにさき」・掃海艦「あわじ」その他
米軍から第31海兵機動展開隊など、第7艦隊から強襲揚陸艦「アメリカ」、ドック型揚陸艦「ラッシュモア」、ドック型輸送揚陸艦「サンデイゴ」その他
訓練場所は、相浦駐屯地、高天原分屯地、沖永良部島、キャンプ・ハンセン、金武ブルー・ビーチなど。

図10:(海上自衛隊)3月1日、金武町キャンプ・シュワブのブルー・ビーチで行われた島嶼奪回訓練。日米両軍兵士400名が参加、ボートでの上陸、車両上陸訓練を実施、報道陣に公開した。
- 3月3日発表:2月27日〜3月1日の間、西太平洋から東シナ海の海域で米空母カール・ビンソン中心に日・米の艦艇が共同訓練を実施
2月27日~3月1日の間、沖縄周辺の西太平洋から東シナ海に至る海域で日・米海軍が共同訓練を実施した。参加部隊は;―
海上自衛隊:護衛艦「はるさめ / DD 102」
米海軍 :空母「カール・ビンソン(USS Carl Vinson / CVN 70)」、ミサイル駆逐艦「ウイリアム・P・ローレンス(USS William P. Lawrence / DDG 110)」、「スタレット(USS Sterett / DDG 104)」、「ラルフ・ジョンソン(USS Ralph Johnson / DDG 114)」。
これら米駆逐艦はいずれもアーレイバーク( Arleigh Burke)級で、イージス武器システム(AWS)は建造時ベースライン7及び9だが、絶えず改修が行われている。同型艦はこれまでに70隻ほどが就航済み、20隻ほどの追加建造が予定されている。

図11:(海上自衛隊)護衛艦はるさめ/DD 102、満載排水量6,100 ton、むらさめ型9隻の2番艦。兵装は、前部から62口径76 mm速射砲、SSM発射筒、Mk 41VLS 16セル、そして前後に20 mm CIWSが1基ずつ。

図12:(海上自衛隊)第1空母打撃群所属の「カール・ビンソン(USS Carl Vinson / CVN 70)」は満載排水量101,000 ton、全長333 m、速力30 kts以上、1982年就役の原子力空母。2000年に近代化改修を実施、F-35CライトニングII戦闘機、CVM-22Bオスプレイなど各種航空機70機を搭載する。約5,000人が乗り組んでいる。
- 3月4日発表:3月4日〜同18日の間、海自哨戒機はグアム島周辺海空域で行われる米海軍主催の哨戒機多国間(オーストラリア、インド、日本、韓国、米国の5カ国)共同訓練「Sea Dragon 2025」に参加
3月4日~18日の間、グアム島周辺の海空域で米海軍主催の固定翼哨戒機多国間共同訓練「シードラゴン(Sea Dragon) 2025」に海自哨戒機P-1が参加した。「シードラゴン演習」は2019年から毎年行われている演習。

図13:(海上自衛隊)海自第11飛行隊所属哨戒機P-1が鹿屋基地(鹿児島県)を離陸する所。鹿屋基地は海自第1航空隊の本拠地、隷下にP-1哨戒機で編成する第11飛行隊、第12飛行隊がある。

