2014年5月13日(JST.15:50) Aaron Terruli
中国が実用化を急ぐ『ASAT(衛星攻撃兵器)』が、米軍の運用する宇宙空間の軍事衛星にとって重大な脅威となっている。米宇宙軍団(US SPACE COMMAND)』司令官ウィリアム・シェルトン空軍大将の発言として共和党系メディア『ワシントン・フリー・ビーコン』がこのほど報じた。軍事衛星網は米軍世界戦略遂行で弾道ミサイル警報、写真偵察、通信インフラ等、屋台骨を支えるシステム。中国の衛星攻撃兵器が実戦化すれば、現状のままだと米軍衛星網は機能存続が窮地に陥る。
中国のASAT実用化は2007年、標的の自国衛星近傍に接近させたことで、現実味を帯びてきた。月への無人着陸船、飛行成功で中国の宇宙空間での技術進歩が急ピッチで、ASAT実戦化が絵空事でなくなっている。
シェルトン大将によると1基、10億ドル以上の偵察衛星を含め、米軍事衛星に攻撃から逃れる対抗手段はない。
冷戦時代、米・ソ連はASAT実用化で覇を競ったが、この分野で研究開発はストップ。中国だけが軍事超大国の動きを尻目に、自主開発を推進。米軍は懸命にその動きを追っているという。
米軍事衛星網への攻撃は、即刻、世界規模の危機勃発の引き金となる。ASATの攻撃機能の無力化対策では、多機能の大型衛星中心を単純な機能の小型衛星打ち上げが検討材料の一つ。それには最低でも1,000基の衛星打ち上げが必要。
それより、危険性を孕むASAT問題をガラス張りで議論、誤算による戦争勃発回避が何より重要とシェルトン大将は指摘した。11ヶ国が衛星打ち上げ能力を持ち、60ヶ国が衛星打ち上げの財力がある現状から、米、露、中などが早急にこの問題の国祭会議の構築へ動き出すタイミングと言えよう。
[(US AIR FORCE)米宇宙軍団司令官、ウィリアム・シェルトン空軍大将]
[(US AIR FORCE)軍事偵察衛星の発射の瞬間]