2026年2月11日(令和8年) 松尾芳郎
令和8年1月、我が国および台湾周辺における中露軍および北朝鮮の活動は高い水準のまま。これに対し我国および同盟諸国は、警戒を緩めることなく抑止力強化に努めている。
(China’s PLA ,Russian and North Korean forces military drill around Japan and Taiwan in January were same level as previous. Japan and allies are putting defensive act against the hostiles. Following are the details of major issues.)
防衛省および各幕僚監部、米第7艦隊などが発表した1月における我国周辺の中露両軍の軍事活動および我国と同盟諸国軍の対応は以下の通り。発表日に発表機関の記載がないのは全て「統合幕僚監部」発表である。
中露、北鮮軍の動向
- 1月4日および27日、防衛省発表、北朝鮮が短距離弾道ミサイルをそれぞれ2発、日本海に向け発射
1月4日と27日の2回、北朝鮮西岸付近から、いずれも2発ずつの弾道ミサイルを東方向の日本海に向けて発射、北鮮報道はいずれも目標に着弾した、と報じた。着弾点は日本のEEZ外で、我が国船舶、航空機には被害はない。ミサイルは最高高度80 km程度、飛距離350 km程度。

図1:(統合幕僚監部)着弾点は北朝鮮の北端「咸鏡北道清津市」沖の無人島のようだ。
- 1月5日発表 中国軍H-6爆撃機2機を含む8機が宮古海峡経由太平洋を往復
12月29日午後、H-6K爆撃機2機、J-16戦闘機2機、Y-9情報収集機2機、および戦闘機2機が中国本土基地を発進、沖縄本島と宮古島間の海峡を通過、太平洋に進出、反転して往路と同じ航路で戻った。
H-6K爆撃機は翼下面に2発の空対地巡航ミサイル[CJ-20]を携行、いつでも東京や横須賀を狙えるぞ、とする威嚇飛行だった。

図2:(統合幕僚監部)12月29日午後の中国軍H-6K爆撃機を含む9機編隊の飛行経路。

図3:(統合幕僚監部)Y-9情報収集機

図4:(統合幕僚監部)H-6K爆撃機は、ロシア・ツポレフ[Tu-16]をライセンス生産した機体、改良を重ね現在に至る。行動半径は約3,500 km、日本全域、ハワイまで飛行できる。核弾頭を装備できる空対地巡航ミサイル[CJ-20]を6発搭載する。[CJ-20]は射程1,500 km、今回は2発携行していた。

図5:(統合幕僚監部)[J-16]戦闘機はSu-27SKをベースにSu-30MK2を加味して作られた多目的戦闘機。2015年から運用開始、350機ほど配備されている。最大離陸重量35 ton、最大速度マッハ2、戦闘行動半径1,500km。エンジンはWS-10Bターボファン推力20,000 lbs(A/B時は32,000 lbs)を2基。
- 1月5日、8日、19日および26日発表 ロシア海軍情報収集艦(535)、12月末に対馬海峡経由日本海へ、1月7日に対馬海峡から東シナ海・宮古海峡を通過太平洋、そして与那国島―台湾間を通り宮古海峡から太平洋、沖縄本島南の接続水域で遊弋し情報収集活動
2026年1月における情報収集艦8535)の動きは複雑で最初は与那国島、宮古島付近の接続水域内をうろつき、最後は沖縄本島南の接続水域を遊弋、さまざまな軍事情報を傍受した模様。中国の対日強行姿勢に対応し、両国の結束を強めるアピールと思われる。
7日:対馬海峡を通過東シナ海へ
12日:与那国島の北西を南西に
13日、14日:与那国島の南西から北東に
14日、15日:宮古島の北から南に
17日:与那国島付近を航行
18日:宮古島付近を航行
18日、19日:沖縄本島南および東海域を遊弋
23日、24日:沖縄本島近海を離れ東シナ海を北上

図6:(統合参謀本部)ビニシア急情報収集艦(535)、別名864型2等中型偵察艦は、満載排水量3,400 ton、長さ94 m、速力16 kts、同級艦は7隻あり、太平洋艦隊には(535)カレリアと(208)クリルイが配備されている。写真のように錆だらけ、整備不十分さを窺わせる。