図14:(US 7th Fleet) グアム島アンダーセン空軍基地に集結した「シードラゴン25」参加の一部、海自P-1は右、韓国軍P-3は左。
米海軍CTF 72麾下のP-8Aポセイドン(Poseidon)哨戒機2機、オーストラリア空軍P-8A哨戒機1機、インド海軍P-8A哨戒機1機、日本海自P-1哨戒機1機、韓国海軍哨戒機P-3オライオン1機が参加した。
共同訓練は、米海軍潜水艦が潜水航行するのを探知、攻撃する対潜水艦戦(ASW)を模して行われた。対潜戦術、技術、手法、について審判員が採点、評価する方法で行われた。最高点を得た部隊には「ドラゴン・ベルト(Dragon Belt)」が贈呈される。「シードラゴン2025」では海上自衛隊P-1哨戒機が優勝「ドラゴン・ベルト」を受領した。海自機は2022年から3年続けて優勝している。
P-1に関し過去に高価(単価120億円)、性能不良、無駄遣い、P-8A購入すべき、など一部のマスコミが批判した。しかし、一連のシードラゴン訓練でP-1の優秀さが立証された。
海自P-1哨戒機は川崎重工製、2013年運用開始、2024年3月の保有機数は34機、将来は約70機が配備される見込みだが、2028~2032年に無人哨戒機MQ-9シー・ガーデイアン(Sea Guardian)23機導入が決まったので、一部削減の可能性がある。
Defense Newsなど外電によると、イタリア空軍ルカ・ゴレッテイ参謀総長(Italian Air Force Chief of Staff Luca Goretti)が、P-1哨戒機の導入を検討中と報じている。同氏は3月20日のイタリア議会外交委員会で「日本との間で、ジェット練習機M-346を日本が採用しP-1哨戒機をイタリア空軍が購入する案件が進んでいる」と報告した。
- 3月7日発表:3月3日、海自とフランス海軍艦艇はオーストラリア北部ダーウイン沖の海域で共同訓練「オグリ・ベルニー(Oguri Verny)2025」を実施
3月3日、オーストラリア北部のダーウイン沖の海域で、海自フリゲート「のしろ (FFM 3)」はフランス海軍フリゲート「バンデミエール (Vendemiaire / F 734)」と共同訓練「オグリ・ヴェルニー(Oguri Verny) 2025」を実施した。
これに先立ち海自フリゲート「のしろ」は2月28日〜3月3日の間、ダーウイン港に寄港、オーストラリア海軍に「のしろ」を展示、「もがみ型改」フリゲート採用可否の検討に供している。「もがみ」型は,満載排水量5,500 ton、速力30 kts、就役開始は2022年。同型艦10隻が完成済みで2隻が建造中。続けて「もがみ型改」12隻の建造を予定している。
(詳しくは「TokyoExpress 令和7年2月、我が国周辺での中露軍活動と我国/同盟諸国の対応、の14、15ページに記述済み」)

図15:(海上自衛隊)フランス海軍フリゲート「バンデミエール (Vendemiaire / F 734)」は、フロレアル級フリゲートの5番艦でニューカレドニア・ヌメア基地に配備されている。満載排水量3,000 ton、長さ95.5 m、最大速力20 kts、100 mm単装砲、エグゾセMM38ミサイル2基などを装備、1993年就役で2000年以降しばしば来日している。同型艦は6隻。
- 3月15日発表:3月13日、空母カール・ビンソンを含む米海軍F-35C、米空軍F-35A、韓国空軍F-35Aは韓国周辺で統合訓練「Freedom Shield 25」を実施
3月13日、米第1空母打撃群 (CSG 1 /Carrier Strike Group 1)は「カール・ビンソン(USS Carl Vinson / CVN 70)及び米空軍と共に、韓国陸上基地と韓国周辺の海空域でF-35系列攻撃戦闘機による統合訓練「フリーダム・シールド25 (Freedom Shield 25)」を実施した。参加したのは韓国空軍F-35A 2機、米空軍F-35A 2機、米海軍F-35C 1機。
F-35Cは空母艦載機型で、艦載機に必要な低速時での揚力増加と安定性強化のため、F-35Aに比べて主翼・尾翼が大きくなり、主翼端が折畳式になっている。航続距離・速度など性能はほぼ同じ。2019年2月に「初期作戦能力 (IOC =Initial Operational Capability)」を獲得している。
第1空母打撃群 (CSG 1 /Carrier Strike Group 1)は、空母「カール・ビンソン」、第1(ミサイル)駆逐艦隊 (DESTRON 1)、それに第2空母航空団 (CVW 2 =Carrier Air Wing 2)で編成されている。第2空母航空団 (CVW 2)は、F-35C戦闘機、F/A-18E/F戦闘攻撃機、EA-18Gグロウラー電子戦機、E-2D早期警戒管制機、CMV-22オスプレイ輸送機、MH-60R/Sシーホーク・ヘリなど、9個中隊で編成されている。
- 3月20日発表:3月17-20日の間、空母カール・ビンソンを含む4隻の米艦隊、海自護衛艦(DD 107)、韓国海軍ミサイル駆逐艦2隻は東シナ海海空域で3カ国共同訓練を実施
3月17日〜20日の間、東シナ海海空域で日米間3カ国海軍が共同訓練を実施した。これは共同航行、相互通信、対空戦闘、など共同戦闘に関わる技量を向上し、有事対処に備えるために実施した。参加部隊は;―
海自:護衛艦「いかづち」
米軍:空母「カール・ビンソン」、ミサイル巡洋艦「プリンストン」、ミサイル駆逐艦「スタレット」、「ウイリアムP.ローレンス」
韓国:ミサイル駆逐艦「セジョン・デワン」、「テ・ジョヨン」
海自護衛艦「いかづち/DD 107」は、満載排水量6,100 ton、「むらさめ/DD 101」型9隻中の7番艦、2001年就航、横須賀基地に配備中。

