対中国機が激増。防衛省の平成25年度、緊急発進実施状況で判明


2014年4月9日(JST.20:15)                 小河正義                                                                                                                            対中国機に対する航空自衛隊のスクランブル件数が激増している。防衛省統合幕僚監部が4月9日、『平成25年度の緊急発進実施状況』の公表で明らかになった。年度中のスクランブル件数は810回と前年度の567回に比べ、4割強の増加。24年ぶりに800回の大台を超えた。中国機の尖閣列島周辺での活発な接近飛行が背景の一つだ。 統合幕僚監部によると、平成25年度の緊急発進件数の対象国別内訳は中国機が415回と全体の51%を占めトップだった。前年度は306回で、平成25年度は42.8%増と激増ぶりが窺われる。機種は戦闘機が目立ったが、公表した中では具体的事例は示されなかった。中国機では尖閣列島周辺での活発活動を示す例として、戦略爆撃機『H-6』、無人偵察機『翼龍(プテロダクティル)』、電子偵察機『トゥポレフTU154型機』等の投入を挙げている。 中国に次いで多かったのがロシア機。件数は359回と全体の44%。機種では偵察機の活動が目立ったと分析。露軍機もスクランブルの対象として再び、増加の傾向が顕著となっている。ロシア関連では2013年8月22日、トゥポレフTU95『ベア』戦略爆撃機の福岡県沖ノ島北西で日本の領空侵犯という看過出来ないケースが発生している。 残り5%は北朝鮮機などだったという。平成25年度の総件数は昭和33年、航空自衛隊が対領空侵犯措置開始以降、9番目に多い件数。 航空自衛隊航空方面隊別のスクランブル出動回数で対象国別の動向が反映されている。尖閣列島を含む南西諸島一帯が守備範囲の南西混成航空団の緊急発進出動回数は402回と前年度の318回から激増した。方面隊別で圧倒的に多い。次いでロシア機への対応が多い北部航空方面隊が222回(平成24年度、139回)、3番目が西部航空方面隊で100回(同、45回)。露軍機や、中国機の両睨みで平成24年度に比べ2.2倍に急増した。首都圏等本州の大半をカバーする中部航空方面隊は86回だった(同、65 回)。 尖閣諸島周辺の警戒監視能力を急ぎ強化すべく、那覇で早期警戒管制機E2C『ホークアイ』の分遣隊が常駐する。訪中した米国防総省のチャック・ヘーゲル長官に対し中国国防部長、常万全氏は公然と尖閣諸島への領有権を念頭に外交問題での武力行使を露にした。

中期防衛力整備計画で、次期主力戦闘機としてステルス性能に優れたJSF35『ライトニングⅡ』導入が組み込まれている。しかし、習近平政権の対日強硬姿勢、空自機の緊急発進の実態を知るにつけ、防空能力向上の前倒しの対応が必要だ。 H25年度の緊急発進回数 [(防衛省統合幕僚監部)対中国機の激増等、日本周辺の国際情勢緊張を反映したスクランブル件数の増加] スクランブル件数

 

[(防衛省統合幕僚監部)日本列島周辺で発生した航空自衛隊スクランブル機、対象の露、中、北朝鮮機の航跡図]