図7:(統合参謀本部)1月7日から26日までのロシア情報収集艦(535)の航跡。与那国島、石垣島、宮古島そして沖縄本島周囲の接続水域内を繰り返し航行、中露の結束を誇示した。
- 1月5日発表 中国フリゲート(529)、宮古海峡通過太平洋へ
12月27日午前、中国海軍ジャンカイII級フリゲート(529)「舟山」が宮古海峡を通り太平洋に進出、反転して12月30日に同じ経路で東シナ海に戻った。

図8:(統合幕僚監部)ジャンカイII級フリゲート(529)「舟山」。054A型/江凱II型(徐州級)、満載排水量4,050 ton 50隻のうちの一つ。垂直発射装置VLS 32セルを装備する。 搭載ヘリはZ-9C/Ka-28を1機。同型は40隻が就役済み、10隻が建造中。
- 1月5日発表 中国フリゲート(548)宮古海峡を通過、太平洋を往復
12月28日昼、中国海軍ジャンカイII級/江凱II級フリゲート(548)「益陽」が、東シナ海から宮古海峡経由太平洋に進出し、反転して12月30日に往路と同じ経路で東シナ海に戻った。

図9:(統合幕僚監部)ジャンカイII級フリゲート(548)「益陽」。
- 1月5日発表 中国ミサイル駆逐艦(150)宮古海峡通過、太平洋へ
12月30日夕刻、ルーヤンII級/旅洋II級/蘭州級/052C級ミサイル駆逐艦(150)「長春」が太平洋から宮古海峡を通り、東シナ海に入った。ルーヤンII級は、旅洋II級/蘭州級/052C級とも呼ばれ、同型は6隻、中国版イージス艦である。満載排水量7,000 ton、長さ155.5 m、速力31 kts、兵装として6セル回転式VLSを8基備える。

図10:(統合幕僚監部)夕闇迫る東シナ海へ向かうルーヤンII級/旅洋II級/蘭州級/052C級「長春」(150)。
- 1月12日 読売新聞報道 2025年夏、中国軍は水陸両用車・民間大型船を使い広東省沖で台湾上陸訓練を実施
昨年(2025年)夏、中国軍は台湾海峡に近い広東省沿岸で水陸両用車両や民間の大型貨物船を動員して台湾侵攻作戦の演習を行った。人工衛星の画像および船舶の航行状況を自動的に送受信する「AIS /船舶自動識別装置」のデータを解析して判明した。
2025年7月16日、広東省仙尾市沖で、大型車両が接岸時に自走で乗降出来る「RO-RO船」とその後方に11両の水陸両用車が1列に並んで航行しているのがわかった。専門家は「洋上でRO-RO船から水陸両用車を発進させたり収容したりする訓練を行った」と推定している。中国軍は輸送能力不足を補うため、RO-RO船を使い水陸両用車を運び、防御側が予測していない地点に上陸する能力を訓練している模様。
参加したRO-RO船はAIS情報から大手海運会社の「普陀島」と判明。「普陀島」は遼寧省大連港に登録する船舶、7月8日に大連を出航、7月16日に仙尾市沖で訓練に参加、21日に大連に戻った。台湾の調査では、同船は8月に再び仙尾市沖で他のRO-RO船と共同演習を行った。

図11:(読売新聞、中国軍機関紙ニュースサイト)中国軍の「05式水陸両用歩兵戦闘車」。車体中央に30 mm機関砲砲塔、左右に4連装の発煙弾発射装置を備える。乗員3名、兵員8名を乗せる。水上はウオータージェット2基で、陸上ではキャタピラで走行する。1,000両以上が配備中。