図16:(7th Fleet News)3月18日撮影。空母USS Carl Vinson(CVN 70)を中心に、手前から隊列を組むミサイル巡洋艦USS Princeton (CG 59)、ミサイル駆逐艦USS Sterett (DDG 104)、USS Ralph Johnson (DDG 114)、韓国Sejong the Great (DDG 991)、Dae Jo-yeong (DDH 977)、海自いかづち(DD 107)の各艦。
- 3月28日発表:海自フリゲート(FFM 3)、米海軍ミサイル駆逐艦(DDG 85)およびP-8A哨戒機、フィリピン海軍フリゲート(FF 150)は南シナ海で海上共同活動(Maritime Cooperative Activity)を実施
3月28日、南シナ海で海自フリゲート「のしろ(FFM 3)」は米海軍ミサイル駆逐艦「シャウプ (USS Shoup / DDG 85」、哨戒機P-8A、フィリピン海軍フリゲート「ホセ・リサール(Jose Rizal / FF 150)」、キングエア C-90偵察機、と共同訓練「海上協働活動(MCA=Maritime Cooperative Activity)」を実施した。これは中国軍のフィリピン領島嶼に対する侵攻意図に対抗する活動の一つ。
フィリピン海軍フリゲート「ホセ・リサール(Jose Rizal / FF 150)」は、韓国海軍の仁川級フリゲートで現代重工製で2020就役、満載排水量2,600 ton、長さ108 m、同型艦は2隻ある。

図17:(統合幕僚監部)3月28日、南シナ海で南シナ海で行われた日・米・比3カ国海軍の共同行動。左手前は海自フリゲート「のしろ」、右はフィリピン海軍フリゲート「ホセ・リサール」、奥が米ミサイル駆逐艦「シャウプ」。
- 3月29日発表:硫黄島で令和6年度日米硫黄島戦没者合同慰霊祭追悼顕彰式を挙行
3月29日、硫黄島で「令和6年度日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式」が挙行された。主な出席者は;―
日本側:石破総理大臣、中谷防衛大臣、森下陸上幕僚長、など130人
米国側:ピート・へグセス(Pete Hegseth)国防長官、エリック・スミス(Eric M.Smith)米海兵隊総司令官、ジェームス・グリン(James F. Glynn)米太平洋艦隊司令官、及びロジャー・ターナー(Roger B. Turner)米第3海兵機動展開部隊司令官、など160人
両国からこれらの人々が参列し、日米両軍の戦没者およそ29,000名に対して哀悼の意を捧げた。
この後、4月7日午後には、天皇・皇后両陛下が硫黄島・日本軍戦没者慰霊碑を訪ね哀悼の意を捧げられた。

図18:4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島日本軍戦没者慰霊碑を訪ね、哀悼の意を捧げられた。

図19:(防衛省)3月29日挙行された令和6年度日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式に参列した日米両国の幹部、改めて両国の結束を誓い合った。
- 3月30日発表:中谷 元 防衛相は米国防長官ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)氏と防衛省で会談、「中国による侵略阻止のため日米同盟を強化」で合意
3月30日午前、防衛省で中谷防衛相とへグセス米国防長官は約一時間半会談を行い、安全保障問題が著しく厳しくなる中、両国は防衛力の強化に一層取り組み「自由で開かれたインド太平洋」の実現維持に協力、日米同盟の抑止力・対処力を強化することで合意した。
中国について、東シナ海、南シナ海での一方的な現状変更の試みに反対することで合意した。特に台湾海峡の軍事情勢に留意しその平和と安定の重要性を強調した。
日米両国は、抑止力・即応力ををそれぞれ強化し、指揮・統制の枠組みを緊密化し、統合軍司令部の設立目指すことで一致した。
国防装備品の維持整備環境を整備し、共同整備の拡充を図る。さらに中射程空対空ミサイルAMRAAMの共同生産開始の促進すること、新たに対空ミサイル「SM6」も含めるよう米側に申し入れた。

図20:(防衛省)3月30日、防衛省で会談を前に握手する中谷防衛相とへグセス国防長官。
―以上―