マレーシア航空B777型機墜落は、地対空ミサイル『ブーク(BUK)が撃墜。親露反政府組織が関与(No2:MH17便撃墜事故)


2014年7月18日(JST.07:50)    John Bosnitch

2014-07-18 (14:30)改訂 松尾芳郎

shutterstock_74612860-650x433

図:ロシア製地対空ミサイル「ブーク(BUK)」。新型はBuk-M1-2およびBuk-M2と云い、米国では旧型をSA-11、新型をSA-17と呼んでいる。最新型はBuk-M3、海軍では艦船用に改修したSA-N-7Cを使っている。標準的な編成は、指揮車両、目標探知レーダー車、それにランチャー6輛。目標探知から発射までの時間は22秒。ランチャーには4基のミサイルが装填され、予備の2基が積まれている。発射後再装填にかかる時間は15分、対航空機の場合の射程は25,000m、対弾道ミサイルでは16,000mとされている。

 

次ぎのユーチューブ映像で、ブーク・ミサイルの発射から目標に命中、撃破するまでの様子が判る。クリックして観ることをお勧めする。

乗客・乗員298人が搭乗のマレーシア航空、MH17便=B777-200ER=がウクライナ東部で墜落した事故で、原因は親露反政府勢力の強力な地対空ミサイル、『ブーク(BUK)』に撃墜されたとの見方が強まっている。政府軍の反転攻勢で、ロシア人勢力の力がそがれる中で、このところロシアからブーク対空ミサイルを含む大量の重火器が供給され、ウクライナ軍の大型ヘリやSu-27戦闘機などが親露派勢力により相次いで撃墜されている。

『ブーク』は冷戦時代『SA-6、ゲインフル』と呼ばれた地対空ミサイルの後継機種で移動可能な発射台に6基を装填。連続発射能力で敵機の回避の余裕を与えない。高度25,000㍍の射程があり、NATO軍もその性能に着目している。

ウクライナのポロシェンコ大統領はこれは地対空ミサイル利用のテロ行為で、同国の関与では無いと反政府側の行動を強く非難した。

撃墜事件が発生したウクライナ東部は西欧と南東アジアを結ぶ幹線空路のルート。しかし情勢が危険で不安定なため、欧州の管制当局は再発防止のため、該当空域の飛行禁止に踏み切ったという。なお日本の定期航空路線は、ウクライナ上空には設定されていない。

露側は事故の真相解明でウクライナ側と合同調査委員会設置を求めているが、ウクライナ政府はICAO(国祭民間航空機関)、欧米側と共同で原因究明実施に動きそうだ。

ウクライナ上空でミサイルによる民間旅客機撃墜事件は今回が2回目。前回は2001年10月4日、黒海上空を東進中のシベリア航空(現在はSA7)、テルアビブ発ノボシビルスク行き、トゥポレフTu154型(乗員乗客78人搭乗)がウクライナ軍の地対空ミサイル誤射で撃墜された。

最初は関与を否定していたが、近くを飛行中のアルメニア航空機乗員が撃墜の瞬間を目撃。米軍の偵察衛星も発生当時の”火の玉”をキャッチ、ウクライナ側は逃げおおせなくなった。

国連は今回の事件を受け緊急安保理を開催予定。同種事故の防止への国際的連帯が求められる。

2.si

[(露国営TV、RT)FLIGHT RADAR 24.COMが捉えた事件発生当時の飛行状況]

 

–以上−