図12:(読売新聞)RO-RO船「普陀島」の航跡。

図13:(読売新聞)2025年7月16日撮影の衛星画像。
- 1月12日 共同通信報道 第11管区の坂本海上保安本部長の発言「尖閣情勢は極めて深刻」
第11管区海上保安本部(那覇)の坂本誠志郎本部長は共同通信のインタビューで「尖閣諸島周辺での中国海警局艦艇の航行は常態化しており、極めて深刻な事態になっている」との認識を示した。併せて「海保巡視船の重装備化や強硬な対応は、尖閣の安定的な維持管理に繋がらない」とやや引いた考えを示した。
海保によると2025年の海警局艦艇による尖閣諸島周辺の接続水域侵入は357日に達し、これまでの最多となった。
- 1月20日 東洋経済オンライン報道 中国漁船2000隻が東シナ海に展開
昨年末(2025年12月)、東シナ海の日中中間線付近で中国漁船約2,000隻が、他の船舶の侵入をブロックする形で集結した。九州大学の国際政治研究会・益尾知佐子教授等が発表した。同研究会は、中国が進める軍民融合戦略の一環と見ており、我国の対策強化が必要と指摘している。
今回の情報は、情報分析の専門機関[ ingeniSPACE]社の観測データで明らかになった。
大規模な漁船集結が確認されたのは12月24日~26日で、南北470 km、東西80 kmの範囲で巨大な”U”字を描きながら集結していた。この直後に、台湾周辺では中国軍の軍事演習が行われている。
益尾教授は「2000隻全てが軍が率いる民兵船だったのではなく一般漁船も多数動員された」と見ている。
中国漁船集結は2016年に尖閣諸島周辺でも見られたが、規模は2~300隻程度だった。今回桁違いに増えたのは、習近平政権が整備してきた「漁船監視システム」が完成、有事の際には「普通の漁民」も動員可能になったためと思われる。これから海上民兵の活動を常態化させ、沖縄列島全体のみならず東シナ海・太平洋に散在する我国島嶼群への侵攻を狙うことも起こりそうだ。政府は危機感を持って対処する必要がある。

図14:(九州大学益尾教授/ingeniSPACE社)2025年12月25日に確認された東シナ海に中国漁船(紫色の点)約2,000隻が集結した様子。
- 1月20日 歴史人報道 中国資本、山口県岩国基地近くの傘佐島「土地買収/静かなる侵略」問題
民間団体「中国フロンテイア戦略研究会」が『山口県周防大島町に隣接する人口わずか7人の小さな島「傘佐島」が中国資本による土地買収という「静かな侵略」の脅威にさらされている』と報じた。10年ほど前から始まったこの動きは、日本の安全保障を揺るがす深刻な事態と言って良い。
発端は、上海在住の中国人らが島の南側の土地3,700平方メートルを取得したこと。登記簿では、取得者は上海に住所がある個人とその知人となっている。仲介した不動産業者は「別荘を建てる目的で問題はない」としたが、その後の現場の状況は不自然。森林が伐採され、電柱が建てられ、通電が開始された。工事はここで中断、重機や資材が放置されたまま、再開を待つ状態にある。
傘佐島は岩国基地から20 km、呉基地から50 km、国防上極めて重要な場所に位置する。さらに南側15 km付近には原子力発電所の建設候補地になっている上関町(3つの島で構成)がある。
日本には2022年施行された「重要土地等調査法」があり、自衛隊施設や原発から1 km以内の土地・建物は規制の対象にされているが、傘佐島はこれから外れ対象外である。
中国には「国家情報法」や「国防動員法」があり、有事の際には中国人が所有する海外の土地や施設を国が徴用できる仕組みになっている。したがって個人の別荘であっても、中国軍の監視拠点や通信拠点に容易に転用され得る。
危機感を抱いた傘佐島の島民たちは「傘佐島を守る会」を設立、中国マネーに買収された土地を買い戻す活動を始めている。これは日本政府の主権保護が如何に脆弱であるかを示す好例である。傘佐島で起きている例は、北海道の森林でも対馬の自衛隊基地付近でも起きている。
国家の安全保障に直結する土地に関しては、厳格な規制が必要で、「重要土地等調査法」の改正や「外国資本による土地所有の許可制」の導入などが急務である。高市政権下で早急に実現されることを願いたい。

図15:(Google) 山口県傘佐島と岩国基地、呉基地の位置を示す。
- 1月22日発表 ロシアTu-95爆撃機2機を含む編隊が能登半島沖に飛来、反転してシベリアへ
1月21日午後、ロシアのTu-95爆撃機2機と戦闘機2機がシベリア沿海州から飛来、日本海を南東に進み、島根県沖で変針、シベリア方面に立ち去った。その後Tu-95爆撃機2機および戦闘機2機は再び日本海表れ石川県能登半島沖で反転し大陸方面に立ち去った。
能登半島周辺には、空自第403輸送隊C-2輸送機部隊が駐留する島根県美保基地、京都府の空自/米軍の経ヶ岬レーダー基地、第6航空団F-35戦闘機部隊が駐留する石川県小松基地、など重要軍事施設がある。

