2014年5月16日(JST.19:30) John Bosnitch
中露海軍が5月20日から、南シナ海で大規模な軍事演習を実施することが判った。ノーボスチ通信がこのほど伝えた。プーチン大統領が、時を同じくして訪中、習近平国家主席と首脳会談に臨み、天然ガスの大型契約調印を内外に誇示するタイミングにあわせたという。南シナ海の領有権では、中国と、ベトナム、フィリピンが豊富な海底資源を巡り激しく対決中だ。背後に控える米国との海洋覇権争奪戦で、あからさまな行動に出たとみられる。クリミア半島制圧後のモスクワに対する経済制裁への反撃の第一弾で、今後エスカレートは避けられない。プーチン大統領は国内での支持率、8割に、”眼には眼、歯にわ歯の”の旧ソ連時代への軍事力優先の政策転換を明確にしつつある。
中国海軍との合同軍事演習で、露太平洋艦隊は、ミサイル巡洋艦『バリャーグ』、水陸両用強襲艦『アドミラル・ネフスキー』など多数の艦船が途中経由地の上海に向け5月15日、根拠地ウラジオストックを出港した。参加艦船は中露遭わせて20隻。『NAVAL INTERACTION 、2014』の名称が付けられる。同種の訓練は過去2回実施している。露議会のナリシューキン下院議長はNATO加盟国を中心に締め付けが強くなる対露経済制裁を『馬鹿げた行動』と、一連の動きに不快感をあらわにした。同議長はプーチン大統領の側近の一人。当然、クレムリンの意向を反映している。露政府は、ガスプロムの首脳陣を引き連れ中国との天然ガス大型契約を結ぶ。市場は欧州だけではないと『いずれ困るのは欧州の方と言いたげ』。
一方では、ベトナムは露兵器産業にとって重要な輸出先。このタイミングでの露、中海軍の動きにハノイは、警戒感を強めそう。