図16:(統合幕僚監部)1月21日午後の日本海上空におけるロシアTu-95爆撃機2と護衛戦闘機2機の行動。
- 1月23日、26日発表 ロシア情報収集機が23日に北海道・本州日本海沿岸を南下、京都府経ヶ崎沖に飛来、反転し退去。26日には同一機が北海道東海岸沿いに南下、福島県沖で反転、退去
1月23日午後、ロシア情報収集機Il-20(機番RF-75936)がシベリア沿海州から飛来、北海道・本州日本海側を南下、京都府沖で変針反転して往路と同じ経路で大陸方面に立ち去った。同26日には同一機(機番RF-75936)がオホーツク海から千島列島国後島―択捉島の海峡を抜け太平洋へ進出、北海道東岸を迂回して福島県沖まで飛行、反転し往路と同じ経路で沿海州に戻った。

図17:(統合幕僚監部)1月23日、ロシア軍情報収集機Il-20の飛行経路

図18:(統合幕僚監部)Il-20 (Ilyushin Il-20M)は、監視・偵察(surveillance, reconnaissance)を任務とする4発ターボプロップ機、1968年3月初飛行、19機が製造された。[ELINT] (electronic intelligence)および[COMINT] (communication intelligence)用電子機器を搭載している。胴体下の葉巻型円筒は「側方監視レーダー(SLAR=side looking radar)」、胴体側面には大型のカメラ内蔵のドーム、機首頂部には衛星通信アンテナドーム2個が見える。離陸重量は64 ton、乗員13名、航続距離6,200 km。
- 1月26日発表 中国情報収集艦(791)、東シナ海から宮古海峡を通過、太平洋へ
1月24日昼間、中国軍ドンデイアオ級情報収集艦(791)が東シナ海から宮古海峡を通り太平洋に向け航行した。これは、後述の27日〜28日に4隻の艦隊が同じ経路で太平洋に進出に伴う事前警戒の行動と思われる。

図19:(統合幕僚監部)ドンデイアオ(東調)級情報収集艦(791)、別名「815型電子偵察船」、写真は「北極星号」。同級は、改良型を含み9隻ある。満載排水量6,000 ton、長さ130 m、速力20 kts、艦尾にヘリ発着甲板、中央に大型レーダー/1000 km範囲の弾道ミサイル追跡用、艦橋に小型追跡レーダー/対艦巡航ミサイル追跡用、を装備する。
- 1月28日発表 中国フリゲート(515)、ミサイル駆逐艦(153)、(156)、補給艦(896)、が東シナ海から宮古海峡を通り太平洋へ
1月27日〜28日の間、ジャンカイII級フリゲート(515)、ルーヤンII級ミサイル駆逐艦(153)、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(156)、およびフチ級補給艦(890)の4隻が相次いで東シナ海から宮古海峡を通り太平洋に向け航行した。
この艦隊はフチ級補給艦を伴っていることから、太平洋上で長期の行動が予想される。防衛省・米太平洋軍からの関連報道はまだない。次項で述べる護衛艦「てるづき(DD-116)」のハワイ沖ミサイル実射訓練の偵察が目的かもしれない。

図20:(統合幕僚監部)ジャンカイ(江凱)II級フリゲート(515)、別名[054A]型。満載排水量4,000 ton、長さ134 m、速力27 kts、兵装は76 mm単装砲1門、対空ミサイル[HHQ-16]用VLS 32セル、などを装備。同型艦は42隻ある。写真は「浜州」2016年就役。

図21:(統合幕僚監部)ルーヤン(旅洋)II級ミサイル駆逐艦(153)、別名[052C]「蘭州」型。満載排水量7.000 ton、長さ155.5 m、速力31 kts、兵装は100 mm単装砲1門、対空ミサイル[HHQ-9A]用回転式VLS 6セルを8基装備。艦橋周囲4面にAESAレーダーを貼り付けている。いわゆるイージス艦で同型艦は6隻。写真は「西安」2015年の就役。

図22:(統合幕僚監部)ルーヤン(旅洋)III級ミサイル駆逐艦(156)。別名[052D]「昆明」型。満載排水量7,500 ton、長さ157~161 m、速力32 kts。兵装は130 mm単装砲1門、HT-1E型VLS 32セルを2基・合計64セルを装備。艦橋4面には新型AESAレーダーを装備する。同型艦は33隻就航済み5隻を建造中。写真は(156)「溜愽」、[052DL]型で2020年の就役。

図23:(統合幕僚監部)フチ級補給艦(890)。別名「903型総合補給艦」。[903]型20,500 ton 2隻と[903A]型23,000 ton 7隻があり、写真の(890)は[903A]型「可可西里湖」で2018年就役の最新艦。本格的な外洋航行能力を持つ。速力20kts、航続距離10,000 n.m.。搭載量は、艦艇用燃料7,900 ton、航空用燃料2,500 ton、真水250 ton、弾薬・食料などドライ・カーゴ680 tonとされる。
我が国同盟諸国の対応
- 1月16日海上幕僚監部発表 護衛艦「てるづき」を1月19日〜3月2日の間ハワイに派遣、ミサイル射撃訓練を実施
1月19日〜3月2日の間、海自は令和7年度米国派遣訓練として護衛艦「てるづき(DD-116)」を派遣、ハワイ諸島周辺海空域でミサイル射撃訓練を実施する。
使われる対空ミサイルは[RIM-162 ESSM (Evolved Sea Sparrow Missile/発展型シースパロー)。これは、直径25 cm、長さ3.8 m、重量300 kg、推定射程50 km、速度マッハ2.5~3。「あきづき」型を含む防空艦は、誘導用イルミネーター(火器管制レーダー)に[ICWI](間欠連続波照射)機能があるので最低6目標に同時対処できる。

図24:(Wikipedia) 「てるづき(DD-116)」がハワイ沖での実弾射撃で使用する[RIM-162 ESSM]超音速対空ミサイル、最大射程50 km。RTX Corp.のRaytheon製。
「てるづき(DD-116)」は、「あきづき(DD-105)4隻中の2番艦で2013年就役で横須賀基地第2護衛隊群・第6護衛隊に所属、2013年の就役。弾道ミサイル防衛をする「こんごう」型ミサイル駆逐艦(イージス艦)を守る僚艦防空艦として建造された。

図25:(統合幕僚監部)「てるづき(DD-116)」は、満載排水量6,800 ton、長さ150.5 m、速力30 kts。兵装は、62口径5inch砲1門、[RIM-162 ESSM]対空ミサイル等用のMk.41 VLS 32セル、[90式対艦ミサイル]4連装発射筒2基などを装備する。
- 1月17日TBS News Dig.報道 「米海軍ミサイル駆逐艦台湾海峡を通過」と中国軍が発表
中国軍は、アメリカ海軍ミサイル駆逐艦「ジョン・フィン(USS John Finn DDG-113) 」と海洋測量船が1月16日から17日にかけて台湾海峡を通過した、と発表した。米第7艦隊は報じていない。

「ジョン・フィン(USS John Finn DDG-113) 」は2017年6月就役のアーレイバーク級ミサイル駆逐艦(F light II A)の63番艦、横須賀を母港とする第7艦隊に所属している。
図26:(US Navy)パールハーバーに寄港する「ジョン・フィンDDG-113」、満載排水量9,200 ton、長さ156 m、主機はGE製 LM2500ガスタービン4棊、Mk.41 VLS 96セルに各種ミサイルを搭載する。
- 1月20日発表 1月29日〜2月5日の間「令和7年度日米豪3ヶ国指揮所演習」を防衛省市ヶ谷等とハワイ・パールハーバー・ヒッカム統合基地で実施
1月29日〜2月5日の間、日本、米国、オーストラリア3カ国国防軍は「令和7年度日米共同統合演習(指揮所演習)」を実施する。この演習を通じ3ヶ国軍は、地域の平和と安定に貢献するための態勢と能力を維持・強化する。
実施場所は、防衛省市谷地区その他演習参加部隊の所在地、在日米軍施設、それに米国パールハーバー・ヒッカム統合基地(Joint Base pearl Harbor-Hickam, Hawaii)で行われる。
参加部隊は;―
日本自衛隊:陸上自衛隊各方面隊等、海上自衛隊自衛艦隊等、航空自衛隊航空支援集団等、共同部隊;サイバー防衛隊、海上輸送群等、各幕僚監部および情報本部等、
米軍:アメリカ・インド太平洋軍(USINDOPACOM=United States Indo-Pacific Command)麾下の太平洋陸軍、太平洋海兵隊、海軍太平洋艦隊、太平洋空軍およびインド太平洋宇宙軍等、
オーストラリア軍は演習部隊として参加する。
- 1月20日 陸上幕僚監部発表 日米共同訓練「アイアン・フィスト26」を2月11日〜3月9日の間、日本各地で陸海空3自衛隊と米第7艦隊・第31海兵機動展開部隊等が参加して実施
2月11日〜3月9日の間、陸上自衛隊は令和7年度・米第3海兵機動展開部隊との共同訓練「アイアン・フィスト26 (Iron Fist 26)(鉄拳26)」を実施する。目的は、日本および台湾防衛に直結した戦略的要衝を守り、日米両軍の指揮系統を統合化し、意思疎通、相互運用能力を高め、水陸両用作戦能力の一層の向上を図るため。
場所は、岩国基地、相浦駐屯地、目達原駐屯地、高天原分屯地、霧島演習場、海自大村航空基地、福江空港、空自福江島飛行場、種子島、奄美大島、那覇基地、出砂島射爆場、伊江島飛行場、キャンプ・ハンセン、金武ブルービーチ、金武レッドビーチ、等。
参加部隊は;―
陸上自衛隊、水陸機動団、第1ヘリコプター団、第1空挺団、西部方面航空隊等
海上自衛隊、掃海隊群
米軍、第31海兵機動展開部隊(31st MEU=Marine Expeditionary Unit)の日本駐留部隊第3海兵遠征軍( III MEF=III Marine Expeditionary Force)、第7艦隊
[Iron Fist 26]訓練は、第1段階「2月11-26日」と第2段階「2月27-3月9日」に分けて行われる。
第1段階では、米海兵隊700名と自衛隊500名が参加、V-22オスプレイ2機、C-47輸送ヘリ4機、AH-64D攻撃ヘリ4機、OH-1偵察ヘリ1機、短距離無人機(UAV)2機、上陸用エアクッション艇(LCAC) 2隻を使い行われる。金武ブルービーチでは機雷掃海訓練が行われる。
第2段階は、日米両海軍艦艇が参加してより高度な上陸作戦、地上戦等の訓練が行われる。海自からは、は駆逐艦、輸送艦、短距離型UAV 2機、上陸用機動車[AAV-7]を10両、などが参加する。米海軍は、揚陸艦3隻、[USS Rushmore(LSD-47)]、[USS New Orleans(LPD18)]、[USS San Diego(LPD -22)]、とLCACエアクッション艇3隻、さらに輸送用大型ヘリCH-53 2機などを投入する。

図27:(US Marine Corps photo) 昨年3月の[Iron Fist 25]演習で金武ブルービーチに上陸する陸自水陸機動団の舟艇。今年の[Iron Fist 26]訓練では陸自各部隊から合計1,550名の兵員が参加する。
- 1月21日 Newsweek日本語版報道 防衛省が「新SSM」を公開
防衛装備庁は昨年暮れ(2025年12月19日)に「島嶼防衛用新対艦誘導弾(新SSM)の要素技術の研究」と題して「新SSM」の概要を公開した。そこには「新SSM」がバレルロールを行いながら目標に着弾する様子が示されている。これで近接防御システム(CIWS)や対空ミサイルの迎撃突破ができる。「新SSM」は大型の主翼を備え翼面荷重を小さくし旋回性能を向上、さらにレーダー反射面積(RCS)を小さくするよう設計されている。
[RCS]を抑えるため機体は鋭角部分を少なく、エンジン・エアダクトも湾曲構造にしてある。誘導システムには複数のセンサーが組込まれ、電子妨害に強い仕組みにしている。
対艦巡航ミサイルに、“目標に接近する際高い機動性を持たせる”という考えは、ノルウエーのコングスバーグ社が作る[NSM=Naval Strike Missile]にも採用されている。
防衛装備庁によると、従来「12式地対艦誘導弾能力向上型」と呼ばれていた「新SSM」の射程延長開発は完了、原型の射程約200 kmが1,000 km以上に延伸された。これに伴い、地発型は2026年年初め熊本県から配備を開始、続いて艦発型、空発型の完成を急ぐ。
「新SSM」について防衛装備庁では2026年も研究を続け、衛星通信に接続し[新SSM]同士で双方向通信する「ネットワーク戦闘」装置の開発も行う。

図28:(防衛装備庁)2025年夏に発射試験をした[新SSM]

図29:(防衛装備庁)[新SSM]の姿、主翼は二重折り畳式。発射時は主翼、尾翼とも折り畳まれ、飛翔開始ごに展張される。エンジンは川崎重工製「XKL301-1」2軸式ターボファン。
- 1月25日「乗りものニュース」報道 2026年度防衛予算に[AIM-120 AMRAAM]空対空ミサイルの国産化費用を計上
防衛省は令和8年(2026年)予算案に[AIM-120 AMRAAM空対空ミサイル]を日本国内で生産するための基盤整備費として3億円を計上、令和8年(2027年)から製造基盤整備に着手する。
[AIM-120 AMRAAM]は、ヒューズ (Hughes Aircraft)の子会社ヒューズ・ミサイル・システムズ(Hughes Missile Systems)が開発、1991年から配備されている中距離空対空ミサイル。同社はレイセオン(RTX=Raytheon Technology)に吸収されたので、今は[RTX]社が生産・改良を続けている。最新モデルは[AIM-120D-3]で2023年に完成、F-16およびF-15C戦闘機で発射試験済み。旧型のAIM-120Cは、F-15、F-16、F/A-18、F-22、F-35に装備可能で、欧州製のユーロファイター・タイフーン、サーブ・グリペン戦闘機等日本を含む40ヶ国で使用されている。 “打ち放し(fire and forget)” 能力を備え有効射程は105 kmとされる。
日米両政府は2024-7-28にAIM-120-AMRAAMの日本国内生産の開始で合意済み。
我が国は、1999年にAIM-120と同等の性能を持つ「99式空対空ミサイル(AAM-4)」をF-15やF-2戦闘機に搭載してきたが、その後採用が決まったF-35には使えないので2014年からAIM-120の調達に切り替えている。
空自ではかつて戦闘が開始すれば3時間で打ち尽くす、と言われていたが、AIM-120の国産が軌道に乗れば、この問題はすぐに解消し有事での継戦能力が向上する。それに加えて西側同盟諸国に輸出することで備蓄不足にも対処できる。
AIM-120 AMRAAMは地上発射型の防空システム「NASAMS(ナサムス)」のミサイルに採用されている。「NASAMS(ナサムス)」は、捜索レーダー、射撃管制装置と組合わせた防空システム、NATO標準の通信システム[Link 16]が組込まれ、2019年からは、高機動多用途装輪車「ハンビー(HMMWV=high Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle)」に搭載する[NASAMS 3]となっている。
[NASAMS 3]は、ノルウエーのコングスベルグ(Kongsberg)・米国のRTXが協力して開発した防空システム、米国を始め台湾、ウクライナ、オーストラリア、各国で採用されてる。台湾には昨年末に米国がAMRAAM装備の高性能防空ミサイルNASAMSシステムを7億ドル分売却することを決めた。ウクライナへの西側諸国からのNASAMS援助についてはTokyoExpress 2022-11-29 ”米英・NATO各国ウクライナ支援を増強“にあるので参照されたい。

図30:(U.S. Air Force) 最新型AIM-120D AMRAAMは、直径17.8 cm、長さ3.65 m、翼幅48.46 cm、重さ160 kg、固体燃料ロケット、速度はマッハ4、射程は最大180 km、炸薬量20 kg、価格は約2億円。誘導は途中まで慣性航法(INS)+指令誘導で、終末航程は搭載レーダーで目標に着弾する[ARH= Active Radar Homing]方式。

図31:(Norway )AIM-120 AMRAAMを発射する最新型の[NASAMS 3]、ミサイルはAIM-120 の他にAIM-9 Sidewinderも発射可能。高機動多用途装輪車「ハンビー」に搭載する。
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